| 天草を選んだ理由。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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04年5月、熊本県天草諸島へ行ってきました。天草諸島は九州の西側、長崎県の南側の東シナ海に面した美しい島々です。これまでは、東京からの交通費が高く、わたしのような貧乏OLにとって、高嶺の花でした。 ところが、新興の航空会社が東京・熊本間に定期便の運行を始め、大幅に安い運賃を打ち出したことから、今回の天草旅行を実現することができました。
東京から天草諸島までは、直線距離で900キロメートルあります。この距離だと鉄道を乗り継いで行くよりも、飛行機で移動した方が安いですし、効率的です。 もし鉄道で行くとすれば、東京駅から熊本駅まで新幹線と特急を乗り継いで7時間前後かかり、お値段はおよそ2万6000円かかります。これに対して、飛行機は2時間弱で熊本空港まで移動できるのが魅力です。でも、お値段は日本航空と全日本空輸ともに片道約3万3000円と割高。 鉄道と飛行機の差額約7000円と、約7時間と約2時間の時間差を比較して、どちらにメリットが多いのか「究極の選択」をしていたのがこれまでの在り方でした。まるで、「おにぎりの形をしたハンバーグがいいのか、ハンバーグの形をしたおにぎりがいいのか」を選択するようなもので、どちらを選択しても大して変わらないという状況です。
こういう状況のなか、昨年8月、新興の航空会社スカイネットアジア航空が、羽田空港から熊本空港までの新規定期便の運行を始め、なんと約2万5000円の価格を打ち出しました。鉄道で行くよりも安く、さらに移動時間は他の航空会社と同じ2時間弱。航空機材も高級感ある双発ジェット機「ボーイング737−400型」で快適です。 昨年8月、スカイネットアジア航空が、この値段を打ち出した瞬間、わたしの天草旅行は決定しました。同行する専属カメラマンを含めても往復約10万円で、これまでの大手航空会社に比べて2割あまりも安い! | クリックすると拡大します。 |
| 裏料金。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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ところが、航空会社は、一般的に示す表向きの航空運賃とは別に、「バーゲンセール券」という「本音の価格」が隠されていたのです。バーゲンセール券とは、航空会社各社が出発の2か月前後前になって期間限定で発売する航空券のことで、たとえばスカイネットアジア航空の場合、定価の約2万5000円の航空券が半額以下の1万円まで下がるという信じられない割り引きも実施しているのです。 これだと同行する専属カメラマンの運賃を合わせてもたったの往復合計で4万円。大手航空会社の定価運賃3分の1弱の値段となり、定価で買うのがバカバカしくなるほどの割引率です。ほんとうは1万円しか価値のない運送サービスなのに、むりやり3万3000円で販売しているのではないか? と疑問に思ってしまうほどの格差です。
ただし、バーゲンセール券は、料金前払いで、出発日や時間などほとんどの変更ができません。2か月先の休みを確定するのは、さすがに勇気が要りますが、かといって、定価の運賃を支払うのも納得できません。わたしは、片道1万円の往復航空券を2人分購入し、緊張の2か月間を過ごしました。万が一、休みが1日でもずれてしまえば、最悪4万円の損失となるからです。 熊本県は、国内だから近いだろうという感覚でいましたが、予約してからの2か月間というものは、まるで年に1回しか運行しない月面行きのロケットに乗るような緊張感が続きました。待ちに待った出発当時。わたしは、さまざまな、不満と不安を感じつつ、片道1万円の熊本行きの航空券を握りしめて、羽田空港へ向かいました。 |
| 羽田空港から出発。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
前日まで、雨が降っていたのですが、出発日は、すばらしい快晴に恵まれました。天草旅行の幸先のよいスタートです。 自転車は、壊れないよう厳重に梱包し、手荷物としてスカイネットアジア航空に預かってもらいました。飛行機では、機内に格納されるコンテナのなかで、想像を超える圧力がかかることがあります。このため、ちょっとやそっとの圧力では壊れないよう、しっかりと自衛する必要があります。 わたしは、幅1.2メートル、長さ6メートルの緩衝シート(空気の入ったビニール製の緩衝材。通称:プチプチ)を適当な大きさに切って、フレームやタイヤをそれぞれを、それぞれ包み込みました。個別に包まないと、機内の震動などにより、お互いにぶつかり合って破損する恐れがあるからです。 リアディレーラー(後部変速機)やペダルは、取り外しました。フロントフォークやハンドル、チェーン・シートステー(後ろタイヤの車軸を固定するフレームの一部)、クランク軸に取り付けてある大きな歯車などの突き出た部分は、段ボール紙とビニール緩衝材をぐるぐると巻き付けて保護しました。 緩衝材で包み込んだあとで、上から輪行袋をかぶせ、どんな方向に自転車が倒されて、圧力がかかっても大丈夫なようにしました。 |
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| 受付カウンターで。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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羽田空港でスカイネットアジア航空の受付カウンターに1万円の航空券を提示し、搭乗手続きを済ませました。大きくて立派な日航や全日空のカウンターに比べて、明らかに小さいカウンターではありましたが、この新興航空会社ががんばってくれたおかげで、わたしは、こうして天草へ行けるのです。ほんとうに感謝しています。 ても、万が一、バーゲンセール券で乗せてもらえなかったとしても、定価で2万5000円と安いため、他の大手航空会社や鉄道会社に支払うより、納得できる価格ではあります。 スカイネットアジア航空の飛行機は、空港ターミナルビルから離れたところに停まっていたため、ターミナルビルからバスで移動しました。バスでしばらく走ると、スカイネットアジア航空オリジナルの彩色豊かなボーイング737−400型双発ジェット機が目の前に大きく現れました。 機体には、なぜか「Miyazaki」(宮崎)の文字が書かれており、恐らく宮崎空港行きの機体を、昨年8月から熊本空港航路に割り当てたのかも知れません。あるいは機体の反対側には「Kumamoto」(熊本)と書いてあるのでしょうか? |
| 大パノラマを楽しむ。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
わたしは、2か月前の予約当初から「窓側席」を強く要望し、1万円のバーゲンセール券での搭乗にもかかわらず、窓側席を確保することができました。このため、離陸した直後から眼下に広がる大パノラマを楽しむことができました。 熊本空港までの航路は、日本列島の真上を飛んでいきます。羽田空港を飛び立ったあと、東京湾上で旋回しながら、どんどん速度をあげてゆき、高度もぐんぐん高くなっていきます。まず、目に飛び込んだのが、東京湾を航行するたくさんの船。まるで水面を泳ぐアメンボのように見えます。 飛行機は、すぐに神奈川県上空に差し掛かり、三浦半島、伊豆半島、米軍厚木基地、江ノ島などがよく見えました。箱根山、芦ノ湖が見えたと思ったら、今度は、富士山が目の前に現れました。富士山の頂上は窪地のようになっていて、頂上周辺部と同じように、真っ白な雪で覆われていました。富士山の先には駿河湾が見えます。
熊本行きの飛行機に乗るときは、進行方向左手の窓側を指定した方がお得感があります。客室乗務員の方が、飛行中、「左手に見えますのは、有名な富士山でございます…」などと、簡単な観光案内をしてくれるのですが、圧倒的に「左手に見えますのは…」の案内の方が多い。 たまに「右手に見えますのは…」と案内してくれるのですけれど、基本的に山ばかり。素人目には、どれが、なんの山だか、よく分かりませんが、山好きな人には、進行方向右側の席のほうがいいかも知れませんね。ただし、右側に座ると、富士山は見えません。 この日、名古屋周辺は、残念ながら曇っていたため、地上を見ることはできませんでした。次に地上が見れたのは、大阪を過ぎてからで、大きな淡路島が姿を現しました。巨大なクジラが、瀬戸内海に浮かんでいるようです。 瀬戸大橋をすぎて、しまなみ海道を過ぎ、四国の愛媛県をすぎたあたりから、エンジンを絞り、速度を落とし始めました。すると飛行機は引力に引っ張られて下へ下へと落ちていきます。大分県あたりの上空に差し掛かったとき、左側前方に阿蘇山が見えました。頂上付近からは白い煙のようなものが上がっていました。 | クリックすると拡大します。 |
| 機内からの中継。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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飛行機は、どんどん高度をさげて、阿蘇山(標高約1500メートル)よりちょっと高い程度のところまで下りてきました。ボーイング737は通常9000メートルあまりのところを飛びますから、仮に阿蘇山に差し掛かったところで高度3000メートルだったとすれば、推定で岡山、広島あたりから徐々に6000メートルも高度を下げたことになります。
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| バスと船で天草・本渡市へ。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
熊本空港から九州産業交通のバスで熊本港へ行き、そこから熊本フェリーに乗って天草・本渡市へ行きました。熊本フェリーの株式の51%を九州産業交通が保有している関係などから、九州産業交通のバスと密接な関係が保たれています。このため、熊本空港を出発して熊本港へ行くバスのほとんどが、熊本フェリーの運航時刻と連動しています。 熊本空港から熊本港へは約30キロメートル離れており、路線バスでのんびり行くと1時間半ほどかかります。バスは、熊本市内や熊本駅など都心部を経由していくため、渋滞に巻き込まれると、予想以上の時間がかかります。
バスの運転手さんに聞いたところ、「時刻表では空港から港まで1時間半となっていますが、実際は2時間の余裕を見てくれないと困ります。時刻表どおりの運行は年に何回かしかありませんからね」と、空港から港のバスでの移動は約2時間かかるとのことでした。 熊本フェリーは、長崎県・島原港へ行くフェリーと、熊本県・本渡港に行くフェリーの2航路を主力としており、わたしは本渡港に行く高速艇「マリンビュー」に乗りました。オーストラリア製の高速艇で、熊本港から本渡港までの約50キロメートルを1時間ちょっとの速さで結んでいます。
うまく接続できれば、熊本空港から天草・本渡港まで約3時間で移動できます。飛行機が約1時間半なのに対して、バスやフェリーの乗車・乗船時間が約3時間というアンバランスな時間割りですか、空港から本渡まで約80キロメートルも離れているので、仕方がありません。80キロメートルは東海道本線の東京駅から小田原駅までの距離に匹敵します。 |
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| 天草・本渡に着く。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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天草・本渡港に着いたのは午後2時半でした。朝9時に羽田空港を出発しましたので、移動時間は5時間半です。飛行機、バス、高速艇を駆使しての5時間半の移動は、さすがに疲れました。このあと本渡市内のお宿まで、のんびり歩いて、午後3時頃に着きました。 お宿で少し休ませてもらってから、さっそく自転車の梱包をほどいて、組み立てることにしました。自転車が壊れていないか、とても気になっていましたが、厳重に梱包してあったことと、スカイネットアジア航空の方が、丁寧に扱ってくれたため、どこも壊れずに済みました。ほんとうによかった。
お宿の前の道路を、試験走行して、ブレーキやギアーなどが完全に動作するか確認しました。明日からは、いよいよ本格的な自転車ツーリングの始まりです。きょうは、しっかり休んで、体力をよみがえらせることにしました。 |