| 五色浜へ。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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淡路島で最も美しい海岸と言われる五色浜(ごしきはま)へ行きました。五色浜は乳白色の美しい石英などの小石が敷きつめられた浜で、この小石に反射した光によって海水がエメラルド色に輝いて見えます。浜沿いには風を防ぐための松林が広がっており、白砂青松の日本らしい波打ちぎわの景観を形づくっていました。さらに南下して鳴門海峡も望んできました。
お宿を借りている五色町(※)から五色浜までは、5−6キロメートルと近くて、自転車で海沿いに走れば30分ほどで到着します。砂浜と松林の長さは4キロメートル近く続き、この区間に海水浴場や散歩道などの公園施設が整備されています。これだけの規模で白砂青松が続くのは全国的にも珍しく、淡路島の観光名所として多くの人に親しまれています。 ※五色町は2006年2月11日に隣町の洲本(すもと)市と合併して洲本市になりますが、今回のツーリングでは合併前であるため「五色町」の表記を使います。 4キロメートル近くの区間には、乳白色の美しい小石が敷き詰められた「五色浜」の部分と、白い砂浜と青い松林が茂る「慶野松原」(けいのまつばら)の部分に別れます。行政区域で見ると、五色浜が五色町に属し、慶野松原は南あわじ市(旧:西淡町)に属しています。五色浜と慶野松原は浜辺としては一体的に整備されているのですが、行政区域が異なるためか、まるで別物のように紹介されることが多いようです。 わたしは五色町側から入ったため、まず先に「五色浜」を楽しみ、そのあと青い松林が美しい「慶野松原」へと自転車を進めました。 高波を防ぐ堤防の切れ目から五色浜に入ると、乳白色を基調とした小石や砂利が浜辺全体に敷き詰められていました。五色浜を解説した環境省・兵庫県の案内板によれば、この小石や砂利は「チャート」と呼ばれる石英の細かい粒が主体になっているそうです。石英そのものは乳白色のものから無色透明の水晶のようなものまで日本全国によく見られる鉱物ですが、その石英が砕けて浜辺全体を形づくっているところはとても珍しいそうです。 いくつかの小石を手にとって見てみると、乳白色の石もあれば、茶色や緑色などの色がついた石もあります。これはチャートに混じる不純物によって、色が着いたもので、よくよく調べてみると黒色や緑色、茶色、赤色などのさまざまな色の石がありました。このため、たくさんの色があることを表す言葉「五色」が浜の名前の由来となり、五色浜と呼ばれるようになったそうです。 | クリックすると拡大します。 |
| エメラルド色の海。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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五色浜の海は、エメラルド色に輝いていました。これまでたくさんの海岸を自転車で走ってきましたが、これほど明るい色の海は初めて見ました。海が青く透明で、海底が透けて見えるのは、一般に海の水が澄んでいるからだと考えられがちです。「ここの海はきれいねぇ。ほら、海の底まで透き通って見える」などと、水が澄んでいるために、透き通って見えるかのように言われます。 確かに、大量の土砂を運んでくる河川や工場排水などで水が濁っていたら、海の透明度は落ちますが、そうでない場所では、海水のきれいさだけでなく、周囲の環境が海を美しく見せる重要な要素になることが、五色浜を見て分かってきました。 「海水が青く透明で、海底が透けて見える」要素を分解してみると、まず光の量が多いこと。次に海底が白っぽく、遠浅で、よく光を反射すること。最後に海水の透明度が高いことの3点が挙げられます。 光が強ければ強いほど、多くの光が海中の深いところまで光が届きますし、海が浅くて海底が白っぽければ、海底で反射する光の量が増えます。海水や海底は発光しませんので、「海水が青く」見えるには、海底で光をたくさん反射させる必要があるからです。海底が白っぽくて、多くの光を反射させることができれば、海をのぞき込む人間の目に、それだけ多くの光が届くことになります。 水は“青色の波長”をよく伝える特性があるため、海底で反射した光は、海水を通る間に青っぽく見えるようになります。また反射した光は海の底の情報を伝えるため「海底が透けて見える」ことにもつながります。沖合の深い海は、いくら海水が澄んできれいだとしても、光を吸収してしまうため真っ黒に見えます。 五色浜や慶野松原は、まさにこの好条件が揃った浜で、まるで南海の孤島のように、播磨灘がエメラルド色に輝いて見えました。播磨灘などの瀬戸内海は、いくつもの人口密集地帯や工業地帯を抱えているため、海水の透明度はけっして高い方ではないはずです。それにも関わらず、これだけきれいに見えるのは、季節や地形、地質など周辺環境がいかに大切かということを物語っているように思いました。 |
| 文人墨客。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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「海水が青く透明で、海底が透けて見える」条件を整理してみました。乳白色の石英の小石が敷きつめられた五色浜は、海底に届いた光をよく反射して、海を青々とした色に輝かせます。これだけの好条件が揃った浜はそうそうあるものではなく、貴重な自然遺産です。
五色浜に立てられていた案内板の文句を書き写しました。古来から文人墨客が溜息を漏らしたそうですが、わたしも五色浜の美しさに、思わず溜息をついてしまいました。案内板には約2キロメートルの五色浜とありますが、五色浜と並んで隣の慶野松原の砂浜が続くため、全体では4キロメートル近い浜が続きます。
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| 慶野松原。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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五色浜から続く慶野松原は、文化庁の文化遺産に登録されている美しい松林です。白い砂浜の上に巨大な松の老木が数多く植えられており、防風林としての役割も果たしています。文化庁の資料によれば、江戸時代の頃から育成が図られた貴重な松林だったそうですが、第二次世界大戦時に旧・陸軍省の管轄となり、燃料用の薪(まき)にされたり、食糧増産のために開墾されたりして、江戸時代の規模が大きく損なわれたそうです。 近年では、昆虫が寄生することで松が枯れる「松枯れ病」から松を守る取り組みや、枯れてしまった松の後に新しい松を植える活動を通じて、慶野松原の景観を保っているようです。松林の中には、散歩道が整備されていて、地元の方や犬を連れて散歩したり、観光客の姿が見られました。松林のある砂浜はキャンプ地として最適なのですが、キャンプで使う火が文化遺産の松林に燃え移ったら一大事です。このためキャンプのできるエリアは厳しく制限されているようです。 慶野松原を後にしたわたしは、播磨灘沿いに淡路島を南下し、鳴門海峡を見に行きました。海峡には大鳴門橋がかかっていて、満潮や干潮のときは有名な渦潮が見られます。およそ2週間に1度の割合で干満の差が最大となる「大潮」のときの渦潮は、迫力満点だそうです。あしたが、その大潮の日に当たるため、渦潮観光はあしたのお楽しみにすることにして、わたしは五色町のお宿に戻ることにしました。 五色浜から慶野松原、鳴門海峡を望む海岸まで、ずっと播磨灘沿いを走ってきましたので、帰りは山手の丘陵地帯を通って帰ることにしました。 海沿いの道は、五色浜などの観光名所が多くあるため、観光客のクルマの通りが多いように思いましたが、山手の丘陵地帯は道が細くて湾曲し、分かりにくいこともあり、クルマの通りが少なくて助かりました。地元の方が農作業などに使う軽トラックは見かけましたが、大型トラックや観光客のマイカーなどはほとんど走っておらず、のんびりと自転車のペダルを回すことができました。 ◆次回は、大潮の干満のタイミングを狙って鳴門海峡の渦潮を見に行くツーリングレポート「【5】海が裂けた!鳴門うず潮の力に圧倒」です。豪快な渦潮を写真に収めました。この段落をクリックするとリンクします。 |