| 夏の始発電車。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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2004年夏、JR中央線・藤野駅から犬越路トンネルを抜けて丹沢湖へ行きました。中央線・藤野駅から丹沢湖、そして丹沢湖の麓(ふもと)にあるJR御殿場線・谷峨(やが)駅までの約50キロメートルの区間には、県道76号線を基本とした1本の道が通っています。今回は、この道を自転車で走りました。
県道76号線は、途中、マイカーやトラックの通行ができない林道区間が約13キロメートルあります。犬越路トンネルは、この林道区間の最も標高の高い位置にあります。 犬越路トンネルの藤野駅側(北側)の林道が「神之川林道」、丹沢湖(谷峨駅)側(南側)が「犬越路林道」と呼ばれています。トンネルは、神之川林道と犬越路林道の接点である山の尾根部分を貫通するかたちで建設されています。 藤野駅側の神之川林道は未舗装の砂利道であるためロードタイプでの自転車では走れません。丹沢湖側の犬越路林道は舗装されています。また、犬越路トンネル内部も舗装されており、トンネルの長さはおよそ700−800メートルあり、丹沢湖側に向けて緩やかに下っています。トンネル部分の標高は約950メートルあります。
わたしは、朝7時ちょうど新宿発の京王線「急行」に乗りました。京王線でいちばん早い時間に新宿を出発する急行です。高尾駅でJR中央線に乗り換えて藤野駅に行きました。途中、高尾駅のハンバーガー店で朝食を食べていたため藤野駅に着いて、自転車を組み立てた時間は9時ちょっと前でした。 これから夕暮れ時の6時まで約9時間のあいだに、標高約950メートルの犬越路トンネルを超えてJR御殿場線の谷峨駅まで辿(たど)り着かなければなりません。1時間休憩したとすれば、実際に走行する時間は8時間。走行距離が約50キロメートルあるので、平均速度は時速約7キロメートル近くを維持する必要があります。 | クリックすると拡大します。 |
| 県道76号線を走る。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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藤野駅前には、朝早くから営業している飲食店はほとんどありません。大きなコンビニもありません。高尾駅で乗り換えるときに朝食を食べておいて正解でした。いちおう鞄には菓子パンなどの食料は入れてありますが、標高約950メートルの犬越路トンネルまで登るためには、朝食をしっかり食べておかないと、途中でハンガーノック(低血糖)になって動けなくなってしまう危険があります。 ほどよくお腹が膨れた状態で、わたしは県道76号線を丹沢湖方面に向かって自転車を進めました。県道76号線沿いには、いくつかの目印があります。主なものは、藤野駅→日連大橋→道志ダム→国道413号線→未舗装の神之川林道→犬越路トンネル→丹沢湖→谷峨駅です。こうした目印を覚えておくと、道に迷ったとき、地元の方に道をたずねやすくなります。 標高の推移は、藤野駅が標高約200メートル、国道413号線との交差点が同約390メートル、神之川林道の入口付近が同約550メートル、犬越路トンネルが約950メートルとなります。国道413号線との交差点付近で、少しだけ下り坂がありますが、その他は、犬越路トンネルまで、ほぼ一貫して登り坂が続きます。 藤野駅から国道413号線までの区間は、相模湖カントリークラブ、神奈川カントリークラブなどのゴルフ場が多いため、高級乗用車を飛ばすおじさんが多いので注意が必要です。 こうした先を急ぐゴルフ客は、夫婦でのんびりドライブを楽しんだり、農作業用の軽トラックを走らせたりする地元の方とはちょっと雰囲気が違うように思います。ゴルフ接待などで「大切な商談相手をゴルフ場で待たすようなことがあってはならない」という思いから、ついアクセルを踏んでしまうのかも知れません。 国道413号線を超えると、夏のこの時期、家族連れのワゴン車が多く見られるようになります。家族連れのワゴン車を運転するお父さんは、子供や奥さんとの会話に気を取られて、ついつい脇見運転になりがちなので、こちらも注意する必要があります。 犬越路トンネルまでは全般的に登り坂であるため、まったくスピードが出ません。速度の速いクルマから見れば、止まっているのと同じくらいの速度です。このため、とてもクルマの流れに乗ることはできず、時速数十キロメートルの速度差で追い抜かされ、風圧でふらつくことも多い。 |
| 未舗装の神之川林道。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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クルマに怯(おび)えながらペダルを漕ぐのは、神之川林道の入口までです。ここから先、犬越路トンネルまでは、マイカーやトラックは通行止めとなります。ただし、神之川林道に入ると未舗装の砂利道が続きますので、タイヤの幅が太いマウンテンバイク系の自転車が必要です。
標高500メートルを超えた付近から、全身に吹き付ける風がヒンヤリと涼しく感じるようになります。平野部は30度を超える暑さですが、ここ神之川林道は27−28度の涼しさです。 神之川林道沿いには、渓流が多く流れています。すべての林道沿いに渓流があるわけではなく、逆に、渓流に恵まれた林道の方が少ないほどです。丹沢の山々は水源が豊富なことで有名ですが、神之川林道も丹沢に近いため、水源がとても豊富です。岩清水も数多くあり、なかには水飲み場がつくってある箇所もいくつかありました。林道で作業をする方々のためにつくってある水飲み場だと思われます。
いくつかある渓流のひとつ檜皮沢(ひわたさわ)の近くで休憩しているときでした。専属カメラマンが檜皮沢の小さな滝をのぞき込んで涼んでいたところ、なんと、ヘルメットのツバを沢に落としてしまいました。専属カメラマンのヘルメットのツバは、脱着ができるようなっていて、脱着部分が緩んでいたようです。
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| 犬越路トンネルに到着。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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犬越路トンネルに近づくにつれて、落石が目立つようになりました。雷雨や集中豪雨などにより地盤が緩み、切り立った崖のうえにあった石が落ちてきたのだと思います。なかには直径1メートル50センチくらいある大きな岩の塊(かたまり)が道路に転がっていました。道路に落下したときにできたと思われる大きな穴も空いていました。
雨が続いたときなど、落石の危険性が高まりますので、できれば山に入らない方が得策です。落石だけでなく鉄砲水や土砂崩れなど、天候によって山の表情は激変しますので、十分に気をつけたいものです。 わたしは、落石と落石によってできた穴ぼこを慎重に避けながら坂道を登りました。しばらく登ると、目の前に犬越路トンネルが現れました。やっと到着です! 藤野駅から標高差で約750メートルも登ってきました。犬越路トンネルのなかに電灯はなく、トンネルの向こう側のわずかな明かりが見えるだけで、あとは真っ暗です。トンネルの向こうから冷たい風が吹き出してきます。ボォ〜 という共鳴音も聞こえてきます。 冷たい風と、薄気味悪い共鳴音、トンネル内の闇のせいで、少し恐怖を感じましたが、このトンネルさえ抜ければ、あとはJR御殿場線の谷峨(やが)駅まで、ほぼすべて下り坂です。 ◆同じ状況で、もう一度、叫びました。「トンネルのなかに声が響いています。ちょっと怖いくらい」。クリックすると再生します。(録音時間12秒、ファイル容量101KB、MP3形式)) ◆さらに、もう一度。「トンネルを抜けて、いまから丹沢に下ります」。クリックすると再生します。(録音時間11秒、ファイル容量88KB、MP3形式)) 犬越路トンネルは、丹沢湖側(谷峨駅側)に向かって緩やかに下っています。このため注意していないと、速度がどんどん上がっていきます。トンネル内は真っ暗なため、いま、自分がどれだけの速度で走っているのか分からなくなります。速度が出すぎないよう厳重な速度コントロールが必要です。 自転車に夜間走行用のヘッドライトを取り付けて走ったのですが、光量が小さいため、あまり役に立ちませんでした。速度が出すぎていると、路面の石などを見つけたときは、すでに避けきれなくなっている可能性もあります。できれば、押して歩くのが理想ですが、トンネルの長さ700−800メートルもの区間にわたって暗黒が続くため、自転車に乗っても、歩いても、薄気味悪い思いをします。 |
| 丹沢湖から谷峨駅へ。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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犬越路トンネルを過ぎれば、あとは谷峨駅まで、ずっと下り坂です。途中、丹沢湖畔で休憩したのち、谷峨駅に下りました。犬越路トンネルから谷峨駅までの県道76号線は、キャンプを楽しみに来た家族連れのワゴン車などの交通量が多いのですが、それほど気になりませんでした。下り坂であるため、わたし自身もそれなりに速度がでていて、クルマの流れにうまく乗れるからです。
センターラインのある片側一車線の見通しのよい道での、わたしの平均速度は時速約30キロメートルくらいで、ちょっと遅めのクルマくらいの速度は出ています。この速度で、うまくクルマの流れに乗ってしまえば、クルマとの相対的な速度差が縮まり、追い抜かされる回数が大幅に減ります。ただし、うっかりと速度を出し過ぎることがあるので、くれぐれも注意しなければなりません。 今回、わたしが駆った自転車の名称は「石橋号」(いしばしごう)と言い、今年6月に新車で購入したものです。今回の標高950メートルの林道ツーリングは、石橋号にとって、初めての本格的な山岳ツーリングです。 標高約950メートル地点から標高約160メートルの谷峨駅までの標高差約790メートルを一気に駆け下りるのは、なかなか快適でした。谷峨駅に着いたときは、すでに夕暮れ時で、山の向こうに太陽が沈みかかっていました。山間部の日没は、平野部の日没より、ずいぶん早いんだと改めて感じました。 今回の犬越路トンネルを抜けるコースは、距離といい、標高といい、十分に走り甲斐のある素晴らしい山岳ツーリングとなりました。天候や体調、交通安全に万全の注意を払いながら、これからも、石橋号とともに元気よく山の中をガンガン走ろうと思います。 |
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