《能登半島特集〜その3〜》
漆器の町・輪島へ行く。
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輪島に向けて出発。(◆の段落か写真をクリックすると拡大写真が見られます)
穴水から輪島へのルート図。地図をクリックすると拡大します。

 能登半島ツーリングの2日目は、漆器で有名な輪島(わじま)へ行きました。輪島は穴水(あなみず)から見て北側の日本海に面したところにあります。穴水からの距離は約20キロです。この日は、午前中が曇りで、午後から晴れるという、まずまずの天気でした。行きは、01年に廃線になった穴水線(のと鉄道)の跡地沿いに走りました。

 ここで、わたしが泊まった穴水のお宿について紹介します。穴水駅から歩いて5分という近さで、お宿の看板には「民宿旅館」とありました。民宿なのか、旅館なのか、よく分からない名前ですが、民家を増築・改造したつくりになっていていることや、女将(おかみ)さんが、ひとりできりもりしているところを見ると、民宿ではないかと思います。それに、1泊2食付きの宿泊料も約7000円と民宿並みの料金でした。

旅館のような立派な民宿に泊まりました。

 ◆ただ、外観や内装は、小さな旅館といっても差し支えないくらい立派なものでした。門の前には庭があり、玄関も自転車が2台も置けるほど広い。この民宿には、長期出張で来ているサラリーマン風の方々が泊まっていました。青い作業着を着た数人のおじさんたちでした。仕事で穴水に着ているため、宿に帰るのが、どうしても遅くなりがちで、夕食時間が後ろにずれることもあるようです。押すと写真が出ます。

 しかし、民宿は、女将さんひとりで運営しているため、夕食が遅れると、片づけが遅れてたいへんです。このため、このお宿では、夕食を夜7時半までに終わらせる“規則”がありました。お宿に泊まるとき、この規則に関する注意を聞いていたわたしですが、実は、昨日、能登島から帰るのが、遅くなってしまったのです。

 遅れるとき、電話して「済みません。宿に帰るのが7時半になります」と告げたとき、女将さんは「7時半までに食べてもらわないと、他の宿泊者に示しがつかない」と厳しい口調で注意されました。結局、昨晩、帰ったときは、もう夜の7時半過ぎ。大急ぎでごはんを掻き込みました。

穴水駅前で記念撮影。ここでも「駅前空洞化」が進む。

 この苦い経験をうけて、今日の輪島ツーリングは、出撃後、どんなことがあっても、午後6時までにはお宿に帰投しなければなりません! きっと、同じ宿に泊まっている青い作業服のおじさんたちも、同じ時間配分で作戦を立てているに違いありません。

 ◆それに、穴水駅の周辺は、地方都市によく見られる「駅前空洞化」現象の影響のためか、マクドナルドも吉野家、松屋もありません。万が一、お宿の夕食を食べ損ねたら、コンビニ弁当でがまんしなければならないのです。仕事の場合だったら、「お宿の規則のため、残業できません」と言えば済む(?)のですが、わたしの場合は、自分の体力だけを頼りに、帰還しなければならないのです。押すと写真が出ます。

 輪島まで、片道約20キロ。復路は海沿いを走ったのち、林道などを通るため、倍の40キロくらいになると思います。合計の走行距離が60数キロだとして、平均速度10キロで進めば約6時間、休憩時間が2時間として全体で8時間の行程です。

県道1号線沿いの空き地で、朝のストレッチ運動をする。

 この日の、実際の成績は以下の通りでした。計画では約6時間走り、2時間休憩して、約60キロを走りきるというものでした。でも、実際は、約8時間走り、2時間休憩して、約69キロを走るというものでした。平均速度が8.8キロしか出せなかったため、予定より2時間も多く走ることになりました。わたしは、余裕をもって朝8時に穴水のお宿を出発し、帰り着いたのは目標の夕方6時。10時間の活動時間でした。

走行距離 69.25キロ
走行時間 7時間50分
平均速度 8.8キロ
最高速度 53.9キロ

 平均速度8.8キロしか出せなかったのは、わたしの体力がないのが最大の原因なのですが、それを除けば、起伏や蛇行が多かったことが挙げられます。走行距離が予定より長かったのも、このためだと思います。急激な勾配はなかったのですが、それでも、長い登り坂や、下り坂がありました。最高速度53.9キロは、長い下り坂で出した速度です。

輪島線の廃線跡を走る。(◆の段落か写真をクリックすると拡大写真が見られます)
廃線跡に沿って走る県道1号線。向こうの方には廃線跡の上に、建物をつくっているのが見える。押すと写真が出ます。
上の写真とは、逆の方向(輪島方面にレンズを向けて)から廃線跡を撮る。押すと写真が出ます。
廃線跡に足を踏み入れる。草が生い茂り、鉄道の盛り土が“土手”のように見える。押すと写真が出ます。
一部残った線路を発見。この柵の向こうは小さな鉄橋と線路が残っていました。押すと写真が出ます。
廃線後、まだ3年ほどしか経っていないのに、早くも腐食が進む。押すと写真が出ます。
県道1号線からは、他にもいくつかの廃線跡の鉄橋が見える。これらの資産は活用されないまま。押すと写真が出ます。

 穴水から輪島までは、県道1号線を走りました。01年まで、この道路と平行して鉄道が走っていましたが、利用客の低迷で廃線になったそうです。

 ◆この写真は、穴水駅の前で撮った路線図です。写真右側に伸びる鉄道が珠洲へ向かう線路で、上側に伸びる鉄道が、すでに廃線になった輪島へ向かう線路です。地図には、まだ線路が残っていました。押すと写真が出ます。

 ◆今では、鉄道の跡地だけが、ところどころに残っています。鉄道用地だったところは、売却が進み、民家が建ち始めていました。鉄道用地を、ただ売却するのではなく、歩道や公園にするなど、もっと、街づくりに活かせないのかと思いましたが、やはり、採算が合わないのでしょう。この写真は、廃線跡の鉄橋です。押すと写真が出ます。

 穴水から輪島への鉄道はなくなりましたが、穴水から能登半島の先端に位置する珠洲(すず)への鉄道は、まだ残っています。穴水から珠洲までの鉄道(のと鉄道)の営業距離数は約57キロで、これを鉄道で約1時間半かけて走ります。平均速度は時速約38キロです。

 マイカーで、平均速度38キロを維持して、57キロ走るというのは、けっこう辛いものがあると思います。制限速度いっぱいで走っても、田舎道なら、たぶん平均38キロも出ないだろうし、わたしの運転では平均30キロを出すのも至難の業です。

 ちなみに、東海道本線で、東京駅から57キロ走ると、だいたい茅ヶ崎駅まで行きます。普通列車に乗ると、茅ヶ崎までは約1時間で行きます。平均速度は時速約57キロ。速い! さすが東海道本線といった感じですが、平均速度38キロの「穴水−珠洲線」も、けっこういけている方だと思います。

 ただ、本数が、とても少なく、1日に8往復しかありません。鉄道の営業時間を朝6時から24時までの18時間だとすれば、平均で2時間15分に1本…。



輪島の朝市を目指す。(◆の段落か写真をクリックすると拡大写真が見られます)
輪島の街並み。統一感のある街づくりがされていました。

 県道1号線は、意外にマイカーやトラックの交通量が多かった。でも、道幅が多少広めにつくってあったため、自転車が走るスペースはありました。わたしは、左側の路側帯を、輪島に向かって走り続けました。途中、緩やかで長い勾配がありましたが、斜度10%を超えるような急な坂道はありませんでした。輪島は、“朝市”が有名です。午前中に輪島に着けば、朝市に間に合うかも知れません。わたしは、力強くペダルを漕ぎました。

 ◆県道1号線の突き当たりに輪島がありました。左手に「輪島駅」の建物があり、その向こうが輪島の市街地でした。輪島駅という名前だけ残っていていますが、鉄道はありません。駅周辺には、バスターミナルやスーパーマーケット、観光案内施設などがありました。輪島市は人口2万7000人で、東京都神津島村(こうづしまむら=伊豆諸島のひとつ)の人口2万1000人とほぼ同じくらいの規模です。押すと写真が出ます。

輪島の朝市。でも、着いたのが昼前だったので、お店もまばら(涙)。

 ◆輪島の市街地は、とてもよく整備されていました。街並みの色調や、建物の大きさなどに統一感があり、落ち着いた雰囲気をつりくだしています。色調は、黒や焦げ茶色系が中心で、建物は木造2階建てが中心です。灰色のコンクリート製マンションや雑居ビル類の建設は、制限されているようでした。押すと写真が出ます。

 朝8時に穴水を出て、輪島に着いたのは、結局、昼前の11時半。多少、起伏があったとはいえ、約20キロの道のりを3時間あまりも費やしてしまいました。平均時速は5.7キロ。われながら、恐るべき遅さです。後半、がんばらなければ、とても、夕方6時までに、お宿へ戻れません。

強い風が吹き付ける日本海。冬になれば、海の波が強風で泡状になって舞い上がり、能登半島に吹き付ける「波の花」という現象が見られるそうです。

 また、朝市で有名な輪島ですが、わたしが着いたのが昼前と遅かったためか、市街地の人影はまばらでした。市街地を通り抜け、日本海からすぐのところで朝市が立っているのですが、そこでも、人は、それほど多くありませんでした。この日は休日で、本来ならば、観光客で賑わっているはずなのですが、やはり、朝市は、朝に賑わうことが、改めて分かりました。

 わたしは、朝市の屋台の片づけをしている店主さんにお願いして、輪島特産の乾燥海苔を2袋買いました。店主のおばさんは、片づけた袋のなかから、ふたたび商品の乾燥海苔を取り出して、わたしに手渡してくれました。営業時間外に来たわたしに、とても丁寧に対応してくれたうえに、定価より、すこし割り引いてくれました。ありがとうございます。乾燥海苔2袋で800円くらいでした。乾燥海苔なら、少し、かさばるけれど、重くないので、自転車でもあまり負担になりません。


日本海に沿って走る。(◆の段落か写真をクリックすると拡大写真が見られます)
日本海沿いに走る県道38号線。強風で飛散した潮水を浴びる。自転車が“錆び”の危機にさらされる。押すと写真が出ます。
ここは、午前中、走った県道1号線に比べて、マイカーやトラックの交通量がとても少ない。押すと写真が出ます。
海岸線特有の勾配が続きます。でも、舗装状態はよく、強風であることを除いて、快適に走れました。押すと写真が出ます。

 ◆わたしは、輪島から、日本海に沿って走る県道38号線を走ることにしました。来た道(県道1号線)を折り返して走るのも芸がないので、少し、おおまわりですが、海沿いの県道と林道を組み合わせて、穴水に帰るルートを選びました。走行ルートの地図は、こちらをご覧ください。押すと写真が出ます。

 左の3枚の写真は、海沿いの県道を走っているところです。海からの風がきつくて、なかなか思うように進めません。

 ◆荒々しい日本海の写真は、こちら。押すと写真が出ます。

 ◆日本海に面した道に出たとたん、急に風が強くなりました。日本海側から強烈な風が吹き付けています。夏のあいだの穏やかな日本海とは違い、秋冬の日本海は、大荒れになることが多いようです。わたしは、強風で体温を奪われるのを防ぐため、鞄から上着を取り出して着ることにしました。押すと写真が出ます。

 ◆この写真は、輪島の海に面したバス停で撮りました。輪島は漆器が有名なため、バス停の看板も茶碗の形をしていました。押すと写真が出ます。



ぐいぐい坂を登る。(◆の段落か写真をクリックすると拡大写真が見られます)
日本海を背にして、坂道をぐいぐい登るわたし。追い風だったらよかったのだけど、逆風でした。押すと写真が出ます。
この峠を越えたら、海沿いの道は終わり、山手の林道に入ります。押すと写真が出ます。
ここで、へこたれると、また平均速度が落ちてしまい、お宿の規則(6時までに戻る)を守れない。押すと写真が出ます。

 ◆←左の写真は、急な坂道を登っているときに撮りました。アップダウンが続いているため、体温が上がり、暑くなったので、さっき着たジャンバーは、脱いでしまいました。押すと写真が出ます。

 ◆県道38号線は、海風が強く、海岸線特有のアップダウンが激しい道ですが、マイカーやトラックがほとんど通行しないことを考えれば、自転車にとって楽園のような道でした。押すと写真が出ます。

 ◆この写真は、きょうの輪島ツーリングで、初めてライダーに会ったときのものです。自転車に荷物をたくさん取り付けて、何日も旅をしているようでした。押すと写真が出ます。

 ◆県道38号線の峠の上から日本海を眺めました。日本海は意外に大きい。押すと写真が出ます。

 ◆切り立った断崖絶壁の真下を走る。落石があったら怖い状況です。まわりに人影は、ほとんど見られません。押すと写真が出ます。



県道38号線は、ここから日本海を背にして、山の方向へと向かう。

 ◆県道38号線は、日本海沿いに、輪島から10数キロほど西へ進んだ地点で、山の方向へ折れます。切り立った崖が続くため、おそらく、これより先に、道をつくれなかったのだと思います。この地点での時間は、午後2時。ここから穴水までの距離は約20数キロありますから、順調にいけば、時間までに穴水に戻れそうです。わたしは、先を急ぐことにしました。押すと写真が出ます。

 ◆荒々しい日本海をあとに、わたしは、ぐんぐん山を登り始めました。県道38号線は、峠付近で国道249号線に合流します。そこまで登れば、あとは穴水まで、基本的には下り坂です。峠を越えると、西に傾いた太陽が、山のうしろに隠れてしまうことも考えられます。このため、できるだけ、太陽の傾きが浅いうちに、峠を越える必要がありそうです。押すと写真が出ます。

午前中は曇っていた空も、午後から青空が見え始めました。

 予想どおり、国道249号線をこえて、県道7号線に入った時点で、おおよそ下り坂になりました。この県道7号線は、きょう午前中に通った県道1号線に通じる道です。県道1号線の、かなり穴水寄りに通じているため、県道7号線を走り終えたら、穴水は、もう目の前です。午後4時をすぎて、太陽が山の向こうに沈んでしまいました。秋冬の日照時間が短かさが身にしみます。陽が沈むと急に寒くなってきました。

 能登半島全体で見ると、高い山がほとんどないため、複数の県道が、網の目のようにつくられています。高い山が多い半島であったならば、これほどまでに多くの県道がつくられることもなかったと思います。このため、幹線道路さえ、うまく避ければ、半島全体、自転車にとって、とても走りやすい地形になっていると思います。

 ◆穴水に戻ってきたのは午後5時過ぎでした。きょうは、お宿の規則どおり、無事、午後6時までには帰れそうです。なにごとも、計画通りにいくと、気持ちが良いですね。この写真は、穴水の新興市街地付近で営業しているホームセンターの「コメリ」の前で撮ったものです。あたりは、もう真っ暗です。早く、お宿に帰って、暖かい夕食をいただこっと!押すと写真が出ます。


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