| リゾートアイランド (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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東京都内のリゾートアイランド・八丈島に行ってきました。都心から南へ約300キロメートル。紺碧の海原に浮かぶ麗しの島です。北西と南東にそれぞれ大きな山があり、上からみるとまるで“ひょうたん”のような形をしています。
今回の自転車ツーリングでは南東側にある三原山(標高700メートル)に登頂。北西側の端正な面持ちの八丈富士を真正面に見据えつつ、海に囲まれた360度の絶景を堪能しました。 羽田空港を離陸した飛行機は伊豆諸島をなぞるように飛びます。東京湾の玄関口・浦賀水道を出ると右手に伊豆大島、その向こうに小さく利島(としま)、新島(にいじま)が並んで見えました。東京−名古屋間くらいの距離しかないためか、それほど高度を上げません。 風景はゆっくり移り変わり、三宅島が視界に入ります。南隣に浮かぶ小さな御蔵島(みくらじま)をすぎてしばらくすると八丈島。船だと24時間近くかかるのに、飛行機だとほんとうにあっという間。1時間弱で着きます。 八丈島空港を上空から確認するように通りすぎ、しばらく進んだのち旋回して着陸態勢に入りました。右手の窓にはターゲットの三原山がよく見えます。徐々に高度を下げ、目の高さが山より低くなってきたところで軽い衝撃。車輪が地面に着き、ゴーッッと逆噴射ブレーキをかけて減速。無事、八丈島に到着です。この日は民宿でゆっくり休み、自転車登山に備えました。 余談ですが、飛行機の中からの撮影は昔のアナログ・フイルムカメラを使いました。デジタルカメラは機内での使用が禁止されているためで、ローテクが大活躍。パソコンへはフイルムをスキャナにかけて取り込んでいます。 | クリックすると拡大します。 |
| 八丈名産の明日葉 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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翌早朝、食卓に並んだおひたしを口に入れると、少し苦みを感じました。思わず渋い顔をすると、お宿の方が、「それは八丈島名産の明日葉(あしたば)だよ」と教えてくれました。
噛んでいるとコクが出てきて、主張がものすごく強いほうれん草みたい。セリ科の緑黄色野菜で、ミネラルやビタミンが豊富。きょうは体力が必要な日ですので、スタミナ補給にもってこいです。島を代表する健康食材で元気いっぱいになったわたしは、三原山に向けて勢いよくペダルを回しました。 ひょうたんの“くぼみ部分”が八丈島の中心市街地。標高が比較的低いため「坂下地区」と呼ばれ、空港もここにあります。一方、島の南側に位置する集落は「坂上地区」。三原山の比較的なだらかな山腹に集落が点在しています。坂下より100メートルほど標高が高く、坂を登らないと到達できない。 ちなみに、北西の八丈富士の周囲に行くと民家は急に少なくなります。昔は八丈富士の向こう側に小学校もあったそうですが、水の便がよくないためか、今はアロエ畑にかわっています。 わたしがお宿を借りたのは坂下、八重根(やえね)港にほど近い大賀郷(おおがごう)です。ターゲットの三原山へは、坂上の集落・樫立(かしだて)まで登り、そこから三原林道で山頂を目指すルートをたどりました。【詳細地図ご参照】
大賀郷から坂上方面へは切り立った崖に阻まれています。絶壁の壁面に張り付くように陸橋がかけられ、途中からトンネルに変わる険しい道のり。陸橋やトンネルができるまで、坂下・坂上間の行き来は、とても苦労したそうです。 断崖につくられた坂道は「大坂」と呼ばれ、トンネルは「大坂トンネル」。初代の大坂トンネルは1907年、日露戦争の戦勝記念で建設されました。ただ、道幅が狭く、太平洋戦争後の交通量の増加に耐えられない。そこで1968年、クルマが余裕をもってすれ違えるよう拡幅したのが今の大坂です。 |
| 大坂を越える (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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大坂からは八丈富士がよく見え、その後ろに沈む夕日はとりわけ美しい。江戸時代末期、幕府によって八丈島に流された神職・鹿島則文(かしまのりぶみ)さんは、「そばだてる 巌に憂きを 隔てつつ 夕日涼しく 越える大坂」(そびえたつ断崖で隔たれて悩ましいけれど、美しい夕日を眺め、そよ風に涼みながら大坂を越えました)と、大坂の夕照を歌に残しています
大坂トンネルを越えて、道なりに進むと樫立の集落です。坂上地区は樫立、中之郷(なかのごう)、末吉(すえよし)の3つの集落が、島の南から東側にかけて、三原山を囲むように山腹に点在。小さなスーパーや雑貨屋、郵便局などが並び、日常生活を支えています。 ただ、わたしみたいな観光客にとって困るのは昼食。朝と晩はお宿でいただくからいいけど、お昼の行き場が限られます。スーパーはあってもレストランや食堂が見つからないし、コンビニはもっとない。スーパーでおにぎりやパンを買うか、数少ない喫茶店のちょっと高いランチをいただくかの択一。 きょうは三原山の山頂でお昼を食べようと思っているので小さなスーパー兼雑貨屋さんでおにぎりとペットボトル入りのお茶を確保しました。 | クリックすると拡大します。 |
| 三原林道で山頂へ (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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三原林道に入ると急に勾配がきつくなります。標高700メートルの頂上までずっと登り。樫立までの幹線道路はクルマの通りが意外に多かったけれど、林道に入ると静かなものです。それでも明日葉の畑が林道沿いにありますので、少なくとも農作業用の車両の往来はあるはず。油断しないよう慎重に自転車を進めます。
明日葉は元気よくの日の光を浴びています。葉はところどころ切られていますが、弱るそぶりはまったくない抜群の生命力。朝にいただいたおひたしも、きっとこうした元気いっぱいの明日葉を使ったのでしょう。なるほど、しゃきしゃきでおいしいはずです。東京都心に出荷できるほどの生産量を誇るだけあります。 坂道がだんだん厳しくなる。自転車の押し歩きを交えながら6−7キロメートルほど進むと山頂が見えてきました。熱帯ジャングルのような密度の濃さの緑に覆われていますが、全体的にゴツゴツ、ボコボコとしていてるのが見て取れます。大きな爆弾で山頂を吹き飛ばされたよう。 強風を避けるために頭を低くした樹木やシダ系の植物がびっしりと茂り、よく見るととごところに火山性の黒っぽい岩が頭をのぞかせいます。 島全体を見渡せるほどの絶景が、登頂したわたしを待っていました。真正面には八丈島。その足もとには空港が横たわっています。ヘリコプターがゆっくりと飛来し、高度を下げて滑走路へ着陸。底土港(そこどこう)沖には物資を運んできた貨物船の姿も見えます。雨が多い八丈島で、これだけの視界を楽しめたのはとても運がいいことです。 |
| カルデラ状の噴火口 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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富士山のミニチュア版のように先がすぼんだ円錐形の八丈富士に対して、三原山の形は複雑です。八丈富士の噴火口はほぼひとつに集中し、何度も噴火を繰り返すことで850メートル余りの円錐形をつくりあげました。一方で、三原山は溶岩が不均一に流れ出した印象を受けます。標高は約700メートルと低いですが、すそ野は三原山の方が広い。吹き出したマグマの総量で見れば八丈富士よりも多かったのかも知れません。
山頂から噴火口を見下ろすと、大きなカルデラ状になっていることが分かります。火口の壁が半分ほど崩れていているので湖にはなり得ませんが、よく見ると水たまりのような沼がいくつかあります。日照りが続いたら乾いてしまう小ささですが、幸い雨は多いので乾くことは希でしょう。 八丈富士にくらべて水分が多いのは、こうした複雑な地形が貢献しているのだと思います。きっと洞窟なんかも点在していて、もし落ちたら数百メートルもある奈落の底でぺしゃんこになりそうです。
三原林道は樫立から三原山頂を経由して、坂下の中心市街地の一角・三根(みつね)方面へ抜けます。山頂を後にしたわたしは、来た道には戻らず三根へ向かいました。坂下まで下りてしまえば、お宿のある大賀郷まではすぐです。今日は天気に恵まれ最高の自転車ハイキングを心ゆくまで満喫。八丈島での充実した一日を過ごすことができました。 | クリックすると拡大します。 |