牛深港、新鮮魚貝類ザンマイ−第3集−
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牛深市ツーリング。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 04年5月、熊本県天草諸島の本渡(ほんど)市から県内最大級の漁港のある街として有名な牛深(うしぶか)市へ行きました。牛深の港は、新鮮な魚貝類をたくさん収穫した漁船がもやい、街には全国へ出荷する鮮魚や貝であふれています。

朝6時に本渡市を出発して、これから牛深市に向かうところです。クリックすると拡大します。

 わたしは、牛深市の豊富な新鮮魚貝類をいただこうと考え、牛深市で一晩とまる計画を立てました。本渡市から牛深市までの距離は、直線的に走る国道266号線を通れば45キロメートルほどなのですが、国道は大型トラックやマイカーの交通量が多いため、わたしは交通量が少ない海岸沿いの細い湾曲した県道26号線を走りました。

 このため少し大回りとなり、走行距離は60キロメートル弱になりました。牛深市に着いたあと、さらに牛深港の先にある下須島(げすじま)の砂月(さづき)海水浴場に足を伸ばしたため、この日の走行距離は約70キロメートルになりました。

 わたしの体力を考えた場合、片道の走行距離が50キロメートルを越えた時点で、すでに往復は不可能で、必然的に行った先で一晩泊まらせていただくことになります。今回の牛深市ツーリングの場合は、主要なお目当てのひとつが新鮮魚貝類であるため、一晩泊まっておいしい民宿のお料理をいただくにはちょうどいい行程となります。

 おまけに、牛深市では温泉まで湧き出ているということなので、自転車ツーリングで酷使した筋肉を休めるには最高にいい環境です。温泉につかったあと、新鮮魚貝類をいただくなんてまさに贅沢中の贅沢。これ以上に望むものはない至福の時間となるはずです。

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九州における天草諸島の位置関係を示した地図です。クリックすると拡大します。
今回の走行ルート図です。天草・下島(しもじま)を南北に縦断するルートとなりました。クリックすると拡大します。
天草・下島の拡大図です。より詳細な走行ルート図です。総走行距離は約70キロメートルです。クリックすると拡大します。
温泉民宿を探す。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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本渡市から牛深市までの標高差を示した図です。ほとんど起伏がないのが分かります。地形測定ソフトの「カシミール3D」をつかって制作しました。
本渡市街地付近にて。右側に見えるのは、川ではなくて海です。天草諸島の上島と下島を分ける海で、船の往来が頻繁にあります。
本渡市街地に近いのに、透き通って見えるとてもきれいな海水です。
クラゲが泳いでいました。

 牛深市ツーリングの前日の夕方、わたしは、新鮮魚貝類と温泉をいただける民宿を、地元の観光案内のパンフレットで探しました。牛深市は、大きな漁港であるため、民宿とかは、あまりないのかと思っていましたが、パンフレットには、たくさんのお宿の名前が並んでいてホッとしました。

 携帯電話のウェブで、気象庁午後5時発表の明日の天気予報を確認すると「晴れ」で、絶好のツーリング日和になりそうでした。明後日の天気予報も「曇りときどき晴れ」。なんとか雨は降らなさそうなので、さっそくパンフレットのなかから、温泉のあるお宿を探して電話で予約を入れることにしました。

 前日夕方の予約なので、受け付けてくれないかも知れないと心配していましたが、なんとかお宿の予約をとることができました。自転車旅行の場合は、天気次第で走れるか走れないか決まるので、お宿の予約は、どうしても前日の夕方になってしまいます。今回、予約したのは「天草温泉旅館」で、1泊1人6500円(税込)で、温泉も新鮮魚貝類も用意してくれるとのことでした。

 「旅館」という名前ですが、中身は民宿のようです。天草に来て分かったのですが、「民宿」という看板をつけたお宿は、ほんとうに数えるほどしかありません。本渡市の観光課の方に聞いたところ「旅館とあるお宿も、その多くが民宿だと理解してもらっても結構です」と、宿泊料金や施設などで、旅館か民宿か判断する必要があると話していました。

 わたしのなかで「旅館」という名前のところは、和服を着た女中さんがいて、和食にビール、カラオケ、芸者さんが歌や踊りを披露する熱海や伊豆の豪華旅館のようなところを想像してしまいます。でも、今回の天草旅行で宿泊料7000円(税込)以下の旅館は、限りなく民家をベースとした民宿の形態に近いということを知りました。

 ちなみに和服姿の女中さんや芸者さんがいて“飲めや歌えの大騒ぎ”という感じのお宿は1泊1人で最低でも1万5000円〜2万円くらいすると旅館の関係者の方が話していました。大騒ぎするのもいいんだけど、二日酔いで、翌日の自転車は乗れないというのではちょっと困りますね。

朝5時に起きる。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 お宿を予約したからには、夕食の午後6時までに必ず牛深市に到着しなければなりません。わたしは朝5時に起きて、6時にお宿を出発しました。今日の行程は70キロメートルほどの距離がありますから、わたしの平均速度を時速7キロメートルとすれば、単純計算で10時間かかることになります。

 そうなると、朝6時に出発したとすれば、牛深市に到着するのは午後4時。途中、2時間休憩したとして午後6時にお宿に到着できるハズ! と、おおざっぱな計画を立てました。

 本渡市から海沿いの県道26号線で南下を始めて5キロメートルほどの区間はクルマの通りが比較的多かったものの、10キロメートルも走ると、ほとんどクルマの通りはなくなりました。ときおり地元の方が運転する軽自動車や、宅配便などの作業用のクルマが通る程度です。わたしの予測したとおり、自転車にとってとても走りやすい道です。

 本渡市から20キロメートルほど走ると、先日、わたしが獅子島(ししじま)行きのフェリーに乗った中田港(なかたこう)がありました。きょうは、牛深市へ行くので、中田港を通り過ぎて、どんどん南へ向かって自転車を進めました。

 しばらく走ると牛深市のちょっと手前にある河浦町(かわうらちょう)に着きました。道ばたで休憩していると、豆腐を販売している軽トラックが目の前を通ってい行きました。豆腐の行商と言えば、プーッというラッパが有名ですが、この豆腐屋さんは演歌のようなテープをかけていました。そのとき録音した音声ファイルです。次の段落をクリックすると再生します↓↓

 ◆「いま、本渡市から牛深市へ向かう途中の河浦町に来ています。河浦町でちょっと休憩をしていると、お豆腐屋さんが軽トラックで通りかかりました。お豆腐屋さんは演歌のような音楽をかけています。ところで、きょうは、快晴のハズだったのですが、どうも雲が多いのが気になります。でも、雨を降らすような厚い雲でないのが幸いです」という趣旨を話しています。クリックすると再生します。(録音時間1分07秒、ファイル容量529KB、MP3形式)

 ◆「これから、海岸沿いに牛深市へ行きます。また、ちょっと晴れてきたので、きれいな景色を見ながらのんびり行きます」という趣旨を話しています。クリックすると再生します。(録音時間19秒、ファイル容量152KB、MP3形式)

 海岸沿いにのんびり走っていると、カラスの姿が頻繁に見られるようになりました。ちょうど河浦町と牛深市の境界線のあたりです。わたしは、お腹が減ったので、海辺の小さな漁港に立ち寄り、防波堤の上でお弁当のお赤飯をひろげて食べ始めました。すると、それまで山手の方で鳴いていたカラスが、集団で海辺の方へ飛んできました。そのとき録音したファイルです。次の段落をクリックすると再生します↓↓

 ◆「お腹が空いたので、海辺の広場に寄り道して、いま、ご飯をいただいているところです。この付近には、カラスがとてもたくさんいます。農家のみなさんのお家の屋根にも、びっしりとカラスがとまっています。ふつうの海辺にはカモメが飛んでいるのですが、ここは、かわりにカラスがたくさん飛んでいます。お弁当でもってきたお赤飯が、いまにもカラスに奪われそうで怖いです」という趣旨を話しています。クリックすると再生します。(録音時間1分25秒、ファイル容量664KB、MP3形式)

 カラスは、身体もおおきく、鳴き声も大きいですが、よほどのことでないと人間に危害を加えることはありません。わたしも、多くのカラスの群れに囲まれながらお弁当のお赤飯をいただきましたが、実際に危害を加えられることはありませんでした。あまり心配しすぎる必要はないようです。

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向こう岸が天草・上島で、わたしのいる側が天草・下島です。
わたしの指さしている方角に牛深市はあります。まだまだ遠い。
本渡市と牛深市のほぼ中間地点にある河浦町にやってきました。
ここで休憩していると、演歌風の音楽をかけながら豆腐屋さんが軽トラックに乗ってやってきました。
河浦町のプライベートビーチ。誰もいない海辺です。天気予報は晴れだったのに雲が多い。海も空もどんよりと見える。
ここも誰もいないビーチ。
入り江の静かな海です。
牛深市に向けて自転車を飛ばす。
ハイヤ節。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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牛深市の入口にあるハイヤ節の石像。まだ真新しい感じです。
ハイヤ大橋を渡って牛深市街地の対岸にある下須島にわたる。
ハイヤ大橋をくだって下須島へ上陸! ぐるりと螺旋状になっている。
勢いよく橋をくだる。
さらにくだる。
ハイヤ節の石像の前で、わたしもハイヤ節の踊りの真似をする。クリックすると拡大します。

 牛深市中心部に到着したのは午後4時すぎ。ほぼ計算どおりの時間配分でした。このあと2時間ちかくの時間は、牛深港の対岸にある下須島(げすじま)の砂月(さづき)海水浴場に行くことにしました。

 市内中心部で、まず目についたのが「ハイヤ節」を表現した石像です。ハイヤ節とは、牛深地域で育った民謡です。牛深港は、江戸時代から南国の島々との交流が盛んで、ハイヤ節は現在の沖縄県や奄美大島あたりの楽曲を採り入れて発展した激しいリズムの民謡として有名です。九州では、南の風のことを「ハエの風」と言い、これがなまって「ハイヤ」となり、「ハイヤ節」と呼ばれるようになったそうです。

 ハイヤ節を表した石像で記念撮影をしたあと、わたしは牛深港と下須島にかかる“ハイヤ大橋”を渡りました。ハイヤ大橋は、関西国際空港の設計を手掛けたイタリアの建築家レンゾ・ピアノさんの設計でつくられたものです。全長833メートルの大きく美しい橋です。大きな船でも橋の下を航行できるよう、橋脚がとても長くつくってあります。橋の脚が長いため、とてもスマートな印象を見る人に与えます。

下須島(げすじま)の砂月(さづき)海水浴場にて。

 ハイヤ大橋の上からは、多くの漁船が見えました。港は魚貝類の鮮度が落ちないうちに缶詰や真空パックの食品へと加工する工場が軒を連ねています。波が荒く、潮の流れが激しい外海からみて、牛深港は、ちょうど下須島の裏手にあり、天然の入り江になっています。大きな波や潮流は下須島で打ち消されてしまい、牛深港内は波が少なく、船が休むには絶好の場所です。

 下須島は、小高い小さな山が、そのまま島になったという感じです。島の形は漢字の“八”の字に似ていて、末広がりです。八の字のすぼまったところが海水浴場になっていて、砂月海水浴場と名付けられています。お宿に6時までに着くと約束してあることから、砂月まで来たところで時間切れとなりました。わたしはUターンしてお宿のある牛深市郊外に向かうことにしました。

天草温泉旅館。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
砂月海水浴場にて。きれいに整備された楽園のような美しい海岸。白い砂浜が印象的です。

 天草温泉旅館は、その名のとおり温泉の設備を備えています。若い夫婦が経営している旅館で、ご両親の旅館を継いだそうです。一旦は大阪の会社に就職したそうなのですが、ご両親が高齢のために旅館をたたむという話しを聞いて「それなら」ということで牛深市に戻ってきたそうです。

 お宿に着いてから、まずお風呂に入らせてもらうことにしました。温泉は銭湯のような造りになっていて、男女別々の風呂場が用意されています。温泉だけ入ることもできるようです。温泉の営業時間は午後1時から夜10時までで、朝風呂の営業はしていないとのことでした。

 ◆お風呂に入った直後に録音しました。「いま、牛深温泉旅館にいます。とてもいいお湯の温泉に入って、身体じゅうが真っ赤になりました。きょう、1日の筋肉の緊張がほぐれて、疲れがとれた気分です」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると再生します。(録音時間27秒、ファイル容量215KB、MP3形式)

この日は穏やかな波でした。

 お風呂をいただいたあと、お待ちかねの新鮮魚貝類の夕食です。まず食卓に並んだのはウチワエビの活けづくりです。生きたエビを、食べやすいように切ったもので、エビの触覚や手足はまだピクピクと動いています。そのエビを中心に魚や貝の刺身が数種類、小皿に盛りつけてあります。この時点では、まだご飯は出てきません。

 わたしは、純粋にエビや魚、貝の刺身を口に運びました。いずれも口のなかでとろりと溶けるような食感で、もし、これを東京で食べたならば、1万円は下らない豪勢な取り合わせです。エビの刺身をつついていると、今度は同じエビを煮た料理が出てきました。エビはもともと黒っぽい色をしているのですが、ゆでてあるため赤く染まっています。

 ゆでたエビの肉は、ほくほくして、刺身とはまた違うおいしさがあります。エビをひととおり食べ終わると、今度は、焼いたタケノコをおかみさんが持ってきてくれました。焼いたタケノコの香ばしさが食卓いっぱいに広がりました。タケノコの上には芳しい山椒の葉がおいてありました。海の幸が続いたあとの山の幸は、とりわけおいしく感じました。

 タケノコを食べているとき、木製のおひつに入ったご飯がお部屋に入ってきました。炊きたてのほかほかのご飯です。さっそく口に運ぶと、しゃりしゃりとした歯ごたえで、とてもおいしい。ご飯は最後に食べる仕組みになっていて、そのあと、デザートの柑橘類をいただきました。これほどたくさんの料理を、次々と時間差で食卓に運んでいただけるなんて、まるで東京・赤坂にある高級料亭の和食フルコースをいただいているようです。

 ◆デザートの柑橘類について録音しました。「熊本県はもともと柑橘類の産地として有名であるためか、このお宿の夕食でもデザートとして柑橘類をいただきました。レモンのようなハッサクのような色合いです。ちょっと食べてみましょう。うん、ハッサクをちょっと甘くしたような味で、やわらかく、皮ごと食べられてとてもおいしい」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると再生します。(録音時間49秒、ファイル容量387KB、MP3形式)

 ◆お茶やお吸いものについての感想を録音しました。「旅館のお茶は、すごくおいしい。九州名産の八女茶(やめちゃ)なのかなぁ。お吸いものは、海でとれた海苔がそのまま入っていて、いいダシがでています。天然の粗塩が調味料で加えてあり、海洋資源が豊富な牛深港らしい味付けになっています」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると再生します。(録音時間36秒、ファイル容量285KB、MP3形式)

 牛深市の新鮮魚貝類満載の夕食を楽しみ、大満足で布団に入りました。自転車→温泉→新鮮魚貝類の豪華夕食と、人生最高の贅沢を満喫して、ゆっくりと幸せのうちに眠りに落ちました。

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ウチワエビの活けづくりで、まだピクピク動いている!
活けづくりエビのアップ。動いているのがお見せできないのが残念…。
角度を変えて活けづくりのエビを撮る。目がきょろきょろ動いている。
ワサビをすっていただきまぁす!
んっ? このワサビ、なかなかすれないぞ。家ではいつも練りワサビなので、本物のワサビに手こずる。
煮たエビもいただきました。こちらのエビは赤く色づいています。
ほら、見てみて! ほくほくだよ。身がたっぷり詰まっているおいしいエビでした。
小皿にさまざまな刺身が並んで、食べきれないほどでした。
焼いたタケノコが香ばしい。
翌日は雨! (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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翌日の朝食も超豪華でした。お吸いもののダシには昨日のエビが入っていました。
ごはんをモリモリといただきました。
バランスゲーム「ジェンガ」で時間を潰す。
崩れないように下から抜いて上に乗せるっと。
天草温泉旅館の前にて。温泉の効用が書かれた看板がありました。
歴史の重みのある立派な温泉旅館です。
バスセンターに生け簀(いけす)が展示してありました。さすが漁港の街だけあります。
生け簀で元気よく泳ぐ魚。
天草温泉旅館の全景です。自転車を袋詰めにして、旅館のクルマでバスセンターまで送っていただきました。ありがとうございます。

 翌日の朝は、雨の音で目が覚めました。まさかの雨です。この日は本渡市に帰らなければなりません。あわててテレビをつけて天気予報を見てみると、アナウンサーが「本日は雨の予報に変わりました」と話していました。本格的な雨にはならず、降ったり止んだりという具合だそうなのですが、断続的に、丸1日降り続くとのことでした。

 がっかりしましたが、天気ばかりはどうしようもありません。とりあえず朝食をいただくことにしました。おいしいご飯に、焼き魚、昨日のエビをダシにしたお吸いもの、小皿に入った煮物などが食卓に並びました。お茶もとってもおいしい。雨が降っていることですし、わたしは、このとびきりおいしい朝食を、ゆっくりいただくことにしました。

 朝食を食べ終わったあとも、雨は降り続いています。チェックアウトの午前10時までお宿で粘ることにして、もし、それでも雨がやみそうにないときは、本渡行きのバスで輪行(りんこう=自転車を袋に入れて乗り物で運ぶこと)して帰ることにしました。牛深市周辺をゆっくり観光しようと思っていたのに、とても残念です。

牛深市のバスセンターで午前11時発の本渡市行き「牛深快速うしお号」を待ちました。

 朝食を食べ終わったのが朝8時。チェックアウトの10時までは、まだ2時間ほどあります。お宿の休憩室に、積み木をつかったバランスゲーム「ジェンガ」があったので、少し遊ばせてもらうことにしました。片手で積み木を抜き取って、いちばん上に載せるという単純なゲームで、バランスを崩して積み木を崩落させたら負けというものです。

 同行した専属カメラマンのバランス感覚は極めて悪いので、1勝負あたり20分くらいで勝負がついてしまいました。5回くらいゲームをしたうち、わたしが5連勝して、すがすがしい気分になりました。でも、その気分とは裏腹に、外は雨が降り続いています。チェックアウトの時間も迫っているので、玄関先に置かせていただいている自転車を袋詰めにする作業に取りかかりました。

 今回のように輪行する予定がないケースでも、わたしは万が一のことを考えて、輪行袋を自転車にくくりつけています。自転車が壊れたときや、雨が降り出したときなど、輪行袋があれば、バスや電車に乗って帰れるからです。

牛深快速うしお号に乗って本渡市に帰るわたし。

 お宿のおかみさんにお願いして、市内中心部のバスセンターまで自転車ごとクルマで送っていただきました。おかみさんは、「自転車で走れなくて残念だね。牛深はいいところだから、また遊びに来てね」と何度も話しかけてくださいました。やさしいおかみさんです。

 牛深市から本渡市までは、国道266号線を「牛深快速うしお号」が1日の5本ほど走っています。1時間半弱で牛深−本渡間を結んでいて、わたしは11時00分ちょうどの「うしお号」に乗って、本渡市に帰りました。揺れるバスの窓から、ときおり強く降る雨や、場所によっては霧雨のような雨を眺めていると、さっきまで自分がいた豊かな漁港の牛深市が目の前に浮かんできて、とても楽しい気分になりました。

 今度、もし、天草諸島に来る機会があったら、ぜひ牛深市を拠点に活動したいと思うほどに牛深市は美しい街でした。

 ◆ここをクリックすると「[第4集] 十万山、雨の本渡市を一望する」に続きます。



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