| 本日夜の離陸。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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04年5月、いよいよ熊本県天草諸島ツーリングの最終日です。長い長いと思っていた休暇も、あっという間に過ぎてしまいました。この1週間、わたしの想像を遥かに超えた美しい天草に心を奪われ、何かに引き込まれるように自転車のペダルを漕ぎ続けました。でも、気が付けば、今日の夜の飛行機で帰らなければなりません。
離陸時間は、本日夜20時25分。熊本空港発羽田空港行きの最終便です。格安バーゲンセールで購入した1万円の航空券なので、絶対に乗り過ごすことはできません。もし、乗り過ごしたら普通運賃の2万5000円に跳ね上がるばかりか、熊本空港周辺での宿泊料金も別途発生してしまいます。おまけに、翌日、会社を休むことにもつながり、一歩間違えばクビ…。 逆算すると、熊本港から熊本空港まではタクシーを飛ばして2時間弱。路線バスなら3時間かかります。飛行機は20時25分なので、熊本港には遅くても18時00分頃に到着していなければなりません。時刻表を見ると、熊本港に17時10分に到着する高速艇が1便あります。そのひとつ前の便ですと熊本港に14時25分に到着するので、これではちょっと早すぎます。 わたしは、本渡港を16時05分に出発して、熊本港に17時10分に到着。それからタクシーを飛ばして19時00分すぎに熊本空港に到着する計画を立てました。すると、本日のツーリングは、必然的にお宿に14時00分ごろに戻ってこなければなりません。自転車を飛行機での運搬に耐えられるよう、厳重な梱包をするためには、最低2時間くらいかかるからです。 いつものように朝5時に起きて6時に出発するとすれば、午後2時まで8時間のツーリングが楽しめる計算になります。わたしの平均速度は時速7キロメートルですので、途中2時間休憩したとして全行程42キロメートルほどのツーリングが可能です。 |
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| 通詞島へ行く。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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地図で見てみると、片道20キロメートルほどのところに通詞島(つうじしま)という小さい島があるのを見つけました。通詞島まで行くには、交通量の多い国道324号線と、路線バスの往き来が多い県道47号線を走らなければなりません。 しかし、もっと仔細に地図を見てみると、国道や県道の脇に、細い生活道路があります。くねくねと曲がっている細い道で、恐らくむかしはこの道が国道や県道だったのかも知れません。今の国道や県道は、直線的な道路になっていて、地図で見るかぎり、民家が立ち並ぶなかを大型トラックが爆音をたてて走り抜けるということはなくなっているようです。 自転車ならば、クルマやトラックと比べて格段に静かなので、民家が軒を連ねる集落のなかを走っても差し支えないだろうと判断しました。交通安全には細心の注意を払いつつ、できるだけクルマの交通量が少ない生活道路を走るルートを考えました。全行程を生活道路でカバーできるわけではありませんが、生活道路をつなぎ合わせることで、全体の8割ほどをクルマの少ない安全な道をのんびりと走って通詞島に行けそうです。 |
| 天草の出島。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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通詞島の通詞(つうじ)とは「通訳をする人」という意味だそうです。推測ですが、江戸時代の海外貿易の拠点だった長崎・出島と同じように海外との貿易が盛んで、通詞(通訳)さんがたくさん住んでいたために“通詞島”と呼ばれるようになったのかも知れません。
天草・下島と通詞島とのあいだには橋脚の長いアーチ型の橋がかかっています。青く透きとおった海の上に、たくさんの漁船が停泊しているのが橋の上から見えました。漁船は碇(いかり)をおろして停泊しているのではなく、エンジンをかけて微妙に左右に蛇行しながら、ほぼ同じ場所に停止しています。 ここの海峡はとても流れが速いようで、エンジンで推進力をかけていないと沖へ流されてしまうようです。魚など何らかの群れが海峡を通っているようで、甲板にいる漁師さんたちが忙しそうに動き回っています。恐らく船を左右に移動させながら海峡にある海洋資源を捕獲しているのだと思います。 漁船は何十隻と船団を組んでいて、それぞれ数十メートルの間隔を保ちながら、みな同じ方向を向いています。これだけ潮の流れが速いと、万が一、海へ落ちたら、たいへんなことになってしまいます。漁師さんが命がけで魚を捕っているのを、目の当たりにして、改めて海洋資源の貴さを思いました。
通詞島は大きな岩の塊(かたまり)という印象を受けました。島のてっぺんからは天草灘を一望でき、晴れた夕暮れ時には、美しい夕日が見えるそうです。とりわけ見晴らしのよいところには、ちょっと高級感がある旅館や民宿が並んでいました。 また、島の端の方には、風力発電のための大きな風車が一基建っていました。これがあるということは、きっと秋から冬にかけて、この付近に強風が吹き荒れるのだと思われます。 わたしは、風車のたもとで休憩しました。いまの時間は朝10時ちょっと前です。のんびりペダルを回してきても4時間もかからなかったということは、帰りもこの調子で、予定している午後2時までに本渡のお宿に戻れそうです。通詞島をあとにして、県道27号線に入りました。 この道は、国道ほど交通量が多くないのですが、路線バスが頻繁に通ため、県道とほぼ平行に走る農道や生活道路を走らせてもらうことにしました。道路を走っていると立派な邸宅がたくさん目にとまりました。わたしが活動拠点としている東京・吉祥寺の井の頭公園付近にも高級住宅は多いですが、家の豪華さと庭の広さでは、ここの民家は決して負けていません。 |
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| 天草空港。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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しばらく走ると天草空港の近くに来ました。まだ時間に余裕もありますし、空港に立ち寄っていくことにしました。2000年に開港した滑走路1000メートル×1本の小さな空港です。わたしが行ったときは天草と福岡・熊本のそれぞれの空港を結ぶ天草エアライン(株)のカナダ製小型プロペラ機「ダッシュ8」が駐機していました。
この航路は割り引きもなく、わたしのような予算の少ない旅行者には縁遠い存在です。福岡や熊本など中途半端な距離を飛んでいるのも不便さを増しています。便数も少なく、時間帯によっては福岡や熊本での乗り換えもスムースにできません。 そこで、思ったのですけれど、この「ダッシュ8」の航続距離は非常に長い1900キロメートルもあるのだから、たとえば、東京・調布飛行場までの1000キロメートル足らずを結ぶことだってできます。 新宿駅前から天草行きバスを走らせて調布飛行場で「ダッシュ8」に乗り換えるようにすればとても便利。価格は新宿駅前からのバス代など全部込みでスカイネットアジア航空の羽田−熊本空港間の料金と同じ片道1人2万5000円。往復料金はちょっと割り引いて4万8900円とします。 さらに、天草の地元の旅館と組んで2泊3日で“5万円ぽっきり”で「天草込み込み周遊パック旅行」の企画をつくります。宿泊先旅館では、基本料金にプラス3000円で超おいしいウチワエビの活けづくりを選択できるようにします。また、プラス2500円でビール飲み放題コースを追加できるようにする! 1万円上乗せすれば、地元民謡のハイヤ節の生演奏もつく!! 観光先で提携先しているおみやげ屋さんで1本2500円の地元名産の高級椿油(つばきあぶら)をたくさん売れば客単価も自然にあがります。パック旅行5万円の収支はトントンに設定しておいて、天草での付加価値サービスおよび物販で客単価アップと収益拡大を図ればいいと思います。せっかく立派な空港があるのだから、利用客をもっともっと増やさないともったいないですからね(笑) |
| さようなら天草。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
熊本港に着いたあと、すぐにタクシーを捕まえて、熊本空港へ大急ぎで飛ばしてもらいました。天草に来るときにバスの運転手さんが「時刻表どおりに運行するのは年に1、2回あるかないかです。離陸の時間が迫っているんだから、路線バスは絶対に乗らない方がいい」と、時間がとても不正確だと忠告してくれたため、わたしは迷わずタクシーに乗りました。 飛行機に乗ってからは2時間弱で羽田空港に着きました。あっという間でした。またいつか、青や緑に輝く天草の美しい島々を自転車で走りたいと心から思いました。 |
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