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甲府南側の埋められた鳥坂峠旧トンネル
2006年夏休み、行くなら山梨特集【4】
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石和温泉を出発。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 山梨・自転車ツーリングの第4日目は、甲府市の南側に位置する鳥坂峠(とりさかとうげ)に行きました。標高1020メートルの峠には新旧2つのトンネルがあり、今は廃道になっている旧トンネルにも足を伸ばしました。草木がうっそうと茂り、クルマは何年も通っていないようです。動物の気配や足跡がたくさん見られ、今にも熊が出てきそうでした。

【大容量に注意!625KB】地方道36号線を鳥坂峠方面へ登っていく途中に撮った連続写真をパラパラマンガ(GIFアニメ)にしました。クリックすると再生します。

 朝6時、いつものように「眠い」とぐずる専属カメラマン(専カメ)を叩き起こし、朝食もそこそこに石和温泉のお宿を飛び出しました。きょうは午後から雨の天気予報が出ているため、できるだけ午前中に距離を伸ばしておいた方がよいと思ったからです。

 行き先は石和温泉からまっすぐ南へ下ったところにある鳥坂峠。今回の山梨ツーリングの主な活動エリアは甲府市北側の山林が中心でしたので、南側に登ったのは初めてです。

 標高約270メートルの石和温泉から出発。甲府市街地を東から西へ流れる笛吹川を渡ったあたりから徐々に登り始め、その後は急ピッチの坂道が標高1020メートルの峠まで延々と続きます。標高差は約750メートルで、登り切るまでゆうに半日かかりました。

 登っていく途中に甲府市街地を一望できる絶景ポイントが何か所もありました。厳しい道のりですが、「ここまで登ってきたかぁ−−」と、徐々に高度を上げていく達成感を味わうことができます。クルマの通りも少なく、時折振り返って景色を楽しみながら、ぼちぼち登っていきました。

クリックすると拡大します。
今回の活動エリアを示した図です。甲府市南側の鳥沢峠を越えました。クリックすると拡大します。
今回の走行ルートを赤線で示した図です。笛吹川CRと地方道36号線を組み合わせて走りました。
お世話になった石和温泉のお宿の前にて記念撮影です。
地方道36号線に入ると徐々に登り坂がきつくなります。
地方道36号線。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
クリックすると拡大します。
地形測定ソフトのカシミール3Dで走行ルートを立体的に示した図です。鳥沢峠以降、深い渓谷を走っている様子がよく分かります。
全行程約65キロメートルの高低差を示した図です。カシミール3Dを使って制作しました。
鳥沢峠への道にて。
坂道がきつい…。
でも楽しい!

 今回、メインに走った道は地方道36号線です。甲府盆地を東西に横断する笛吹川サイクリングロード(CR)の中ほどから始まり、南部の山間部を縫うようにして再び笛吹川CRに戻るルートで建設されています。わたしは、石和温泉から笛吹川CRに入り、地方道36号線と接続する蛍見橋へ自転車を進めました。

 橋を渡るとすぐに本格的な登り坂が始まります。午後から崩れるという天気もまだ快晴で、さんさんと照りつける太陽によって気温はどんどん上昇しました。暑いうえに朝早かったこともあり、なかなか力が湧いてきません。ばてばての専カメは早くも「休憩しよう!」コールを連発してうるさいのでたまたま見つけた公園で小休止。

 公園のすぐ横には笛吹川支流の浅川が流れています。渓流のせせらぎから吹き下りてくる冷たい風がとても気持ちいいです。

 ◆浅川沿いの公園で録音しました。「麓からずっと坂道が続いています。この公園の横には浅川が流れています。渓流は冷たい空気を運んできて、わたしの体を冷やしてくれます。天気予報によると午後から雨らしいのですが、今は雲ひとつない快晴。これから雨が降るのか信じられないほどです」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間53秒、ファイル容量420KB、MP3形式)

 ◆勢いよく鳴くセミの声を録音しました。「セミの声があちこちから聞こえてきます。登り坂がきつくて、まだ午前中だというのに汗だくになってしまいました」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間43秒、ファイル容量343KB、MP3形式)

 しばらく登っていくと、後方の視界が広がってきました。太陽に照りつけられた甲府市街地がきらきらと光っています。登り坂が急で遮るものがなく、どこまで登っても輝く盆地がよく見えます。

 山の中腹までほぼ一直線に伸びていた道が、途中からつづら折りに変わりました。傾斜が厳しくなったためで、峠にだんだん近づいていることを示唆しています。

旧鳥坂トンネル。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 いよいよ坂道がきつくなってきたところで分かれ道に出ました。道なりに進めば新しい鳥坂トンネルへ続き、山手の細い道へ進むと古い鳥坂トンネルへ続くようです。手持ちの地図で確認したところ、新旧どちらのトンネルでも峠の向こう側に抜けられるように書いてあったので、クルマの通りがほとんどない旧道を進むことにしました。

鳥坂峠に向かう地方道36号線から甲府市街地がよく見えました。

 足を踏み入れてすぐにこの道が何年ものあいだ使われていないことに気づきました。アスファルトはあちこちひび割れして雑草がたくましく生えています。日陰になった路面にはコケがびっしり張りついてヌルヌルとよく滑り、自転車の細いタイヤではまったく捉えることができません。路肩も一部崩れています。

 ただ、道が完全に崩れ去っているわけてはないので、旧トンネルがあるところまでは進もうと決意しました。クルマが通らないだけで周囲の様子は一変します。セミの声が一段落した静かさの中に、コソコソ、ガサガサという動物たちの動く音が聞こえてきます。

 物音の発生源のほとんどはキジやサル、ネズミなど中小動物が中心だと思いますが、万が一、クマなど大型獣がいると危険です。わたしは自転車のハンドルにぶら下げている“クマ除け”の鈴を手に持って揺らし、チリンチリンと大きな音を立てながらコケでよく滑る斜面を一歩一歩、慎重に登りました。

路肩をゆっくり走りました。

 後ろを歩く専カメは物音がするたびに、「怖いから引き返そう」と怯えた声で訴えています。もしクマが出てきたとき、ほんとうにこいつが身を挺してわたしを守ってくれるのかだんだん疑わしくなってきますが、ここは“窮鼠猫を噛む”ことを期待するしかなさそうです。

 ◆旧鳥坂トンネルに続く廃道で録音しました。「旧鳥坂トンネルに続く道は、完全に使われなくなっていました。すでに何年もクルマが通っていないようで、クマよけの鈴を鳴らしながら歩いています。道路の表面はコケがびっしり生えていて、何度も足が滑りました」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間54秒、ファイル容量423KB、MP3形式)

 ◆同じ廃道で録音しました。「道路のあちこちに動物の糞が落ちています。何の糞かは分かりませんが、おそらくシカかイノシシ、サルのたぐいだと思います。動物と出会い頭になると、互いに驚いて思わぬケガをすることがあります。鈴を鳴らして警告を発し、不用な出会いを避けることにしました」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間33秒、ファイル容量261KB、MP3形式)

クリックすると拡大します。
旧鳥坂トンネルに向かう旧道に足を踏み入れました。アスファルトはあちこちでひび割れを起こし、雑草がたくましく生えています。
ここ数年はクルマが通っていないようで、道路に草木が覆いかぶさるように茂っていました。人の手による維持メンテがなされないと道路はこんな風に荒れ果ててしまいます。
ここから先は路面の状態が悪く、自転車を押して歩きました。コケが生えている部分はよく滑ります。
路面全体に草やコケが生えています。周囲でガサゴソと動物の動く気配がしているため、クマ除けの鈴をチリンチリンと手で振り鳴らしながら前進しました。
旧鳥坂トンネルの前にて。トンネルの入り口がコンクリートで完全に埋められ、まるで大きな壁のように立ちふさがっています。手にクマ除けの鈴を持っての記念撮影です。
コンクリートでふさがれた旧鳥坂トンネルの前からは、甲府市街地がよく見渡せました。
コンクリート詰め。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
クリックすると拡大します。
新しい鳥坂トンネルの前にて。古いトンネルより大きくつくられているため、より安全に通行できます。
トンネルを抜けて反対側で撮りました。竣工は10年ほど前のようで、まだ真新しい感じがします。
スズラン群生地として有名な芦川村の観光案内図です。鳥坂トンネルを抜けたところにありました。
芦川村・観光案内図の拡大写真です。ふたつの尾根に挟まれた渓谷の村であることが立体的につくられた案内図からよく分かります。
芦川村の集落の中を走りました。手入れの行き届いた野菜畑やビニールハウスが、急な斜面にところ狭しと並んでいます。
笛吹川CRから芦川村方面の山脈を写しました。ところどころ厚い雲に覆われているのが分かります。途中まで怪しい雲行きでしたが、平野部まで下ってくると再び青空が見えるようになりました。

 前方にコンクリートの構造物が見えてきました。ここが旧鳥坂トンネルのはずですが、肝心な入り口がありません。ぱっと見ただけではよく分からなかったのですが、どうやらトンネルの入り口がコンクリートで埋められてしまっているようです。穴がなくなったトンネルは巨大な壁のように立ちふさがっています。

鳥坂峠を越えたところにある芦川村の集落を走る。本州随一のスズラン群生地として有名です。

 おそらく内部の傷みや崩落が激しいためにトンネルそのものを廃棄したようです。ここ数年、まったくクルマが通った痕跡がないように思われた理由が分かりました。トンネルが機能しなくなれば、付帯する道も廃棄するしかありません。ふと振り返るとコンクリートで埋められた旧鳥坂トンネルの前から甲府市街地がよく見えました。

 事実上消滅した旧鳥坂トンネルをあとにしたわたしは、10年ほど前に開通した新鳥坂トンネルを通って反対側の芦川村方面へ下りました。

 トンネルを過ぎたあたりから雲が多くなりました。“午後から雨と”いう天気予報の通り、今にも降りそうな気配ですので先を急ぐことにしました。

 きょう走ってきた地方道36号線は、手持ちの地図上で「八代芦川三珠線」と別名がつけられ、沿線町村の八代町や芦川村、三珠町へ続くことを示しています。しかし、この付近の地名は平成の市町村大合併でずいぶん変わり、現在のものと必ずしも一致しません。八代町は笛吹市に変わり、三珠町は市川三郷町に変わっています。

 従来、険しい山々に隔てられていくつもの町村に分かれていた行政区域も、大合併の政策でより広域的な市町村へと発展せざるを得なかったようです。こうした山あいの集落をいくつも通り過ぎ、渓谷の川の流れに沿って下っていくと再び笛吹川に出ます。ちょうど笛吹川CR終点付近の桃林橋の近くです。

笛吹川CRまで下ってきました。安全なCRを走ってお宿のある石和温泉まで帰ります。

 平野部まで下りてくると上空を覆う雲が薄くなりました。なんとか雨に降られずに済みそうです。わたしはCRに合流し、のんびりとペダルを回しながら石和温泉に帰りました。

 ◆次回は、南アルプス天然水の湧き出る工場見学のレポートです。暑いさなか自転車で峠越えをしたあとに飲む冷たい天然水はこのうえなくおいしかったです。この段落をクリックすると「2006年夏休み、行くなら山梨特集」第5回目の「小淵沢から南アルプス天然水の工場見学」へリンクします。



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