| 盆地の気候。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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山梨特集の第2日目は、甲府市街地を一望できる標高1120メートルの太良峠(たらとうげ)に登りました。1100メートル超の大きな峠ですが、出発地点の石和温泉そのものの標高がすでに300メートル近くあるため、実質登ったのは800メートルほどです。途中、地元出身で戦前の財閥を立ち上げた実業家・根津嘉一郎さんの銅像や、首だけの地蔵が大きな岩の上に置いてある「首地蔵」を見かけました。
甲府周辺の気候は東京都心とは大きく異なります。わたしの滞在中、天気予報はほぼ連日のように雨の予報を出していましたが、局地的な降水にとどまり、晴れる地域が多かったように思いました。太良峠に行ったこの日も予報は雨でしたが、空は晴れわたり、太陽の光がさんさんと降りそそいでいました。 お宿の方に聞いたところ、「高い山々に囲まれた盆地であることが影響しているのではないか」ということでした。暖かく湿った空気が山の斜面に当たって上昇すると、上空にある冷たい空気に冷やされて雨が降ります。四方に山があるため、雨雲が盆地に入り込みにくい状況にあるのかも知れません。 しかし、天気予報で「雨が降る」と言っているため、むやみに遠くへ行くのは危険です。まずは様子見で笛吹川(ふえふきがわ)サイクリングロード(CR)を上流方面に向かって走り、大丈夫そうならさらに山手の方へ進む計画を立てました。 笛吹川CRは石和温泉のすぐ近くを流れる笛吹川沿いに敷設された全長約23キロメートルの長大なCRです。下流方面は釜無川(かまなしがわ)と合流する三郡橋まで続き、上流方面は山梨市の万力公園まで続いています。 |
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| 大理石の巨塔。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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都内の代表的なCRの多摩川や荒川の各CRと同じようによく整備された笛吹川CRをしばらく走るとJR中央線の鉄橋がありました。鉄橋をくぐるとすぐに万力公園があり、中に入ってみると12メートルもある白い大きな大理石の塔の上に、男性の立ち姿の銅像が現れました。
ぱっと見た感じでは冷戦時代の社会主義国を写したテレビ映像のひとコマのようです。「どうしてここにレーニン像があるのかしら?」と、一瞬、不思議な印象を受けましたが、答えはすぐ近くの案内板にありました。読んでみると革命の指導者ではなくて、戦前の根津財閥の創始者の根津嘉一郎(1860−1940年)さんであることが分かりました。 山梨県の出身で東武鉄道や南海電気鉄道などの経営に携わったことから「鉄道王」と称されていたそうです。殖産興業に尽力し、貧弱だった日本の近代経済の基礎づくりに多大な貢献をしたと評価されています。銅像の周囲には水を張った堀がつくってあり、鯉や白鳥が気持ちよさそうに泳いでいます。 銅像を見上げたついでに目線を空へ向けると、突き抜けるような青空が広がっています。ここで引き上げるのはあまりにもったいないので、わたしは峠をひとつ越えてから帰ることにしました。山手の方は雨が降っているかも知れませんので、雲行きが怪しくなってきたらすぐに引き返す覚悟で臨みました。 |
| 首地蔵。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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甲府市街地へ通じる太良峠に向けて地方道31号線を登っていくと、今度は石像が目の前に現れました。しかも、首の部分だけが大きな岩の台座の上に置いてあります。先ほどの根津像よりも年代はずっと古そうで素朴な感じがしました。 案内板を読んでみると、この首地蔵は土砂崩れの事故で亡くなった女の子と幼児を供養するために建てられたのだそうです。竣工時期は不明ですが、地元の人々の厚い信仰の対象となっており、集落を守る神様として大切に祭られています。 首地蔵がある水口地区の方々によって記された言い伝えを以下に転記します。
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| 太良峠。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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太良峠に着いて市街地の方を眺めていると、頭上に暗雲が立ち込め、冷たい風が吹き始めました。市街地に目をやると依然、上空の雲の切れ目からところどころ太陽の光が差し込んでいます。どうやら雨が降るのは山手だけのようです。 まもなく本格的に降り始めたので、市街地に向けて坂道を降り始めました。下る途中、一時激しく雨に打たれましたが、峠から離れるにつれて小降りになっていきました。
甲府駅の北側にある武田神社へ着く頃にはすっかりやみました。道路は乾いており、ここでは降っていなかったようです。 局地的な天気の変動に驚きましたが、大半は晴れに恵まれたため、無事に峠を越えることができました。根津さんの銅像や首地蔵といった地場の歴史に触れることもでき、充実した一日でした。 |