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JR最高地点の野辺山から八ヶ岳牧場へ
2006年夏休み、行くなら山梨特集【3】
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JR小海線。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 山梨・自転車ツーリングの第3日目は、JR小海線・野辺山駅から鉢巻き道路を下って小淵沢駅まで走りました。八ヶ岳の南側を鉢巻きのようにぐるりと半周する道路です。巨大な渓谷や山腹に広がる観光牧場などすばらしい景色を存分に楽しみました。本来は鉢巻き道路をさらに進み、八ヶ岳を挟んで反対側にある茅野市方面まで行く予定でしたが、途中で雷雨に見舞われて断念しました。

八ヶ岳連峰の鉢巻き道路にて。南側の山腹をUの字型に通っています。正面の山は連峰の一部です。

 八ヶ岳の南側には標高1000数百メートルの山腹沿いに通称“鉢巻き道路”があります。山を人間の頭に喩(たと)えると、道路がまるで鉢巻きのように通っているためにこう呼ばれています。鉢巻き道路の始点は野辺山駅の隣駅・清里駅付近で、総延長は約30キロメートルです。

 わたしは、「眠い」と渋る専属カメラマン(専カメ)を叩き起こし、電車で野辺山駅に向かいました。運行本数こそ少ない小海線ですが、清里や野辺山など高原のリゾート地に行くのにはうってつけの電車です。自身の脚力では到底登り切れないような標高差がある山道を、自転車とともにぐいぐい引っ張り上げてくれます。

 ◆JR野辺山駅に向かう小海線の列車の中で録音しました。「これから八ヶ岳を周遊する『八ヶ岳高原ライン』(通称・鉢巻き道路)を走る予定です。晴れるかどうかの不安はありますが、走れるところまで走ろうと思っています。目の前には八ヶ岳が見えます」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間42秒、ファイル容量334KB、MP3形式)

 ◆引き続き小海線で録音しました。「小海線は車両の窓が大きくて、景色がよく見えるところが気に入りました。沿線には西洋風の民宿・ペンションや山小屋風のコテージが点在して、その向こうには青々とした山々が連なっています。白樺のような白い木々も見ることができます」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間52秒、ファイル容量408KB、MP3形式)

クリックすると拡大します。
今回の活動エリアを示した図です。八ヶ岳南側の鉢巻き道路(八ヶ岳高原ライン)を走りました。クリックすると拡大します。
走行ルート全体を示した図です。鉢巻き道路のほぼ中間地点まで差しかかったところで雨が降りだしました。JR鉄道で最も標高の高いところにある野辺山駅まで小海線の電車で引き上げてもらいました。
走行ルートを立体的に示した図です。地形測定ソフトのカシミール3Dをもとに制作しました。赤い線が実際に走った道で、青い線が本来予定していましたが、突然の雷雨のため走れなかった道です。
走行ルート全体の標高差を示した図です。カシミール3Dを使って制作しました。出発点の野辺山駅から八ヶ岳牧場まではアップダウンが続きますが、牧場を越えるとあとはほぼ一貫した下り坂です。
野辺山高原。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
クリックすると拡大します。
小海線・小淵沢駅の案内板の前にて。写真後ろが小海線で活用されている列車。愛称は「やっピーくん」。八ヶ岳の「や」と汽笛の「ピー」の組み合わせか?
小淵沢駅で「やっピーくん」と。これから野辺山駅に向かいます。
林の中に点在するペンションや山小屋風の別荘が小海線の車窓から見えました。
野辺山駅前には白樺が植えられ、高原の情景を演出しています。
高原野菜を運搬する大型トラックが活躍しています。

 野辺山駅に降り立つとひんやり涼しい風が吹いていました。平野部のうだるような暑さとはまるで別世界です。JRの鉄道駅の中で最も高いところにあり、標高は1345メートルもあります。駅なのに東京・八王子市の高尾山の2倍以上の高さです。駅前の広場には白樺が多数植えられ、高原の情景が美しく演出されています。

小海線のディーゼル列車「やっピーくん」とツーショット。

 ◆JRの駅で標高が最も高い野辺山駅前で録音しました。「1345メートルと標高が高いだけあって天候が不安定です。さっきまで日が照っていたかと思うと、急に雲が出てきたり、小雨が降ったりと常に変化します。気温も低くてTシャツ・短パンでは少し寒いくらいです。今、上空の雲は切れ切れになっていますが、周囲の山々を見渡すと厚い雲の塊がところどころに見られます」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間60秒、ファイル容量470KB、MP3形式)

 電車で来た道を戻る形で小淵沢駅方面へ線路沿いに登っていくとJR鉄道で最も高い地点に差し掛かりました。標高は野辺山駅よりも30メートル高い1375メートル。付近には「JR鉄道最高地点」と書かれた記念碑やアイスクリームなどを販売する売店などがあり、ちょっとした観光名所になっています。夏休みということもあり、朝早くから家族連れで賑わっています。

JR鉄道駅の中で最も標高が高い野辺山駅の前にて。標高は東京八王子・高尾山の2倍余りの1345メートルもあります。

 このあたりは高原野菜の栽培がとても盛んで、レタスやキャベツの畑が一面に広がっています。昨日行った信濃川上駅からここまでずっと野菜畑が続いています。畑の端にはバラ科のマリーゴールドが黄色や橙色のきれいな花を咲かせていました。農園を美しく彩るだけでなく、害虫を防ぐ効果もあるそうで一石二鳥です。あでやかな色が添えられた畑は訪れた観光客の目を楽しませてくれます。

鉢巻き道路。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 JR鉄道最高地点をあとにしたわたしは、国道141号線と平行して走る細い裏道を通って、全国有数の避暑地・清里(きよさと)に向かいました。

小海線沿いの道を走りました。正面に見える山が八ヶ岳です。

 清里駅そのものは今朝、野辺山駅に向かう電車の窓から見かけました。リゾート地らしいしゃれたペンションやおみやげ店がたくさん軒を連ねており、きっと今頃は観光客でごった返しになっているに違いありません。このため駅前を避けるようにして、本日のメインイベントである八ヶ岳の鉢巻き道路の方へ自転車を進めました。

 清里駅の北側には別荘地の「清里の森」が広がっています。大きな木々に囲まれた敷地内は迷路のように入り組んでおり、部外者は容易には近づけません。俗世間とは相容れない静かでエクスクルーシブな空間が創り出されてるように感じました。入り口の看板には有名企業や団体の名前が目立ちましたが、中には裕福な方の個人別荘も数多くあるようです。

 別荘地を抜けると、いよいよ鉢巻き道路です。

 正式な名称は地方道11号線「八ヶ岳高原ライン」ですが、この道とつながっている地方道485号線および484号線の「富士見原茅野線(ふじみはらちのせん)」と併せて通称「鉢巻き道路」と呼ばれています。清里付近から八ヶ岳を挟んで反対側の茅野市方面まで“Uの字”を描くように道路が通っています。

八ヶ岳の麓に広大な野菜畑が広がっていました。美しい花を咲かせたマリーゴールドが緑の野菜畑に彩りを添えています。

 普通、鉢巻き道路と言えば富士山のような形をした山の山頂や山腹をぐるりと囲んだものを想像しますが、八ヶ岳の場合は南側を半周するタイプです。

 鉢巻き道路に入ってまもなく、巨大な渓谷が目の前に現れました。川俣川渓谷です。

 地面が裂けたような深い谷で、「地球の内部がのぞけるのではないか」と思えるほどです。渓谷にかけられた赤い鉄橋の上に来ると、谷を駆け抜ける強い風に煽(あお)られてふらつきます。恐る恐る橋の下をのぞいてみると、遥か下の方に川が流れていました。近くで見れば大きな川なのでしょうけれど、上からだとまるで糸のように細く見えます。

クリックすると拡大します。
高原野菜を満載したトラクターが走っていきます。
八ヶ岳の頂上付近は分厚い雲に覆われています。
これからあの雲の下に行くのかと思うと、少し不安です。雷雨に襲われなければいいのですが。
八ヶ岳の麓の高原に広がる野菜畑の前にて。
JR鉄道で最も標高の高い地点。線路を挟んで両側に別々の記念碑が建てられていました。
もう一つの記念碑には「JR」のロゴがありました。
八ヶ岳牧場。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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鉢巻き道路に入ってすぐのところに川俣川渓谷がありました。渓谷に赤い橋がかかっています。
川俣川渓谷にかかる赤い橋の上にて。風が強く、クルマが通るたびに揺れます。少し怖いくらいです。
川俣川渓谷をすぎると八ヶ岳牧場がありました。観光用に一部開放されています。
八ヶ岳牧場にて。遠くに大小さまざまな山が連なっています。
搾りたての牛乳と山梨名産のブドウジュースをいただきました。牧場でいただく新鮮な牛乳は格別です。
牧場をあとにして、鉢巻き道路を小淵沢駅方面へ下りました。

 川俣川渓谷をすぎ、対岸の坂を登り切ったところに八ヶ岳牧場がありました。観光牧場として一部開放してあり、敷地内にはアイスクリームなどを販売する売店もあります。ここまでアップダウンが続いて体力を消耗したので、少し休憩させてもらうことにしました。シーズン中ということもあり、売店は観光客で長蛇の列です。専カメに並ばせて、わたしは木陰で涼みました。

川俣川渓谷にかかる赤い橋とわたし。奥が八ヶ岳です。

 しばらくすると、搾りたての牛乳と山梨名産のブドウジュースを手に持って専カメが帰ってきました。眼下には山のなだらかな斜面いっぱいに大きな牧場が広がっています。抜群の眺めを楽しみながらいただく牛乳のおいしさは格別だと思いました。ブドウジュースもなかなかいい味が出ています。さすがは山梨。

 できれば牛肉のバーベキューなどもいいと思いましたが、あいにく産地直売は行っていないようでした。ひょっとしたらここの牧場は乳牛専門なのかも知れません。

 八ヶ岳牧場まで来れば、あとは鉢巻き道路の中間地点までほぼ一貫した下り坂です。雄大な八ヶ岳とその裾野に広がる緑の山々を楽しみながら、安全運転で坂道を駆け下りました。シーズン中ということもあり、クルマの通りの多さが少し気になりますが、ここでしか見られないすばらしい景色のことを考えれば、十分に割が合うように思いました。

 坂道を下っていくと正面に空を覆い尽くすほどの積乱雲が見えてきました。太陽の光を完全に遮ってしまう厚さで、激しい雨を降らせる雲です。進めば進むぼと発達して近づいていきます。こちらが向かっているのか、あちらが近づいているのか、あるいは両方なのかはよく分かりませんが、非常にまずいことになりました。

 雷雨の前兆である冷たい冷気が吹き始めたかと思うと、ついに大粒の雨がぽちぽちと落ちてきました。残念ですがもう前に進めるような状態ではないようです。本来は鉢巻き道路を完走して茅野市方面まで走りきる予定を立てていたものの、やむを得ず途中で断念。ほぼ中間地点の小淵沢駅から電車で引き上げました。次の機会はぜひ鉢巻き道路を制覇してみたいものです。楽しみがまたひとつ増えたようで、元気が湧いてきました。

 ◆次回は、甲府市街地の南側に広がる山野を走るレポートです。熊が出てきそうな廃道を探索しました。この段落をクリックすると「2006年夏休み、行くなら山梨特集」第4回目の「甲府南側の埋められた鳥坂峠旧トンネル」へリンクします。



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