入山峠、幻の峠を越えて浅川から秋川へ
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入山峠の情報を入手。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
今回の走行ルートを地図に示しました。地図をクリックすると拡大します。

 04年3月、東京・八王子市と、あきる野市の境界にある入山峠(いりやまとうげ)に行ってきました。八王子市内を流れる浅川(あさかわ)沿いに上流へと向かい、入山峠を越えて、あきる野市の盆堀川・秋川へと抜けました。途中、短いけれど、整備の行き届いた「南浅川サイクリングロード」や、神秘的な「小津のロータリー」、おいしい秋川名物「おやき」をいただくなど、盛りだくさんなツーリングでした。

 入山峠へ通じる道は、ここ数年のあいだで舗装が進んだ林道のようです。峠付近の舗装に使われているアスファルトは、まだ塗られたばかりのように黒光りしていました。このため、最近の地図でも、よほど新しいものでないかぎり、入山峠への道が掲載されていないことが多いようです。

走行ルートの標高差を示した図です。カシミール3Dを使って制作しました。クリックすると拡大します。

 わたしの持っている地図も、入山峠への道がなかったため、お友だちに道を聞いて、自分で地図にルートを書き込みました。もし、舗装されていない林道ならば、今回、入山峠に行かなかったでしょうけれど、舗装が進んでいるという情報を得たため、思い切って行ってみようと決めました。

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高幡不動駅前にて。
高幡不動の入り口にて(1)
高幡不動の門前にて(2)

高幡不動駅から浅川を走る。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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浅川サイクリングロード。
浅川近くで朝食をいただく。
浅川沿いの道路にて。
道路はクルマも多い。
マラソンする人も。
浅川・南浅川・北浅川の位置関係。南浅川には、すばらしいサイクリングロードがある。

 朝9時、京王電鉄の高幡不動駅に到着しました。多摩市や八王子市などを流れる浅川沿いにサイクリングロードがあると聞いたため、わたしは高幡不動から浅川沿いに入山峠を目指すことにししまた。

 わたしの走った浅川は、大きく(1)浅川、(2)北浅川、(3)南浅川の3つの部分に分かれます。簡単な地図をつくりましたので、ご参照していただければと思います。

 浅川は多摩川との合流地点から八王子市役所近くまで続いています。この区間は、残念ながらサイクリングロードの整備状態はあまりよくありませんでした。感覚的ですが、全体を100とすれば、整備済みの区間は50%くらいだと思います。堤防を工事している区間もあり、これらの工事が進めば、整備区間が増えるかも知れません。

高幡不動近くの浅川の様子。わたしの後ろにサイクリングロードが見えますが、浅川全体で見れば、サイクリングロードが整備されている区間は一部のみ。

 これに対して、八王子市役所付近から多摩御陵(京王・高尾駅付近)までの約5キロ弱の“南浅川”区間は、サイクリングロードがとてもよく整備されていました。

 ◆南浅川のサイクリングロードについて録音しました。帰りの電車のなかで収録したものです。「南浅川はいい自転車道でした。どうよかったのかと言いますと、きれいに舗装がしてあり、花もきれいに植えてありました」という趣旨を話しています。ここをクリックすると再生します。(録音時間14秒、容量113KB、MP3形式)

 一方、八王子市役所付近からは、南浅川とは別に、北浅川に分かれる川があるのですが、この川沿いには、サイクリングロードが整備してある様子はありませんでした。

 北浅川を上流にのぼると“川原宿の交差点”に出ます。ここからは、北浅川とほぼ平行して陣馬街道が走っています。陣馬街道は、比較的クルマの交通量が少なく、週末には、多くの自転車ライダーが走る姿が見られる人気のコースです。


川原宿の交差点。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
南浅川のサイクリングロードを走る。

 ◆わたしは、南浅川のサイクリングロードを通って多摩御陵まで来ました。このときの感想を録音しました。「南浅川にやってきました。河原はきれいに舗装されて、ジョギングしている人や、自転車に乗っている人も多く見られます」という趣旨を話しています。ここをクリックすると再生します。(録音時間22秒、容量178KB、MP3形式)

 多摩御陵からは、県道61号線を通って“川原宿の交差点”に向かいました。多摩御陵から川原宿までは約4キロちょっとの道のりですが、標高差で50〜100メートル弱の丘が3つほど続いています。県道61号線の両脇には、お墓がたくさん並んでいます。

 ◆お墓のなかを通り抜ける県道61号線を通ったときの感想を録音しました。「南浅川を抜けると、いちめんお墓ばかりあります。東京霊園、新東京霊園、八王子霊園… 霊園だらけ」という趣旨を話しています。ここをクリックすると再生します。(録音時間17秒、容量140KB、MP3形式)

南浅川サイクリングロードにて。

 川原宿の交差点から陣馬街道を通って入山峠に向かうこともできましたが、今回、わたしは、陣馬街道より北側を、ほぼ平行して走る小津川沿いの道を走ることにしました。陣馬街道そのものも、一般の県道に比べれば、クルマの交通量は少ないのですが、小津川沿いの道は、さらにクルマが少なくてのんびり走ることができました。

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南浅川自転車道にて。
暑いので着替える。
暖かい日でした。
南浅川にて。

小津のロータリー。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
小津のロータリー。

 小津川沿いをのぼっていくと小津町の入り口あたりに“小津のロータリー”がありました。このロータリーは、乗り合いバスが回転するための場所で、都市部から来たバスはここで終点となります。ロータリーの中央にはガードレールで囲った“軸”があり、大型バスが、この軸を中心に回転できるだけの広い空間が広がっています。小津町へは、ここから歩いてすぐのところにあります。

 ロータリーでは、山の斜面に木霊(こだま)して幾重にも聞こえる鳥の声や、杉畑の枝を剪定(せんてい)するチェーンソーの2サイクルエンジンの威勢のよい高い音が、遠くに響いていました。わたしは、ここで少し休憩することにしました。

 わたしが30分あまり休憩しているあいだに、乗り合いバスが1台きて、少し停車したあと、ロータリーを回転して戻っていきました。また、地元の方が運転すると思われるクルマが数台と、犬を連れた散歩の人がひとり通り過ぎました。小津のロータリーは山に囲まれ、ひっそりとしており、とても神秘的な雰囲気でした。

違う角度から小津ロータリーを撮る。

 ◆小津のロータリーで、お菓子を食べました。そのときの録音です。「なに? おかし食べよ。ここはどこだろう。小津? 八王子の小津に来ました。ちょうど行き止まりのところまで来たので休憩をとりました。お菓子ターイム!」という趣旨を話しています。このときは「行き止まり」のように見えましたが、実際は行き止まりではありません。ここをクリックすると再生します。(録音時間25秒、容量196KB、MP3形式)

 この録音で、ガサゴソ音がするのは、お菓子を入れてあるビニール袋をあける音です。ポテトチップスやラムネ菓子を食べたあと、ペットボトルの水筒から水を飲んで、元気が湧き出てくる気分になりました。小津のロータリーには、バスの運転手さんが使うための小さなお手洗いも設置されていました。


入山峠に迫る。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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夕焼小焼を背景に。
木造の橋があった。
山肌を蛇行する峠道。
入山峠までの林道。
入山トンネルにて。
入山トンネルにて〜その2〜
入山峠までの道順を示した図です。クリックすると拡大します。

 小津のロータリーから標高差100メートル弱の峠を越えると陣馬街道へと合流します。陣馬街道は、先の“川原宿の交差点”から北浅川沿いつくられた道路です。この道をのぼっていくと有名な童謡の「夕焼小焼(ゆうやけこやけ)」を記念する碑があります。

 童謡「夕焼小焼」は、地元(八王子市上恩方町)の童話・童謡作家・中村雨紅(なかむらうこう)さんが作詞されたということで、ゆかりの地のここに記念碑がつくられているそうです。

 「夕焼小焼」の碑の近くには、休憩所が設けられており、ちょっとした売店や、夕焼けが描かれた大きな絵の前で記念写真が撮れるようになっています。お手洗いもあり、マイカーやバスで来た人や自転車、オートバイで来た人などが休憩していました。

「夕焼小焼」の休憩所にて。

 もう少し進むと、醍醐川(だいごかわ)が、陣馬街道沿いの北浅川に流れ込んでいる丁字路があります。ここで醍醐川沿いの道に進路を変えて1キロあまり進むと、入山峠に続く林道の入り口が進行方向右手に表れます。わたしが行ったときは、マイカーなど一般車が進入できないよう「車止め」が設置されていました。

 醍醐川沿いの道に入ってから、クルマの通行はほとんどなくなり、入山峠に続く林道に入ってからは、車止めが設置されていることから、クルマの通行はまったくなくなりました。貸し切り状態の林道は、急に傾斜度が高まり、わたしは自転車を押して歩きました。林道の入り口から標高差で約150メートルのぼったところに入山トンネルがありました。

入山峠への林道の入り口にて。

 通常、峠道では、トンネルをすぎると峠の向こう側に出ることが多いのですが、入山峠の場合は、トンネルを抜けてから峠の頂上まで、さらに標高差で150メートルのぼらなければなりません。傾斜度も10%を超える激しい登り坂が続きます。トンネルから峠までのあいだで、ほんの一部ですが、坂道が緩む場所があります。わたしは、少し、そこで休憩することにしました。

 ◆帰りの電車のなかで、入山峠の様子を録音したものです。「入山峠は、どこが峠なのか、非常に分かりにくく、わたしはぜんぜん峠ではないところで、峠だと思いこんで休憩しました。そのあと、坂道がまた続いて…」という趣旨を話しています。ここをクリックすると再生します。(録音時間26秒、容量206KB、MP3形式)


ヤマアカガエル。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
峠まであと少しの場所で休憩しました。

 休憩した場所は、「きっと峠に限りなく近いところだろう」という希望的観測があったのですが、実際の峠は、まだまだ先にありました。お菓子やお水を飲んだあと、「もうすぐ峠、もうすぐ峠…」と思いながら、走り始めたときでした。

 「アハハハハハッ、アハハハハハッ!」という“子供の笑い声”みたいな音が、周囲に木霊(こだま)しながら聞こえてきました。わたしは、最初、何の音かまったく分からず、少し不安になりました。同時に、座敷童(ざしきわらし)が笑ったらこんな声なんだろうかとも思いました。また、声の音域が高いことに加えて、独特の甘い音色であるなど、聞き慣れない音であったため、どこから聞こえてくるのか、とっさには判別がつきませんでした。

休憩したところは、少し視界が開けていました。

 自転車を停めて、しばらくじっとして「アハハハハハッ」という鳴き声を聞いていると、足下の方から聞こえてくることが分かりました。ふと、道の脇にある側溝をのぞいてみると、焦げ茶色の体長10センチほどのカエルが、側溝に溜まった水のなかに何十匹もいて、「アハハハハハッ」と鳴いていました。

 よく見ると、水のなかには、ゼリー状のどろどろとした“タピオカ”みたいな半透明の液体のなかに、たくさんの卵が産み付けられていました。帰ってからインターネットで調べてみると、どうやら、わたしの見たのはヤマアカガエルの一種だったようです。

遠くに八王子付近の市街地が見えました。

 普通のカエルは、5月の田植えの時期に産卵することが多いのですが、ヤマアカガエルは寒さが緩みかけたばかりの3月に産卵する特徴があるそうです。標高の高い山のなかに住んでいることが多いそうです。さらに「アハハハハハッ」と変わった鳴き声です。

 持っていた録音機での録音を試みたのですが、側溝をのぞき込んだわたしの顔に驚いて、ヤマアカガエルたちは鳴くのをやめてしまいました。その後、同じ場所で15分ほど粘りましたが、残念ながら録音できませんでした。ヤマアカガエルたちが側溝の泥のなかに潜り込んでしまったため、写真も撮れませんでした。


入山峠。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
入山峠にて。けれど標識には、ラクガキと思われる赤い塗料がべったりと…(涙)。

 やっとの思いで標高約600メートルの入山峠に到着しました。少し前まで、このあたりは舗装していなかったと聞きます。峠付近のアスファルトは真新しく黒光りしていました。峠付近には、「入山峠」などと書かれた、立てられたばかりと思われる新しい標識が立っていました。

 この峠を超えると、あきる野市に入ります。八王子市川でもそうでしたが、ラクガキや不法投棄が目立ちました。峠に立てられている標識も、赤いペイントでラクガキがしてありました。

秋川名物「おやき」をいただく。甘くて、暖かくて、おいしい!

 峠をあきる野市側に下り始めると、すぐに盆堀川が見えてきました。林道はこの盆堀川沿いに秋川まで続きます。盆堀川の水も、秋川へと合流します。途中、数百メートルほどの未舗装部分(砂利道)が残っていました。わたしは、パンクするといけないので、この区間だけ、自転車を降り、歩いて通りました。

 秋川へ合流したあとは、あきる野市五日市市街地を通る県道33号線(檜原街道=ひのはらかいどう)を通りJR五日市線の武蔵五日市駅前まで行きました。途中、道路沿いに秋川名物の「おやき」を売っているお店がありましたので、どんなものか興味が湧いてきて、ひとついただくことにしました。

秋川で、疲れを癒す、おやきかな。

 ◆「おやき」は、おまんじゅうを焼いたような感じで、甘くて、とてもおいしいお菓子でした。わたしのいただいた「おやき」は、なかに餡子(あんこ)が入っていました。ここで語呂合わせをひとつ。「秋川で、疲れを癒す、おやきかな」。おやきを食べると、自転車を漕いだ疲れが和らぎ、元気が出てきます。ここをクリックすると再生します。(録音時間10秒、容量78KB、MP3形式)


秋川から多摩川へ。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
秋川にかかる県道61号線の橋の下に、大きな梅の木がありました。

 五日市市街地からは、県道7号線(五日市街道)を走り、多摩川を目指しました。盆堀川が流れ込む地点から五日市市街地を経て五日市街道に至るまでは、ほぼ歩道が完備されています。わたしは、歩行者に気を付けながら、歩道をのんびりと走りました。

 国道411号線と交差するあたりから、秋川サイクリングロードに入りました。秋川サイクリングロードは、秋川にかかる秋留橋(国道411号線)あたりから始まり、多摩川まで続いている全長4キロ強のサイクリングロードです。

梅の木とわたし。

 サイクリングロードを多摩川まで下ったあと、わたしは多摩川にかかる睦橋(むつみばし)を渡り、JR拝島駅に向かい、この駅から輪行して帰宅しました。

 ◆このときの録音です。かなり疲れた声をしています(笑)。「拝島駅に着きました。秋川から多摩川に抜けて拝島に来ました。ここからJRに乗って帰ります」という趣旨を話しています。ここをクリックすると再生します。(録音時間22秒、容量172KB、MP3形式)

秋川サイクリングロードの上流側の起点にて。

 入山峠は、八王子や高尾、多摩川サイクリングロードから気軽に行ける峠だと思いました。舗装は100%ではありませんが、未舗装の部分は、ごく一部ですので、自転車を降りて押して歩くことでロード型の自転車でも、十分に峠を越えられると思います。

 今回、わたしは八王子側からのぼりましたが、逆に、多摩川サイクリングロードから秋川をのぼって入山峠に入るのもいいと思います。都心部から気軽に行ける比較的安全な峠道として、自転車ライダーのあいだで、今後さらに人気が高まるのではないでしょうか。



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