足柄から芦ノ湖へ行く
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箱根・芦ノ湖を目指す。(◆の段落か写真をクリックすると写真が見られます)
小田急線・新松田駅にて。

 03年7月、小田急線の新松田駅から箱根・芦ノ湖(あしのこ)まで登りました。また、梅雨が明ける前でしたので、たまたま晴れた休日の機会を捉えて、勢いよく走ってきました。

 途中、金太郎(のちの坂田金時)さんの生家や、かわいい土人形をつくっていらっしゃる芸術家の工房にも立ち寄らせていただきました。また、今回は、「があ子の自転車ザンマイ」始まって以来の“ヒッチハイク”も経験しました。

 箱根・芦ノ湖は観光地の中の観光地。日本全国から来客がある一大行楽地です。このため、国道やメジャーな県道はマイカーやトラックが多くて危険です。自転車でのんびりと走ることはできません。

地図をクリックすると拡大します。

 ◆そこで、わたしは地図のなかから、芦ノ湖までの“裏道”を探し出しました。左側に地図を掲載しましたので、ご参照ください。押すと写真が出ます。

 地図で示したように、箱根・芦ノ湖とは方向が違う“足柄峠(あしがらとうげ)”に走る県道と、一般車両(マイカー)通行止めの矢倉沢林道(やくらざわ)を組み合わせて、芦ノ湖に大接近するという計画です。

 具体的には、小田急線・新松田駅から県道78号線を足柄峠方面に登り、地蔵堂(じぞうどう)まで行きます。そこから一般車両通行止めの矢倉沢林道を経て、芦ノ湖まで登るというルートです。行政区画では、南足柄市を横切って、箱根町(芦ノ湖)に登るというイメージです。


いざ、小田急線・新松田駅を出発。(◆の段落か写真をクリックすると写真が見られます)
金太郎とわたし。

 この日は、晴れ時々曇り、降水確率10%、最高気温28度の、まずまずの天気でした。朝4時半に起きて、小田急線・新宿駅を朝5時31分に出発する箱根湯本行きの急行に乗りました。小田急線・急行の新宿始発です。

 ほんとうは、ちょっと贅沢して「特急ロマンスカー」に乗りたかったのですが、新松田駅に停まる特急ロマンスカーは、新宿駅を朝7時00分に出発するのがいちばん早くて、これでは急行に乗った方が早いです。

 新松田駅からは、まず、酒匂川(さかわがわ)にかかる足柄大橋(あしがらおおはし)を目指して走り始めました。足柄大橋に着くまでは、たくさんのファーストフード店が軒を並べていました。わたしは、少しお腹が減っていたため、ミスタードーナツで、ドーナッツを買って、持って行くことにしました。

 ◆ドーナッツをリュックに入れて、しばらく走ると、足柄大橋に着きました。橋の欄干には、大きな金太郎の銅像がありました。言い伝えと同じように、鉞(まさかり)を担いだ金太郎が、熊に跨(またが)っていました。わたしも、格好をまねてみましたが、小道具の鉞がないと、いまいち決まりません。それに自転車は熊に比べて、ちょっと細すぎる感じがありますね。押すと写真が出ます。

電信柱にもたれて休憩。

 足柄大橋を渡って、すぐの交差点から左に曲がり、県道78号線を足柄峠に向かって進みました。ここから本格的な登り坂が始まります。ここは国道246号線と平行に走る県道であるため、予想通り、交通量はそれほど多くなく、助かりました。ふつうは、細い県道より、走りやすい国道を走るからです。

 ◆坂道を上り初めて1時間くらいしたら、急にお腹が減ってきました。登り坂の途中に、ちょっとした路側帯があったので、そこで、さっき買ったドーナッツをリュックから取り出して食べました。薄日が差す、暑くもなく、寒くもない、自転車に適した陽気です。電信柱に背もたれて休憩しました。押すと写真が出ます。


金太郎の生家。(◆の段落か写真をクリックすると写真が見られます)
あじさいの花がきれい。

 県道78号線をしばらく走ると地蔵堂に着きました。この地蔵堂は、県道78号線と、わたしが目指す矢倉沢林道との丁字路に位置しています。ここから矢倉沢林道に向けて、さらに登り坂が続きます。梅雨の真っ最中のこの時は、美しい青いアジサイが咲いていました。

 ◆矢倉沢林道に入ってすぐのところに、金太郎が遊んだとされる大きな岩「金太郎の遊び石」がありました。三省堂の大辞林によれば、金太郎は足柄(あしがら)山で、熊などの動物といっしょに育ち、力持ちの怪童だったということです。のちに、坂田金時(さかたのきんとき)と改名し、平安時代中期の武将になったと言い伝えられているそうです。押すと写真が出ます。

「金太郎の遊び石」とわたし。

 ◆「金太郎の遊び石」と、近くにあった解説用の看板です。「金太郎の遊び石」は、この看板のすぐ後ろの田んぼの真ん中にあり、苔(こけ)に覆われていました。岩のまわりには、あじさいの花が咲いていました。押すと写真が出ます。

 ◆数十メートル離れたところに、金太郎が生まれたと言い伝えられる生家の跡地がありました。このあたりなら、自然豊かだし、車の交通量も少なかっただろうから、金太郎も、思う存分、遊び回ることができたでしょう。でも、自然が厳しいから、却って危険かな?押すと写真が出ます。

 金太郎が生きてきたのは平安中期で、推定西暦1000年くらい。つまり今から1000年も前の時代です。だから、今は、もう金太郎の生家が残っているわけもないので、わたしは先を急ぐことにしました。ところで、たとえば、今から1000年後の西暦3003年、いったい何が残っているでしょう? 金太郎の遊び石は、まだ残っているかしら。


金太郎窯と足柄人形。(◆の段落か写真をクリックすると写真が見られます)
金太郎窯・足柄人形。

 金太郎の生家から立ち去ろうとしたとき、土でできた小さな人形が、民家の軒先に並んでいるのを見つけました。土人形は「金太郎窯・足柄人形」と言い、金太郎窯当主の府川泰行さんが制作しているものです。足柄人形は、土の温かみがあり、今にも元気いっぱいに踊り出しそうな躍動感がありました。特別に許可をいただき、写真を撮らせていただきました。押すと写真が出ます。

 足柄人形のあまりのかわいらしさと力強さに惹かれ、足柄人形工房に立ち寄らせていただくことにしました。わたしは、鹿の土人形が気に入り、どうしても持って帰りたくなりましたので、金太郎窯の府川さんに、「あの、自転車なのですが、壊れずに持って帰る方法はありませんか?」と訪ねました。

足柄人形の工房とわたし。

 ◆すると、府川さんは、小さな手作りの箱に、人形を丁寧に入れてくださり、リュックにそのまま入れられるよう梱包してくれました。その箱のなかに入っていた“足柄人形の案内”の書かれた紙片が、この写真です。「小さいながら生命力いっぱいの人形たち、素朴なもの、格調高いもの… どれも丹誠込めて造った自信作です」と書いてあります。押すと写真が出ます。

 ◆金太郎窯工房の全景です。小さな民家の形をした、夢いっぱいの工房です。府川さんから、この先、芦ノ湖までの地図をいだたきました。わたししが手に持っているのがそうです。手持ちの8万分の1(8万図)の地図に比べ、とても詳しく書いてあり、助かりました。ありがとうございます。押すと写真が出ます。


矢倉沢峠を越える。(◆の段落か写真をクリックすると写真が見られます)
ここから一般車両通行止め。

 矢倉沢林道は、一般車両(マイカー)通行止めですが、わたしが走ったときは、とくにゲート(遮断門)が閉まっているわけではもなく、事実上、マイカーでも走れる状態でした。でも、地図上では、通行止めになっているため、県道78号線に比べれば、明らかに車の交通量は減りました。

 直線距離で約4キロ(実走距離で約8キロ)登り坂を走れば、矢倉沢峠に着きます。標高約800メートルくらいだと思いますが、この林道の出発点である地蔵堂(金太郎の生家跡付近)の標高がすでに高いことや、林道じたいが蛇行していることなどで、全体の80%くらいは自転車の乗って登ることができました。

 矢倉沢峠に近づくにつれて、登り坂の傾斜が厳しくなりますが、それでも、わたしが自転車の乗って登れる限界の登坂傾斜10度を大きく超えるような箇所は、それほど多くありませんでした。

金時トンネル左側で休憩するわたし。

 登り坂を2時間ほど走ると、矢倉沢峠に着きました。ここには「金時トンネル」があり、峠の頂上まで登らなくても向こう側(箱根・芦ノ湖側)に抜けられるようになっていました。

 金時トンネルまで登ってきて、かなり疲れたので休憩を取りました。左の写真は金時トンネルを抜けた箱根側の待避場所で寝ているときのものです。約20分ほど休憩したら、気分がすっかりよくなりました。

 金時トンネルからは下り坂で、国道138号線まで、あっという間に下ることができました。やはり、観光地に近いだけあり、国道138号線は、マイカーで自然渋滞を起こしていました。芦ノ湖は、この国道の反対側の山の上にあります。わたしは、国道を横切り、再度、登り坂を登り始めました。


芦ノ湖に到着。(◆の段落か写真をクリックすると写真が見られます)
芦ノ湖で休憩。

 芦ノ湖までは、もう、目と鼻の先ですが、湖に近づけば近づくほど、車の交通量が増え、走りにくくなります。

 本来、このあたりは、仙石原(せんごくはら)と呼ばれ、標高650メートルの高原で湿原植物が群生する風光明媚なところです。しかし、車といっしょに走るのが苦手なわたしは、風景を楽しむ余裕はありませんでした。車の排気ガスで、見る見る間に服や顔が汚れていくのが分かりました。

 幸い、悪意ある“幅寄せ”を食らうことはありませんでしたが、わたしは、やっとの思いで芦ノ湖まで漕ぎ着くことができました。芦ノ湖には、たくさんの遊覧船が運行していました。芦ノ湖に無事到着し、安心したため、急にお腹が減ってきました。

芦ノ湖の高級食堂。

 さすが、日本有数の観光地だけあって、湖畔には、たくさんの売店や食堂が並んでいました。観光バスやマイカーも、次から次へと集まってきます。わたしは、近くの食堂に入り、お蕎麦を食べました。これが、1杯800円! ものすごく高いのに驚きました。東京・新橋あたりだったら、たぶん1杯360円くらいです。左の写真は、あまりの高さに驚いている様子です。

 ◆芦ノ湖には、たくさんのスワンボートがありました。家族連れや恋人どうしで来た観光客が、スワンボートで楽しんでいました。ところで、「スワンボート」って、どのような経緯を経て、今のデザインになったのでしょうか? わたしは、芦ノ湖のたくさんのスワンボートを見ながら、不思議に思ってしまいました。写真は、スワンボートとわたしです。でも、スワンボートに乗るのはやめました。自転車で何時間も苦労して芦ノ湖まで登ってきたあと、また、足漕ぎのスワンボートに乗るのは、疲れるからです(笑)押すと写真が出ます。

 わたしは、海外の湖を、あまり見たことがないので分かりませんが、中国の西湖、スイスのレマン湖、米国の五大湖にも、スワンボートが浮いているのでしょうか。知っている方がいたら、教えてください。もし、スイスのレマン湖に、ここにあるのと同じスワンボートが浮かんでいたら、たぶん、日本からの輸出だと思うんだけど。違うかな?


ヒッチハイク。(◆の段落か写真をクリックすると写真が見られます)
地図をクリックすると拡大します。

 わたしは、大きな誤算をしていました。芦ノ湖からは、湖尻峠を(こじりとうげ)越えて、県道337号線でJR東海御殿場線(ごてんば)の岩波駅(いわなみ)に下ろうと計画していました。ところが、途中、必ず通らなければならない有料道路の部分が、軽車両や歩行者を通行止めにしていたのです。

 これまで、すべての有料道路は、歩行者や自転車も有料(または無料)で通行できるものだと思っていました。自動車学校では、確かに、高速道路は「最低速度違反」(※)があり、その速度を満たせない車両や歩行者は、通行禁止になっていると習いました。しかし、有料道路は、基本的に一般道であり、一般道は、何か特別な理由がない限り、誰でも通行できると解釈していました。

 ※確か40〜50キロ以下で走ったら違反だったような記憶があります。自転車は、そんなに速度を出せないので、もし、高速道路を走れたとしても、即刻、最低速度違反になるのではないでしょうか?

箱根スカイライン。

 ところが、箱根・芦ノ湖周辺の有料道路は、自転車や歩行者が全面通行止めの“自動車専用道路”になっていました。しかし、上記地図で示したように、芦ノ湖から県道337号線に出るには、一部分、有料道路を通らなければなりません。芦ノ湖の周囲は、国道138号線や国道1号線など、幹線道路に挟まれていて、他のルートでは危なくて麓(ふもと)まで下れません。

 そこで、ヒッチハイクをすることにしました。たまたま、自転車を積めそうなトラックが通りかかったため、無理を承知で、湖尻峠まで乗せていってもらうことにしました。

 トラックのおじさんは、「ここらへんは、車が多いから、自転車や歩行者は通行止めにしてあるんだよ」と話しながら、湖尻峠までの約2キロ弱の登り坂を、自転車とともに運んでくれました。ほんとうにありがとうございました。


湖尻峠。(◆の段落か写真をクリックすると写真が見られます)
湖尻峠で走る。
 ◆自転車だけでは、決して来られない湖尻峠での貴重な写真です。箱根付近の有料道路は、トラックのおじさんが言った通り、ものすごいスピードで疾走する車が、たくさん走っていました。四輪車だけでなく、オートバイもたくさん走っていました。とても危なくて、自転車などでは、絶対に走ることができません。また、景色がよいため、脇見運転にもなりがちです。押すと写真が出ます。

 ◆何台かの自動車やオートバイは、湖尻峠で折り返して、来た道を走り去り、またしばらくすると、同じ車両が湖尻峠まで戻ってきました。おそらく折り返し運転をしているのだと思います。わたしも、もう、二度と来られないだろう湖尻峠の小さな広場で、くるくると折り返し運転をしました(笑)押すと写真が出ます。

 ◆もし、晴れた日だったら、ここから富士山も見えるんじゃないだろうか?押すと写真が出ます。

JR御殿場線・岩波駅にて。

 ◆親切なトラックのおじさんのおかげで、無事に県道337号線を下って、JR東海の御殿場線・岩波駅に到着することができました。これから、有料道路を走るときは、必ず、事前に道路管理事務所か自治体の担当者の方に電話で、「自転車が通行可能かどうか」を確認する必要があることを痛感しました。押すと写真が出ます。

 実際、多くの有料道路は、軽車両(自転車)でも通れるようになっているのと同時に、芦ノ湖周辺の有料道路で見られるような速度超過気味の疾走車の数も少ないように思います。逆に、ここ(箱根・芦ノ湖)が、日本有数の観光地であるとと、自動車やオートバイのエンジン性能や、ボディの耐久性を実測する場所になってところあたりが、ちょっと特殊であるように思いました。



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