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【3】先山のおいしいお餅とたこせんべい
淡路島総力特集
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先山の千光寺。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 淡路島の名高いお寺・千光寺(せんこうじ)に行きました。千光寺は標高448メートルの先山(せんざん)の山頂にあり、わたしは五色町(※)方面から登りました。帰り道は、少し足を伸ばして、淡路島名産の「たこせんべい」の直売所に立ち寄り、職場や田舎へのおみやげを買いました。

淡路島三大名山のひとつ先山(さきやま)に元気よく登りました。途中、土砂崩れが起きた場所に遭遇しましたが、なんとか乗り切りました。

 ※五色町は2006年2月11日に隣町の洲本(すもと)市と合併して洲本市になりますが、今回のツーリングでは合併前であるため「五色町」の表記を使います。

 千光寺を山頂にいただく先山は、淡路島の三大名山のひとつで、その美しさから「淡路富士」とたたえられています。先山の頂上へは、五色町方面と洲本市方面の両方から登ることができます。わたしは今回の活動拠点にしている五色町側から登りました。

 淡路富士と呼ばれるのは、山の外観が先の尖った富士山に似ているからだと思い、先山に登る前に類似した山を探しましたが、どれが先山なのか、うまく探し出せませんでした。ひょっとすれば、洲本市方面からなら富士山の形をより鮮明に見ることができるかも知れません。

 五色町から洲本方面に通じる地方道46号線に入り、途中から先山山頂へ通じる地方道465号線に入りました。465号線はとても細い道で、この道に出入りするクルマは1台もありませんでした。わたしは少し不安になり、道の入口付近で道路工事をしている方に、「この道は先山に通じますか?」と訪ねました。工事担当の方は、少し戸惑ったような顔をして、「通じるけど土砂崩れでクルマは通れないよ。自転車や徒歩なら行ける」と教えてくださいました。

 昨日、三大名山のひとつ諭鶴羽山(ゆづるはさん)に登ったときも、土砂崩れで道路の一部が崩落してしましたが、ここ先山でも同じように道路が崩れているなんて驚きました。先山に続く地方道465号線に入ると、クルマがまったく通らなくなりました。山を登っていくと、クルマのエンジン音がまったく聞こえなくなり、沢のせせらぎやカエルの鳴き声だけが静かな山に響いています。

 ◆先山に登る途中で録音しました。「山に入ると、川のせせらぎやカエルの声が聞こえて、とても安らぎます。山に入るとここが海に浮かぶ島だということを忘れてしまいそうです」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間40秒、ファイル容量319KB、MP3形式)

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今回の活動地域を示した地図です。クリックすると拡大します。
今回の走行ルートで示した地図です。先山・千光寺、たこせんべいの里の順で走りました。
走行ルートの高低差を示した図です。カシミール3Dで制作。
先山に登る途中の地方道465号線は、土砂崩れが起きていました。
目測で5−10メートルにわたって道が崩れていました。
写真左手の山の斜面から流れてきた土砂が、道路を同右側に押し流したようです。
激しい土砂崩れ。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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先山に行く途中には、他にも土砂が崩れた箇所がありました。地方道465線にて。
道路を支えている土砂が大きく崩れた箇所もありました。山手の土砂が路面に崩れ落ちたり、道路を支える土砂が崩れて陥没したりと、道路がつくられている地形によって崩れ方はさまざまです。
崩れた道路の道幅は3分の1ほどに細くなっていました。表面のアスファルトだけ残っている部分もあり、足で踏んだら崩れ落ちそうです。
道路が崩れているところは至るところにあり、淡路名物「たこせんべいの里」に行く途中の道も一部崩れていました。
道が崩れた現場には不法投棄も見られました。捨てられているのは洗濯機のようです。
先山の頂上付近から対岸の和歌山県が見えました。手前の海は大阪湾と紀伊水道を結ぶ友ヶ島水道だと思います。

 先山の頂上には名刹・千光寺がありますが、そのお寺の入口には淡路島でもっともおいしい羊羹(ようかん)を振る舞うことで有名なお茶屋さんがあると、五色町のお宿の人が教えてくれました。お茶屋さんは、千光寺の入口の両側に2軒あります。西側が「西茶屋」で、東側が「東茶屋」と呼ばれています。ただ、営業時間が短いため、先を急がないと、おいしい羊羹を食べ損ねてします。

崩れた箇所も、歩いてなら何とか渡ることができました。

 羊羹につられながら先山に続く465号線をぐいぐい登っていくと、道路工事の担当者の方が教えてくれたように、土砂崩れで道路が途切れていました。道路は最大で10メートルほど、短いところで5メートルほど崩れていました。道路は沢をまたぐ形でつくられていて、恐らく沢沿いに鉄砲水のような土砂崩れが起き、そのまま沢と交差する道路を押し流してしまったのだと思われます。

 途切れた道路は、クルマでは絶対に通れませんが、徒歩なら、いったん沢の方まで降りて、そこから向こう側に登れば、なんとか渡ることができます。沢には、すでに水はなく、自転車を担いで、容易に向こう側に行くことができました。しばらく進むと、今度は山手から崩れてきた土砂が道路に堆積して、クルマが通れない箇所に出くわしました。他にも小規模な土砂崩れが至るところに見受けられました。

 道路は、使われなくなって時間がたつとアスファルトの表面にコケが生えたり、亀裂から草が生えてきたりするのですが、ここの道路はまだそこまで朽ちてはいませんでした。このことから、恐らく昨年(2004年)の台風シーズンに降った豪雨により、土砂崩れが連続して発生したのではないかと思います。

 ◆先山の山腹で録音しました。「昨年の台風のものと思われる爪跡が、山の至るところに残っています。崖崩れの土砂で道路が埋まっていたり、道路の下の土砂が崩れて、路面が陥没していたりしています」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間29秒、ファイル容量227KB、MP3形式)

 先山の山頂にほど近いところで海が見え、その向こうに離島や陸地が見えました。現在位置からおおよそ東の方向に見えることから、その陸地は対岸の和歌山県だと思います。

 ◆海の向こうに和歌山県が見えたときに録音しました。「千光寺の手前で海が見え、その海の向こうに島が見えました。最初は淡路島の離島・沼島(ぬしま)かと思いましたが、地理的にあれは隣県・和歌山県の友ヶ島だと思います。その向こうには和歌山県の山々が見えます」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間39秒、ファイル容量308KB、MP3形式)

先山西茶屋。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 山頂付近まで登ってくると、わたしの通ってきた道は、洲本市方面からの道と合流します。合流後は、たまにクルマの通りがありましたので、洲本市方面からの道は、クルマが通れないほどの道路の崩落はないものと思われます。

 行き止まりまで登ると、お宿の人が話していた通り、お茶屋さんがありました。お茶屋さんは千光寺の入口の両側に計2店あるのですが、この日は東茶屋はお休みのようで、西茶屋のみ営業していました。西茶屋の看板の脇には「御早めに御注文ください」と書かれていました。

 このため、わたしは、千光寺にお参りする前に、早速、お茶屋さんで先山名物の羊羹をいただくことにしました。このお店は、手作りのおいしい「餡(あん)」をいちばんの“売り物”にしているようです。餡は和菓子の主材料となり、そのおいしさを大きく左右します。この日のメニューには、お餅に餡をのせたお団子や、餡を練った羊羹などがあり、わたしは両方ともいただいてみることにしました。

 口に運んでびっくり。さっぱりしていて、原料の小豆(あずき)の味がほんのり残るおいしい餡です。

 このお店の羊羹は、餡のおいしさをそのまま練り込んだ素朴な味であるにも関わらず、小豆のコクがたくさん詰まっています。一方、お餅はモチモチと柔らかく、たっぷりの餡との相性は抜群です。お餅と餡が口の中で混ざり合い、食べ応えのあるほのかな甘さが、なんともいえない満足感を与えてくれます。ちょっと渋めの緑茶と、餡のしっとりとした甘みが、とてもよく合います。

 お茶だけでなく、コーヒーもいただきました。和菓子とコーヒーって、渋めのお茶ほどではなくても、意外に合うなと思いました。時間は午前11時頃で、お昼を前にしてコーヒーが飲みたくなる時間帯です。急な斜面を登ってきたあとに、山頂のお茶屋さんでいただくコーヒーは、それだけでもおいしいものです。

 この時、西茶屋の来客はわたしだけでしたが、千光寺は仏教の霊場めぐり「淡路西国八十八ヶ所」の第1番目の札所であり、また、地元淡路島の方が無病息災を祈願して先山に登る「先山参り」の習慣が定着していることから、普段は参拝客でよく賑わっているそうです。西茶屋のお座敷の窓からは、淡路島の山々を見渡すことができ、羊羹やお団子のおいしさを、より一層、引き立ててくれます。

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先山の頂上で千光寺の門前の茶屋「西茶屋」さんの前にて。門の向こう側には「東茶屋」があります。
先山名物のおいしい羊羹とあんころ餅をいただきました。
いい香りのコーヒーや渋い緑茶が、羊羹などとよく合います。お座敷の窓からは、淡路島の山々を見渡すことができ、羊羹やお団子のおいしさを、より一層、引き立ててくれます。
餡は和菓子の主材料となり、そのおいしさを大きく左右します。西茶屋の餡は、素材の小豆の味がほんのり残るおいしい餡です。
石段を登って千光寺の本堂があるところまで登ってきました。見晴らしはとてもいいです。
千光寺。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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千光寺の境内にて。写真正面が本堂、右側が三重の塔、左側が鐘をつく鐘楼です。
千光寺の大きな本堂の前にて。通常、狛犬のいる位置にイノシシの石像があります。
本堂に接近して撮った写真です。「千手観音」と書かれた大きな赤い提灯が見えます。
鐘楼から三重の塔を撮りました。境内の施設はよく手入れされており、お寺を管理する住職さんたちの熱意が伝わってきます。
三重の塔の前にて。寄付金額などを書き記した石塔が、まるでブロック塀のように並べられています。たくさんの方々の厚い支援が集まっていることがうかがえます。
千光寺を背にして見渡した写真です。淡路島三大名山の先山の頂上だけあって眺望は抜群です。

 千光寺は、いまから1000年以上も前の901年に建てられたという古いお寺です。伝説によると、当時、兵庫県南部の播磨地区で猟師をしていた忠太さんが弓矢でイノシシを射たところ、そのイノシシは矢が刺さったまま海を渡って淡路島の先山まで逃げました。忠太が先山に登ると胸に矢が刺さった千手観音像があった…。イノシシは、実は千手観音という神様だったとの言い伝えが、先山に千光寺を建てる由縁になったそうです。

千光寺建立の経緯から、千光寺の狛犬は、犬や獅子ではなく、イノシシの形をしています。

 ◆このためか、千光寺の狛犬は、犬や獅子の形ではなくてイノシシの形をしています。千光寺の境内で録音しました。「千光寺には、イノシシの姿をした狛犬がいました。狛犬じゃなくて、コマシシ…?」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間27秒、ファイル容量218KB、MP3形式)

 境内には、三重の塔や鐘をつき鳴らす鐘楼(しょうろう)があります。こうした貴重な施設の維持管理費は、地元の方や信者の方の寄付金によるところが大きいようで、境内の至るところに、施設の維持に協力された方々の寄付金額と居住地、氏名(法人名)などが彫られた石塔が建てられていました。石塔は横一列に並べられて、まるで“ブロック塀”のようにも見えますが、よく見るとひとつひとつ独立した石塔です。

 1995年の阪神淡路大震災で損傷した施設の修復のためか、真新しい石塔も数多くありましたが、中には第二次世界大戦以前の古い石塔もありました。戦前の石塔には「朝鮮」「新京」など旧海外県や旧満州国の地名なども見られました。恐らく淡路島や千光寺にゆかりのある方が、さまざまな理由で海外へ行き、そこから寄付されたものが今に残っているのだと思います。施設の一部は重要文化財に指定されるなど由緒正しい千光寺ですが、寄付金額を書き記した何げない石塔からも長い歴史を感じます。

戦前の古い石塔には「朝鮮」「新京」など旧海外県や旧満州国の地名なども見られました。寄付金額などを書き記した何げない石塔からも歴史を感じます。

 千光寺を後にしたわたしは、来た道を下って、淡路名産の「たこせんべい」の直売所に足を伸ばすことにしました。直売所は、地元のおせんべい製造会社の多幸(淡路市)が「たこせんべいの里」の名前で運営しています。たこせんべいの里は、高速道路の神戸淡路鳴門自動車道の津名一宮インターチェンジのすぐ近くにあるのですが、わたしは自転車なので、クルマの通りが比較的少ない山の中の地方道を通って行きました。

たこせんべいの里。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 たこせんべいの里は、大きくて近代的な工場の建物の一部を、直売所に改造したようなつくりになっています。館内の一部では、たこせんべいを梱包するなどの生産設備があり、来館者は、たこせんべいが仕上がる様子を見学することもできます。館内を大きく分けると、工場見学コーナーと休憩コーナー、試食・販売コーナーの3つからなっており、休憩コーナーでは無料でおいしいコーヒーをいただくことができます。

淡路島名物「たこせんべい」を直売する「たこせんべいの里」にて。タコやイカ、エビなど淡路島近海でも生息している海産物のおいしさを取り入れて、香ばしいおせんべいに焼き上げています。

 まず驚いたのが、たこせんべいの種類の多さです。タコだけでなく、エビやイカのおせんべいもあります。すべての商品を合わせると30種類くらいにはなると思います。たこせんべいの里では、販売する商品の一部を試食できるため、わたしは、いろいろなおせんべいを試食させてもらいました。それぞれのおせんべいの味に個性があり、ついついみんな欲しくなってしまいます。

 迷った末に選んだのは、生タコをふんだんに使って薄く焼き上げた「たこうす焼き」、生イカの足をそのまま焼いてみりん醤油で甘辛く味付けた「いかのあまだれ」、生エビや生イカ、小魚を混ぜてカリッと揚げた「磯みりん」で、他にも各種おせんべいを取り混ぜて小袋に入れた「ミックス」なども買いました。

 単品で購入したのは田舎や自宅用として、さまざまな種類のおせんべいが小袋に入ったミックスは職場のおみやげ用として購入し、たこせんべいの里から宅配便でそれぞれの目的地に送ってもらいました。

 タコやエビ、イカのおせんべいが、こんなにおいしいものだとは知りませんでした。海のタンパク質特有のダシがよく溶け込んでいて、コクのある味わいを楽しめます。それでいて、脂っこくなく、カリッとしたさわやかな舌触りです。名産のたこせんべいは、全国的に知名度が高いようで、広々とした駐車場には観光客をたくさん乗せた大型バスやマイカーがところ狭しと並んでいて、おせんべいは飛ぶように売れていました。

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(株)多幸が運営している淡路名産「たこせんべい」の直売所「たこせんべいの里」。
たこせんべいの里は近代的なおせんべい工場の内部にあります。
ガラス越しに、おせんべいの生産工程の一部を見学できます。
五色町に戻る途中にあった小さな集落の片隅で、少し休憩をさせてもらいました。
これまで山道を走ってきましたが、帰りは海沿いの道を走ります。この坂を下りれば播磨灘に出ます。
五色町の夕日。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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五色町に着いたときはちょうど夕暮れ時でした。五色町は夕日がとても美しいことで有名です。
五色町の港はよく整備されていて、防波堤はまるで公園のようになっています。観光客や近所の方が、美しい夕日を眺めに来ていました。
五色町の港近くに設置してある風力発電用のプロペラのシルエットが印象的です。海は黄金色の淡い太陽光を反射し、空は藍色に染まっていきます。

 たこせんべいの里で、予想以上にたくさんの買い物をしたため、すっかり遅くなってしまいました。山の中を通る道では、帰るのが遅くなってしまうため、わたしは播磨灘に面した海沿いの道を走ることにしました。この道は地方道31号線で、初日に淡路島北部の岩屋港から五色町まで走ったときの道です。少々クルマの交通量が多いのが難点ですが、起伏の差がほとんどないため、五色町に早く着くことができます。

夕日を浴びて美しい黄金色に輝く五色町の堤防にて。

 五色町に着いたときは、ちょうど日暮れのときでした。五色町の港は夕日を浴びて黄金に輝き始め、これまで青かった空は濃い藍色に変わっていきます。播磨灘に沈む美しい夕日は、淡路島の各所から見ることができますが、その中でも五色町から見る夕日は特に美しいと言われています。この日、五色町からの夕日を眺めてみて、なるほど視界を遮る山がなく、遠く見える本州の向こう側に沈んでいく美しい太陽を楽しめることが、よく分かりました。

 ◆日が暮れたあと、港からすぐ近くのお宿に戻って休みました。次回は、五色町の美しい砂浜“五色浜”と、防風・波消しのための“青い松”の林の中を自転車で走るツーリングレポート「【4】白砂青松・文人墨客ため息の美しさ」です。ここをクリックするとリンクします。



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