表紙 >> 目次 >> 数馬温泉1泊2日の自転車旅行 >> 激闘、耳をつんざく排気音と自転車
激闘、耳をつんざく排気音と自転車
2004年、夏の思い出特集−第1弾−【下】
[目次ページ]  [走行ルートを検索]  [があ子の自己紹介]  [リンク集]

透き通る虫の声。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 朝4時すぎ、ひんやり冷たい空気のなかで目が覚めました。泊まらせていただいたお宿は山間(やまあい)にあり、周囲の高い山にさえぎられて、まだ日の出を見ることはできません。お宿のすぐ下を流れる南秋川のせせらぎの音や、朝に鳴く鳥や虫の声だけが聞こえてきます。同行している専属カメラマンは、ぐっすりと寝入ったままです。

奥多摩周遊道路から望む奥多摩湖。藍色をした湖がよく見えます。

 ◆わたしは、録音機をお宿の窓から夜が明けきらない峡谷に向けて、谷に響く虫や鳥の声を録音しました。たくさんの虫が透き通るような声で鳴いているが、よく録れています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間1分32秒、ファイル容量722KB、MP3形式)

 身支度をして、朝ごはんをいただく準備をしていたときでした。少し高台にあるお宿の下を通る地方道206号線・檜原街道をオートバイが数台走り抜けていく音がしました。わたしは「こんなに朝早くからオートバイが走るなんて、めずらしいなぁ」という程度にしか思わず、それ以上、深く考えることはありませんでした。

 しかし、しばらくすると、次から次へとオートバイの大きな排気音が聞こえてくるようになりました。1台や2台ではありません。多いときは10台近いオートバイが連なって、山手の方に走っていきます。オートバイは四輪車に比べて排気音が高く、耳につきやすい特性がありますが、ここを走り抜けるオートバイの音は、この傾向がさらに強いように感じました。時計を見ると、まだ朝6時前です。

 オートバイの軍団は、わたしがこれから向かおうとしている森林公園「都民の森」の方角に向かっています。少し気になりましたが、お腹が猛烈に減ってきたため、お宿の朝ごはんをいただくことにしました。

 ◆お宿の朝ごはんをいただくときに録音しました。「おはようございます。いま朝ごはんをいただくところです。わたしの好きな貝のお汁があります。フフフフっ。いただきまぁーす」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間21秒、ファイル容量166KB、MP3形式)

 ◆朝ごはんの現場を実況してみました。「これは白身のお魚です。海のお魚を煮たものでとてもおいしいです。貝のお汁には大きなハマグリがたくさん入っています。キュウリはとても新鮮です。きっとお宿の方が育てた、もぎたてのキュウリだと思います。シャキシャキしています」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間1分07秒、ファイル容量523KB、MP3形式)

クリックすると拡大します。
第2日目の走行ルート図です。数馬温泉から都民の森、奥多摩湖を経て、JR中央線・上野原駅まで走りました。
奥多摩周遊道路、奥多摩湖、鶴峠周辺の詳細図です。クリックすると拡大します。
第2日目の走行ルートの標高差を示した図です。カシミール3Dを使って制作しました。
泊まらせていただいた民宿の全景です。歴史を感じさせる温かみのある民家でした。
朝ごはんをいただきました。貝のお汁やお魚の煮付けなど豪華メニューでとてもおいしかった。
お宿で部屋で身支度をすませ、いざ出発です。
都民の森で柚子アイスを食べる。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
クリックすると拡大します。
お宿の前は渓谷になっていて、南秋川の清流が流れています。
お宿を出て都民の森へ向かう前に、サイクルコンピュータ(スピードメータ)の電源を入れているところです。
地方道206号線・檜原街道からお宿を背景に写した写真です。
都民の森の売店前にて。おいしい柚子アイスクリームをいただいて元気100倍です。
奥多摩周遊道路を走り終え、奥多摩湖に差し掛かる休憩所で撮りました。眼下に藍色の奥多摩湖がよく見えました。

 朝8時、お腹いっぱいに朝ごはんをいただいたわたしは、「都民の森」に向けてペダルを回し始めました。お宿のある数馬温泉から檜原街道を約4キロメートルほど山手に登ったところに都民の森があります。都民の森は標高1000メートル前後の山腹にあり、お宿との標高差は300メートル弱あります。この間、クルマの通行数より、オートバイの通行数の方が多かったように感じました。

都民の森で地元名産の“柚子アイスクリーム”をいただきました。さっぱりして、とてもおいしい。

 都民の森に着いて、びっくり。あたり一面、オートバイだらけです。都民の森には大きな駐車場があり、その先には奥多摩湖まで続く「奥多摩周遊道路」が建設されています。オートバイのライダーたちは、どうやらこの奥多摩周遊道路を走ることを目的に、ここに集まってきた模様です。

 まだ、朝9時少し前の早い時間帯にも関わらず、目の前に見えるだけでもオートバイが20−30台停車しています。オートバイの多さに驚きながらも、わたしは、駐車場脇で販売している「柚子(ゆず)アイスクリーム」に気持ちを奪われました。柚子アイスは、地元名産のひとつで、この地域で盛んに生産されているアイスクリームだそうです。

 ◆柚子アイスクリームをいただきながら録音しました。「山道を4キロメートルほど登って『都民の森』まできました。いま、都民の森で販売している地元名物の“柚子アイスクリーム”をいただいています。わたし、あっさりとした柚子の味が大好きなので、とても気に入りました」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間34秒、ファイル容量266KB、MP3形式)

 わたしは「奥多摩周遊道路」を経て、奥多摩湖へと自転車を進めました。奥多摩周遊道路には、本日、最大の難関である標高1100メートル強の風張峠が待ちかまえています。この峠を越えれば、標高約520メートルの奥多摩湖へと、一気に下ります。自転車で奥多摩湖に行くのは、今回が初めてです。

爆音のなかを走り抜ける。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 都民の森の休憩場で柚子アイスクリームをいただいたあと、ふと駐車場に目を向けると、少し前に比べて、オートバイの数が増えているように見えました。通常、街中を走るクルマのなかで、オートバイの比率はかなり低いはずなのですが、ここ奥多摩周遊道路周辺ではオートバイの台数比率がとても高いのに気づきました。

オートバイの走行頻度が高い区間を地図で示しました。

 よくない予感がしつつも、わたしは奥多摩周遊道路へと自転車を進めました。すると、どうでしょう。無数の大排気量のオートバイが、サーキットさながらの猛スピードと爆音を立てながら、周遊道路を疾走しているではありませんか。今にも倒れそうなくらいにオートバイを傾けて、つづら折りになっている山道を駆け抜けていきます。まるで“山岳サーキット場”の様相です。

 どのくらいすごいのかは、次の録音を聞いてください。この録音は、継ぎ足しなどの編集はしておらず、2分54秒のあいだ、ほとんど途切れることなくオートバイが爆音を立てて疾走していく様子が記されています。

 わたしは、オートバイが突っ込んでくるのではないかと怖かったので、この間、一歩も動けませんでしたが、3台ほどの自転車ライダーの方々は、勇敢にもオートバイのけたたましい排気音を気にも留めずに、静かに山道を登っていきました。オートバイの爆音に比べれば、自転車は“無音”に近いため、残念ながら録音テープには自転車が走った痕跡を聞き取ることはできません。

 ◆奥多摩周遊道路の“山岳サーキット場”区間で録音しました。爆音をたてて疾走するオートバイが連なって走っています。「暴走しています… わたしは怖くてとても走れませんでしたが、3台ほどの自転車ライダーが無音で走り抜けていました」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間2分54秒、ファイル容量1330KB、MP3形式)

 オートバイの集団が来たときは、路肩で縮こまって待避しました。ある区間によっては道が細くて待避する空間がない箇所もあり、そういうときは、震えながらペダルを回しました。

 通常、標高1100メートルもの高い峠を越えるときは、単純に手足の筋肉が疲労するものです。しかし、今回に限っては、オートバイのあまりの速さと耳をつんざく爆音に対する“恐怖”ばかりが先走り、筋肉の疲れを感じる精神的な余裕はありませんでした。火事場の底力のように、ぐいぐいペダルを回して、気が付いたら最大の難所の風張峠を越えていました。

 いつの間にか、ペダルが軽くなり、下り坂を滑走し始めました。速度メーターは時速35キロメートルを指していて、風を切る音が聞こえてきます。自転車としては、とてつもなく早い速度で走行しているのですが、オートバイに比べれば、依然として遅い速度のようです。わたしのすぐ横を、猛スピードで追い抜いていくオートバイもあり、わたしとの速度差は、時速40−50キロメートルほどあるように思われるときもありました。

奥多摩湖が見える。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
クリックすると拡大します。
奥多摩湖畔のおいしいおそば屋さんとわたし。
山梨県小菅村の案内図です。観光やキャンプ、釣りなどがとても盛んな村です。
案内図全体を写してみましたが、字が小さくなりすぎて、よく分からなくなってしまいました。
これから本日2番目の難関、標高900メートル弱の鶴峠に向かうところですが、その前にちょっと休憩。
鶴峠に向けて坂を登ります。短い区間ですが、激しい坂道があります。

 やっとの思いで奥多摩湖が見える休憩所までやってきました。ここまで来ると、オートバイの数は、かなり減ってきます。オートバイ・ライダーの方々は、奥多摩周遊道路のある限られた数キロメートルの区間を、行ったり来たりと、ピストン運動をするケースが多いからです。

奥多摩湖畔のおそば屋さんで昼食をいただきました。暖かいラーメンもいただきました。とてもおいしい。

 オードバイが往来する区間では、同じオートバイを何度も見かけました。逆に、わたしが運転する自転車は、そうしたライダーから見れば、山岳サーキット場を1周してきても、まだ同じような場所でペダルを回している、とてつもなく“遅い存在”に感じるのだろうと思いました。

 山岳サーキット区間を抜け出たわたしは、奥多摩湖の畔で営業をしていたそば屋さんで、休憩を兼ねてお昼ごはんをいただくことにしました。昨晩のお宿の夕食に続き、地元名産をおそばを、ここでもいただけるなんて、とても幸せなことです。怖ろしい思いをして、サーキット区間を走り抜けてきた甲斐があるというものです。

 おそばをいただいていると、ちょうど昼時に差し掛かろうという時間帯であったためか、たくさんのオートバイ・ライダーたちがお店に入ってきました。

 多くのオートバイ・ライダーは、安全運転で、ゆっくりツーリングを楽しんでいるのですが、一部のオートバイ・ライダーが、制限速度を明らかに上回る速度と、異常に大きい排気音を立てて走行しています。すぐ目の前の道路を、大きい排気音を立てて走り行くライダーを見たごく普通のライダーたちは、“自分たちも彼らと同じだと見られたくない”といった様子で、閉口していました。

 ◆奥多摩湖をあとにして、隣県の山梨県側を通る地方道18号線・上野原丹波山線を走り始めたときに録音しました。ハトくらいの大きさの鳥が、疾走するオートバイの爆音も気にせず、甲高い声で鳴いていました。きっと、この付近の動物たちは、オートバイの爆音に慣れてしまっているのでしょう。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間1分23秒、ファイル容量653KB、MP3形式)

JR上野原駅に向かう。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 本日、2つ目の難関は、地方道18号線上にある標高900メートル弱の鶴峠です。この峠を越えれば、あとは標高200メートル弱のJR中央線・上野原駅までの標高差約700メートルのあいだ、おおむね下り坂が続きます。

鶴峠にて。実際は、安全運転のオートバイ・ライダーの方が多い。

 ◆鶴峠付近で録音しました。「いま、鶴峠にいます。そろそろ夕方が近づいてきたのでセミの声が大きくなってきました。きょうは昨日よりもいい天気で、水もすでに4リットルほど飲みました。奥多摩地区は、自然豊かですばらしいところなのですが、爆走するオートバイが多く、自転車にとっては走りにくいところでした。とても残念です」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間1分05秒、ファイル容量511KB、MP3形式)

 奥多摩周遊道路や地方道18号線を走ってみて感じたのですが、この道は、オートバイの通行は頻繁にあるものの、クルマの交通量は意外に多くありませんでした。昨日、走った地方道33号線・檜原街道の方が、よほどクルマの量が多かったように思いました。逆に見れば、クルマとの交通事故などのトラブルを避けたいオートバイが、好んでこの道を走っているようにも思われました。

 ◆最終目的地のJR中央線・上野原駅に着いたときは、もう日暮れ間近でした。日が暮れる前に、急いで自転車を袋に詰めて、登り電車に乗って帰宅しました。押すと写真が出ます。

 ◆自宅に戻る電車のなかで録音しました。「活動拠点である井の頭公園から奥多摩まで自力で到達しました。とても満足度が高い自転車ツーリングでした。奥多摩は山がきつくて、何度も挫折しかけましたが、最後まで走りきることができました。とてもうれしく感じたと同時に、これからの自信にもつながっていくと思いました」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間1分28秒、ファイル容量687KB、MP3形式)

 今回は、都心の井の頭公園から、標高1100メートル級のそびえ立つような峠を越え、自分の力だけで奥多摩湖まで辿(たど)り着けたことに、とても大きな満足感を覚えました。

 ※奥多摩周遊道路を走るライダーのうち、一見して制限速度を超えて走っていると思われるライダーは一部です。多くのライダーは交通規則を守り、安全運転を心掛けています。

クリックすると拡大します。
鶴峠に向けてぐんぐん登ります。
急カーブもなんのその。
鶴峠に登り切りました。
駅の近くまで下ってきました。
無事、上野原駅に到着しました
駅のホームで特急の通過を待ちました。日も暮れかかっています。


[目次ページ]  [走行ルートを検索]  [があ子の自己紹介]  [リンク集]
前のページに戻ります。
表紙 >> 目次 >> 数馬温泉1泊2日の自転車旅行 >> 激闘、耳をつんざく排気音と自転車