| 川西能勢口駅を出発。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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関西名山めぐりの第2日目は、三田市(さんだし)の有馬富士を目指しました。有馬富士は、有馬富士森林公園の中にある標高374メートルの山です。美しい円錐(えんすい)型をしていることから“三田一の名山”と称され、広く地域の方々に親しまれています。わたしは阪急宝塚線の川西能勢口駅を出発し、有馬富士を目指して自転車のペダルを回し始めました。
阪急宝塚線の北側は、予想していたより山が深くて驚きました。行政区域上は宝塚市内になります。宝塚市と言えば、ここ数十年の間で急速に宅地化が進んだ印象を受けますが、少し奥へ入れば、人の姿もまばらな山間部がたくさん残っています。宝塚の住宅地から外れに「長尾山トンネル」があり、このトンネルを抜けると気温がぐっと下がり、本格的な山間部に入っていきます。 長尾山トンネルを抜けたあと、わたしが通った地方道沿いには、標高475メートルの検見山や同439メートルの古宝山、同365メートルの竜王山など標高300−400メートル級の中規模の山々が連なっていました。地方道は山の間を縫うように通っており、道幅は普通乗用車がなんとか通常の速度で擦れ違える程度です。クルマにとって決していい条件の道ではないはずなのですが、意外に交通量が多く、少し困惑しました。 | クリックすると拡大します。 |
| 交通量が多い道から待避。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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有馬富士がある三田市(さんだし)は、宝塚市と同様、近年、急速に宅地化が進んだ地域です。山地を切り開いてつくった街であるため、近隣都市への交通に地形的な制限があるようです。大阪や神戸など大都市部への交通は、国道や高速道路、鉄道などが整備されていますが、宝塚市や川西市、池田市など郊外都市へは、山が障害となって大量輸送が可能な交通路が建設できていないのが現状です。
今回、わたしが自転車で走った川西市から三田市へと続く山間部の地方道は、国道へ迂回するクルマが多いために交通量は少ないと予想していました。しかし、実際には、狭い山道をたくさんのクルマが走っていたので驚きました。近くに採石場か工事現場があるのか、マイカーだけでなく、大型トラックも地響きを立てながら、頻繁に通って行きました。 川西市周辺から三田市までを、最短距離で移動しようとすれば、山の中を縫うようにして走る地方道を通るのが妥当です。より整備された国道へと迂回する方法もありますが、その国道も山の裾野を蛇行しているため、クルマにとってみれば、走りやすさや利便性という点で、山の中の地方道と大して変わらないのかも知れません。 予想外のクルマの多さに耐えかねたわたしは、急遽、走行ルートを変更して、地方道から離れた林道を走ることにしました。当初は川西市と三田市を結ぶ地方道68号「川西三田線」を走ることを想定していましたが、多少の時間がかかってもクルマの少ない林道へ迂回した方が安全だと判断しました。林道は宝塚市立の自然体験施設「少年自然の家」(宝塚市大原野字松尾1番地)付近から始まり、木器(こうづき)という集落へ続いていました。 |
| 木器でお昼ごはん (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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林道はとても細く、クルマの通った跡もほとんどありませんでした。「ほんとうにこの道で合っているのか?」と、疑問に感じたため、宝塚市立「少年自然の家」の職員の方に、林道の状況を聞いてみることにしました。職員の方は、「昨年2004年秋の台風で道が一部崩れてからクルマの通行はできないままになっているけれども、歩行者や自転車ならば通れる」と、親切に教えてくださいました。
自信を持ったわたしは、未舗装の林道をぐんぐんと前へ進みました。 途中、少年自然の家の職員の方がお話しくださった通り、路肩が崩れた箇所がありました。本来の道幅の半分ほどの路面が崩れて、崖の下のある池に滑り落ちていました。わたしは、自転車を押して、崩れずに残った路面を慎重に歩いて渡りました。 林道をしばらく上っていくと猪ノ倉峠(いのくらとうげ)という峠に差し掛かり、そこから登山道のような道を下っていくと木器(こうづき)の集落へ出ます。集落へ近づくと舗装路に変わりました。林道は3キロメートル弱の短いものでしたが、路肩が崩れていたこともあり、クルマは1台も通っていませんでした。 木器には定食屋さんが1軒あり、わたしはそこでお昼ごはんをいただくことにしました。
注文したエビフライ定食には、お肉たっぷりの太ったエビが2匹もついていました。朝から自転車のペダルを回し続けてお腹が減っていたこともあり、このおいしいエビフライ定食をペロリをたいらげました。お腹が膨れたあとは、いよいよ有馬富士に接近です。 木器から有馬富士までは、切詰峠という峠をひとつ越えれば到着します。峠から下ってくると、遠くに富士山のような円錐(えんすい)の形をした山が見えてきました。有馬富士です。 | クリックすると拡大します。 |
| 有馬富士へ登る。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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有馬富士は有馬富士森林公園のなかにあります。有馬富士の標高は374メートルですが、その周囲の森林公園の標高はおよそ200メートルほどの高台にあるため、公園から見る有馬富士の高さは200メートルにも満たない高さです。東京タワーが333メートルですから、かなり小さい山です。わたしは「これなら登れる!」と思い、さっそく有馬富士に登り始めました。
有馬富士には、螺旋状の登山道があります。登山道と言っても軽自動車が1台通れるほどの道幅があり、小さな子供でも登れるよう整備されています。ぐるぐると山の周囲を回りながら高度を上げていき、およそ8合目付近に達すると、道幅の広い登山道は終点となりました。 頂上付近は傾斜がきつく、先っぽが細くなっているため、ケモノ道のような“本格的”な登山道に変わります。わたしは自転車を道の脇に停め、歩いて山頂へ登ることにしました。 あまりに傾斜が大きくなってきたため、わたしは2本の足で立って登ることができず、手と足の両方をつかって斜面を這うように登りました。有馬富士の頂上に着いたのは、麓の公園から登り始めて1時間ほどたった頃でした。 |
| 三田市街地を一望。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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有馬富士の頂上からは、JR福知山線の新三田駅付近の新興住宅地がよく見えました。宅地の造成は、今も続いているようで、多くの人が、この自然豊かな有馬富士の近くに新居を求めているようです。JRの快速電車に乗れば、大阪駅からおよそ40分で新三田に来ることができます。
この所要時間を東京に当てはめて考えると、新宿駅からJR中央線で立川駅、同じく新宿駅からJR埼京線で大宮駅、同じく新宿駅から小田急線で相模大野駅くらいのイメージです。 立川や大宮、相模大野と言えば、確かに遠い印象を受けますが、新宿に通勤できないこともない距離だと思います。わたしの職場の同僚で、さらに遠い八王子から通勤している方がいることを考えれば、40分という時間を長いとするか、短いとするかは人によって違いが出てきそうな感じです。 有馬富士を後にしたわたしは、JR福知山線の新三田駅まで自転車で一気に下りました。途中には、新興住宅地に相応しい広い車道や歩道、公園が、よく整備され、自転車を快適に走らせることができました。 自転車を袋の中に入れ、新三田駅のホームに立ったとき、目の前に広がる丘の上からひょっこりと頭を出した有馬富士が見えました。その美しい有馬富士の姿は、今でも深く印象に残っています。 | クリックすると拡大します。 |
| 注:2005年4月25日、JR福知山線で脱線事故が起き、多くの方々がお亡くなりなったり、大ケガをされたりしました。今回の自転車ツーリングは、事故の起こる前に行なったものであり、後にこの路線で重大事故が発生するとは夢にも思いませんでした。お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ケガをされた方の1日も早いご回復を願っています。 |