| 石和温泉を出発。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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山梨・自転車ツーリングの第4日目は、甲府市の南側に位置する鳥坂峠(とりさかとうげ)に行きました。標高1020メートルの峠には新旧2つのトンネルがあり、今は廃道になっている旧トンネルにも足を伸ばしました。草木がうっそうと茂り、クルマは何年も通っていないようです。動物の気配や足跡がたくさん見られ、今にも熊が出てきそうでした。
朝6時、いつものように「眠い」とぐずる専属カメラマン(専カメ)を叩き起こし、朝食もそこそこに石和温泉のお宿を飛び出しました。きょうは午後から雨の天気予報が出ているため、できるだけ午前中に距離を伸ばしておいた方がよいと思ったからです。 行き先は石和温泉からまっすぐ南へ下ったところにある鳥坂峠。今回の山梨ツーリングの主な活動エリアは甲府市北側の山林が中心でしたので、南側に登ったのは初めてです。 標高約270メートルの石和温泉から出発。甲府市街地を東から西へ流れる笛吹川を渡ったあたりから徐々に登り始め、その後は急ピッチの坂道が標高1020メートルの峠まで延々と続きます。標高差は約750メートルで、登り切るまでゆうに半日かかりました。 登っていく途中に甲府市街地を一望できる絶景ポイントが何か所もありました。厳しい道のりですが、「ここまで登ってきたかぁ−−」と、徐々に高度を上げていく達成感を味わうことができます。クルマの通りも少なく、時折振り返って景色を楽しみながら、ぼちぼち登っていきました。 |
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| 地方道36号線。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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今回、メインに走った道は地方道36号線です。甲府盆地を東西に横断する笛吹川サイクリングロード(CR)の中ほどから始まり、南部の山間部を縫うようにして再び笛吹川CRに戻るルートで建設されています。わたしは、石和温泉から笛吹川CRに入り、地方道36号線と接続する蛍見橋へ自転車を進めました。 橋を渡るとすぐに本格的な登り坂が始まります。午後から崩れるという天気もまだ快晴で、さんさんと照りつける太陽によって気温はどんどん上昇しました。暑いうえに朝早かったこともあり、なかなか力が湧いてきません。ばてばての専カメは早くも「休憩しよう!」コールを連発してうるさいのでたまたま見つけた公園で小休止。 公園のすぐ横には笛吹川支流の浅川が流れています。渓流のせせらぎから吹き下りてくる冷たい風がとても気持ちいいです。 しばらく登っていくと、後方の視界が広がってきました。太陽に照りつけられた甲府市街地がきらきらと光っています。登り坂が急で遮るものがなく、どこまで登っても輝く盆地がよく見えます。 山の中腹までほぼ一直線に伸びていた道が、途中からつづら折りに変わりました。傾斜が厳しくなったためで、峠にだんだん近づいていることを示唆しています。 |
| 旧鳥坂トンネル。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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いよいよ坂道がきつくなってきたところで分かれ道に出ました。道なりに進めば新しい鳥坂トンネルへ続き、山手の細い道へ進むと古い鳥坂トンネルへ続くようです。手持ちの地図で確認したところ、新旧どちらのトンネルでも峠の向こう側に抜けられるように書いてあったので、クルマの通りがほとんどない旧道を進むことにしました。
足を踏み入れてすぐにこの道が何年ものあいだ使われていないことに気づきました。アスファルトはあちこちひび割れして雑草がたくましく生えています。日陰になった路面にはコケがびっしり張りついてヌルヌルとよく滑り、自転車の細いタイヤではまったく捉えることができません。路肩も一部崩れています。 ただ、道が完全に崩れ去っているわけてはないので、旧トンネルがあるところまでは進もうと決意しました。クルマが通らないだけで周囲の様子は一変します。セミの声が一段落した静かさの中に、コソコソ、ガサガサという動物たちの動く音が聞こえてきます。 物音の発生源のほとんどはキジやサル、ネズミなど中小動物が中心だと思いますが、万が一、クマなど大型獣がいると危険です。わたしは自転車のハンドルにぶら下げている“クマ除け”の鈴を手に持って揺らし、チリンチリンと大きな音を立てながらコケでよく滑る斜面を一歩一歩、慎重に登りました。
後ろを歩く専カメは物音がするたびに、「怖いから引き返そう」と怯えた声で訴えています。もしクマが出てきたとき、ほんとうにこいつが身を挺してわたしを守ってくれるのかだんだん疑わしくなってきますが、ここは“窮鼠猫を噛む”ことを期待するしかなさそうです。 | クリックすると拡大します。 |
| コンクリート詰め。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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前方にコンクリートの構造物が見えてきました。ここが旧鳥坂トンネルのはずですが、肝心な入り口がありません。ぱっと見ただけではよく分からなかったのですが、どうやらトンネルの入り口がコンクリートで埋められてしまっているようです。穴がなくなったトンネルは巨大な壁のように立ちふさがっています。
おそらく内部の傷みや崩落が激しいためにトンネルそのものを廃棄したようです。ここ数年、まったくクルマが通った痕跡がないように思われた理由が分かりました。トンネルが機能しなくなれば、付帯する道も廃棄するしかありません。ふと振り返るとコンクリートで埋められた旧鳥坂トンネルの前から甲府市街地がよく見えました。 事実上消滅した旧鳥坂トンネルをあとにしたわたしは、10年ほど前に開通した新鳥坂トンネルを通って反対側の芦川村方面へ下りました。 トンネルを過ぎたあたりから雲が多くなりました。“午後から雨と”いう天気予報の通り、今にも降りそうな気配ですので先を急ぐことにしました。 きょう走ってきた地方道36号線は、手持ちの地図上で「八代芦川三珠線」と別名がつけられ、沿線町村の八代町や芦川村、三珠町へ続くことを示しています。しかし、この付近の地名は平成の市町村大合併でずいぶん変わり、現在のものと必ずしも一致しません。八代町は笛吹市に変わり、三珠町は市川三郷町に変わっています。 従来、険しい山々に隔てられていくつもの町村に分かれていた行政区域も、大合併の政策でより広域的な市町村へと発展せざるを得なかったようです。こうした山あいの集落をいくつも通り過ぎ、渓谷の川の流れに沿って下っていくと再び笛吹川に出ます。ちょうど笛吹川CR終点付近の桃林橋の近くです。
平野部まで下りてくると上空を覆う雲が薄くなりました。なんとか雨に降られずに済みそうです。わたしはCRに合流し、のんびりとペダルを回しながら石和温泉に帰りました。 |