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八丈島の名峰・三原山から八丈富士を望む
2007年、夏の思い出特集
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リゾートアイランド (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 東京都内のリゾートアイランド・八丈島に行ってきました。都心から南へ約300キロメートル。紺碧の海原に浮かぶ麗しの島です。北西と南東にそれぞれ大きな山があり、上からみるとまるで“ひょうたん”のような形をしています。

羽田空港から八丈島へ出発! 南方へ約300キロ。黒潮に浮かぶ都内のリゾートアイランドです。

 今回の自転車ツーリングでは南東側にある三原山(標高700メートル)に登頂。北西側の端正な面持ちの八丈富士を真正面に見据えつつ、海に囲まれた360度の絶景を堪能しました。

 羽田空港を離陸した飛行機は伊豆諸島をなぞるように飛びます。東京湾の玄関口・浦賀水道を出ると右手に伊豆大島、その向こうに小さく利島(としま)、新島(にいじま)が並んで見えました。東京−名古屋間くらいの距離しかないためか、それほど高度を上げません。

 風景はゆっくり移り変わり、三宅島が視界に入ります。南隣に浮かぶ小さな御蔵島(みくらじま)をすぎてしばらくすると八丈島。船だと24時間近くかかるのに、飛行機だとほんとうにあっという間。1時間弱で着きます。

 八丈島空港を上空から確認するように通りすぎ、しばらく進んだのち旋回して着陸態勢に入りました。右手の窓にはターゲットの三原山がよく見えます。徐々に高度を下げ、目の高さが山より低くなってきたところで軽い衝撃。車輪が地面に着き、ゴーッッと逆噴射ブレーキをかけて減速。無事、八丈島に到着です。この日は民宿でゆっくり休み、自転車登山に備えました。

 余談ですが、飛行機の中からの撮影は昔のアナログ・フイルムカメラを使いました。デジタルカメラは機内での使用が禁止されているためで、ローテクが大活躍。パソコンへはフイルムをスキャナにかけて取り込んでいます。

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今回の活動エリアを示した図です。クリックすると拡大します。
島全体を示した図に走行ルートを記入。空港や三原山、市街地の位置関係も分かるようにしました。
この日、羽田空港に政府専用機がとまっていました。テレビニュースで見慣れた機体ですが、実物を見たのは今回が初めて。
八丈島行きの飛行機の前にて。たくさんの人が乗り込み、すぐに満席になりました。
八丈島に向かう機上にて。藍色の深い海に仲良く並ぶ伊豆七島が上空からよく見えます。
八丈名産の明日葉 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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【詳細図】走行ルートの詳細図。黄色い破線区間が三原山山頂に通じる「三原林道」です。
走行ルートの標高差を示した図です。山頂は700メートルで、全行程は約28キロメートルでした。地形測定ソフトのカシミール3Dを使って制作しました。
離陸から1時間弱。八丈島が見えてきました。写真手前の山が八丈富士、その向こうにうっすらと見える小さな島が八丈小島(離れ島)です。
着陸寸前の飛行機から。左正面のいちばん高い山が今回のメインターゲットである三原山。ほぼ正面で海からせせり立っている崖に貼りつくように見える陸橋が「大坂」です。
陸橋が続く大坂。登り切ったところにトンネルが掘られ、坂上の集落・樫立(かしだて)に通じています。
大坂の中腹から振り返ると、正面に美しい円錐形をした八丈富士がよく見えました。写真左は離れ島の八丈小島。今は無人島です。

 翌早朝、食卓に並んだおひたしを口に入れると、少し苦みを感じました。思わず渋い顔をすると、お宿の方が、「それは八丈島名産の明日葉(あしたば)だよ」と教えてくれました。

お忙しい方も、この動画だけ見ればだいたいの雰囲気がつかめるよう編集しました。ウインドウズ付属のウィンドウズメディアプレーヤーで再生できます。(再生時間2分12秒、ファイル容量15.8MB、ビットレート1708Kbps、WMV形式)

 噛んでいるとコクが出てきて、主張がものすごく強いほうれん草みたい。セリ科の緑黄色野菜で、ミネラルやビタミンが豊富。きょうは体力が必要な日ですので、スタミナ補給にもってこいです。島を代表する健康食材で元気いっぱいになったわたしは、三原山に向けて勢いよくペダルを回しました。

 ひょうたんの“くぼみ部分”が八丈島の中心市街地。標高が比較的低いため「坂下地区」と呼ばれ、空港もここにあります。一方、島の南側に位置する集落は「坂上地区」。三原山の比較的なだらかな山腹に集落が点在しています。坂下より100メートルほど標高が高く、坂を登らないと到達できない。

 ちなみに、北西の八丈富士の周囲に行くと民家は急に少なくなります。昔は八丈富士の向こう側に小学校もあったそうですが、水の便がよくないためか、今はアロエ畑にかわっています。

 わたしがお宿を借りたのは坂下、八重根(やえね)港にほど近い大賀郷(おおがごう)です。ターゲットの三原山へは、坂上の集落・樫立(かしだて)まで登り、そこから三原林道で山頂を目指すルートをたどりました。【詳細地図ご参照】

坂下の町・大賀郷でかりたお宿の朝食。明日葉のおひたし(お味噌汁の横)が八丈島らしくてすてき。

 大賀郷から坂上方面へは切り立った崖に阻まれています。絶壁の壁面に張り付くように陸橋がかけられ、途中からトンネルに変わる険しい道のり。陸橋やトンネルができるまで、坂下・坂上間の行き来は、とても苦労したそうです。

 断崖につくられた坂道は「大坂」と呼ばれ、トンネルは「大坂トンネル」。初代の大坂トンネルは1907年、日露戦争の戦勝記念で建設されました。ただ、道幅が狭く、太平洋戦争後の交通量の増加に耐えられない。そこで1968年、クルマが余裕をもってすれ違えるよう拡幅したのが今の大坂です。

大坂を越える (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 大坂からは八丈富士がよく見え、その後ろに沈む夕日はとりわけ美しい。江戸時代末期、幕府によって八丈島に流された神職・鹿島則文(かしまのりぶみ)さんは、「そばだてる 巌に憂きを 隔てつつ 夕日涼しく 越える大坂」(そびえたつ断崖で隔たれて悩ましいけれど、美しい夕日を眺め、そよ風に涼みながら大坂を越えました)と、大坂の夕照を歌に残しています

大坂から八丈富士方面の絶景を望む。崖が切り立ち、厳しい自然環境です。でも、ふとしたその横顔はほんとうに魅力的。

 ◆大坂トンネルの手前で録音しました。「きょうは好天に恵まれ、八丈富士の山頂がよく見えます。八重根港や南原千畳敷、横間が浦が一望できます」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間50秒、ファイル容量586KB、MP3形式)

 ◆大坂トンネルの続き。「坂の下からうねうねと登る横間道路、逢坂陸橋が眼下に見える。今朝の東京発第一便の飛行機が、まるで空に浮かんでいるかのように、ゆっくりと空港に引き寄せられていきます」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間38秒、ファイル容量445KB、MP3形式)

 大坂トンネルを越えて、道なりに進むと樫立の集落です。坂上地区は樫立、中之郷(なかのごう)、末吉(すえよし)の3つの集落が、島の南から東側にかけて、三原山を囲むように山腹に点在。小さなスーパーや雑貨屋、郵便局などが並び、日常生活を支えています。

 ただ、わたしみたいな観光客にとって困るのは昼食。朝と晩はお宿でいただくからいいけど、お昼の行き場が限られます。スーパーはあってもレストランや食堂が見つからないし、コンビニはもっとない。スーパーでおにぎりやパンを買うか、数少ない喫茶店のちょっと高いランチをいただくかの択一。

 きょうは三原山の山頂でお昼を食べようと思っているので小さなスーパー兼雑貨屋さんでおにぎりとペットボトル入りのお茶を確保しました。

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大坂のガードレールには八丈島の“島の魚”「ハルトビ(トビウオ)」が描いてあります。大きな翼を広げて、今にも飛び出しそう。
「大坂夕照」の案内板。ここから眺める夕日は格別だそうです。
大坂トンネルを抜けて、三原山に続く林道へ自転車を進めます。
八丈名産の明日葉。日の光を全身に浴びて、すくすく育つ。
樫立から三原林道に入ると階段状になった明日葉の畑がある。山腹の限られた土地を有効活用しています。
三原林道を元気よく走る。林道の奥へ進むと明日葉畑も次第に見られなくなります。
三原林道で山頂へ (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)
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山頂へ向かう三原林道にて。
山頂付近から中之郷方面を望む。写真左に東京電力の風力発電用のプロペラが小さく見えます。
山頂に来てみると、わたしの他にも自転車で登ってきた方がいて驚きました。写真右に少し見えるのが先客さんの後タイヤ。
通信アンテナの向こうに八丈富士の勇姿がはっきり見えます。
写真右が底土(そこど)港。湿度が低い晴天の日には、ここから東京方面に100キロ近く離れた御蔵島が見えるそうです。

 三原林道に入ると急に勾配がきつくなります。標高700メートルの頂上までずっと登り。樫立までの幹線道路はクルマの通りが意外に多かったけれど、林道に入ると静かなものです。それでも明日葉の畑が林道沿いにありますので、少なくとも農作業用の車両の往来はあるはず。油断しないよう慎重に自転車を進めます。

三原山の山頂にて。標高約700メートル。壮大なスケールのカルデラが一望できます。

 明日葉は元気よくの日の光を浴びています。葉はところどころ切られていますが、弱るそぶりはまったくない抜群の生命力。朝にいただいたおひたしも、きっとこうした元気いっぱいの明日葉を使ったのでしょう。なるほど、しゃきしゃきでおいしいはずです。東京都心に出荷できるほどの生産量を誇るだけあります。

 坂道がだんだん厳しくなる。自転車の押し歩きを交えながら6−7キロメートルほど進むと山頂が見えてきました。熱帯ジャングルのような密度の濃さの緑に覆われていますが、全体的にゴツゴツ、ボコボコとしていてるのが見て取れます。大きな爆弾で山頂を吹き飛ばされたよう。

 強風を避けるために頭を低くした樹木やシダ系の植物がびっしりと茂り、よく見るととごところに火山性の黒っぽい岩が頭をのぞかせいます。

 島全体を見渡せるほどの絶景が、登頂したわたしを待っていました。真正面には八丈島。その足もとには空港が横たわっています。ヘリコプターがゆっくりと飛来し、高度を下げて滑走路へ着陸。底土港(そこどこう)沖には物資を運んできた貨物船の姿も見えます。雨が多い八丈島で、これだけの視界を楽しめたのはとても運がいいことです。

カルデラ状の噴火口 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます)

 富士山のミニチュア版のように先がすぼんだ円錐形の八丈富士に対して、三原山の形は複雑です。八丈富士の噴火口はほぼひとつに集中し、何度も噴火を繰り返すことで850メートル余りの円錐形をつくりあげました。一方で、三原山は溶岩が不均一に流れ出した印象を受けます。標高は約700メートルと低いですが、すそ野は三原山の方が広い。吹き出したマグマの総量で見れば八丈富士よりも多かったのかも知れません。

三原山の山頂付近から見た八丈富士。その手前に横たわるのが空港。ここが大海原に浮かぶ小さな島で、そこにいる無力で小さな自分を、ひしひしと感じます。

 山頂から噴火口を見下ろすと、大きなカルデラ状になっていることが分かります。火口の壁が半分ほど崩れていているので湖にはなり得ませんが、よく見ると水たまりのような沼がいくつかあります。日照りが続いたら乾いてしまう小ささですが、幸い雨は多いので乾くことは希でしょう。

 八丈富士にくらべて水分が多いのは、こうした複雑な地形が貢献しているのだと思います。きっと洞窟なんかも点在していて、もし落ちたら数百メートルもある奈落の底でぺしゃんこになりそうです。

 ◆三原山の山頂で録音しました。「三原山の山頂は、崩れたカルデラ湖の底のようになっています。溶岩が海の方へ流れ出した跡が残り、ところどころ水たまりもあります。火山島である八丈島の生い立ちを実感しました」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間59秒、ファイル容量695KB、MP3形式)

三原山山頂付近から南側を望む。写真中央やや左寄り中之郷、右側に樫立の集落が見える。ときに猛威をふるう自然環境ですが、こうして見るとその美しさに言葉を失います。

 ◆三原山の山頂の続き。強い風が吹き、聞き取りにくい部分もあります。「青い海が180度広がり、足下には緑に埋もれた樫立や中之郷の町並みが見えます。八丈富士の方へ目をやると山頂がよく見えました。きっとたくさんの観光客の方々がこちらを見ていることでしょう。海には何艘かの船が波間に浮いています」という趣旨を話しています。この段落をクリックすると音声を再生します。(録音時間1分1秒、ファイル容量720KB、MP3形式)

 三原林道は樫立から三原山頂を経由して、坂下の中心市街地の一角・三根(みつね)方面へ抜けます。山頂を後にしたわたしは、来た道には戻らず三根へ向かいました。坂下まで下りてしまえば、お宿のある大賀郷まではすぐです。今日は天気に恵まれ最高の自転車ハイキングを心ゆくまで満喫。八丈島での充実した一日を過ごすことができました。

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八丈富士とわたし。
【三原山のカルデラ−1−】3枚の“連続写真”にしました。これは西側から山頂付近を写したものです。
【カルデラ−2−】ほぼ中央部分を写したもの。噴火口が周囲より凹んでいる様子が分かります。
【カルデラ−3−】山頂とは反対側の低くなっている部分。火口を囲う“壁”が一部崩れています。ここから溶岩が流れ出したのでしょうか。
山頂付近の登山道。樹木で隠れ気味ですが、ところどころ道が痩せています。滑落に要注意。
八丈富士をバックに昼食。
苦労して登った山頂でいただくおにぎりの味は格別です。
山頂から樫立方面を望む。深い緑、碧い海に吸い込まれそう。


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