| 本厚木駅から峠を目指す。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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2004年夏、神奈川県厚木市から法論堂(おろんど)林道へ登りました。「おろんど」は、その昔、野山に寝泊まりする仏教徒の「山伏」(やまぶし)が、この場所で仏教の教え=法を論じ合ったことから「法論堂」という名前が付いたそうです。
わたしは、小田急線・本厚木駅を朝8時に出発して、法論堂を目指しました。本厚木駅付近は新興住宅地や事業所が建ち並び、クルマの交通量が多いため、わたしはメジャーな県道ではなく、あまりメジャーでない道を通って、まずは厚木市の郊外にある飯山温泉まで行くことにしました。 飯山温泉には、老舗の高級旅館が数多くあり、芸者さんが歌や踊り、三味線を演奏してくれるサービスもあるそうです。本厚木駅から飯山温泉までは約7キロメートル弱の道のりで、飯山温泉の近くはクルマが1台通るのがやっとの狭い道になります。飯山温泉の前には、高級乗用車が何台も乗り付けてありました。 しかし、ここから法論堂林道の入口までの約7キロメートル弱の道は、メジャーな県道を通るしか方法はありません。飯山温泉から県道60号線(厚木清川線)と県道64号線(伊勢崎津久井線)を乗り継いで法論堂入口まで行きました。途中、神奈川県・清川村の村役場が進行方向左手にあり、この役場をすぎて1キロメートルもないところに法論堂林道の入口があります。
飯山温泉を過ぎたあたりから徐々に登り坂が続くようになり、法論堂林道の入口は標高約150メートルになりました。法論堂林道の峠は標高500メートル弱ありますので、ここからさらに約350メートル登ることになります。 法論堂林道の峠は、「半原越」(はんばらごえ)と呼ばれています。昭和初期(戦前)、法論堂林道の入口近くの煤ヶ谷(すすがや)地区一帯は養蚕(ようさん)が盛んだったそうです。煤ヶ谷で生産した繭を背負って隣町の愛川町の半原(はんばら)まで運んだことから、この峠を「半原越」と呼ぶようになったそうです。愛川町には、恐らく繭を絹糸に加工する生産設備があったのだと思われます。 |
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| 宮ヶ瀬湖に向かう。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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半原越から愛川町方面に下る途中に湧き出ている水は、過去にテレビ番組で紹介された“名水”とのことです。水が汲みやすいよう樋(とい)のような水の道がつくってありました。近くには、なぜか「飲めません」と書いた看板が地元自治体の名前で掛けてありました。“名水”なのに“飲めない”なんて、ちょっと矛盾しているのですが、クルマで水を汲みに来た人たちは、あまり気にしていない様子でした。 ◆法論堂の虫の声を録音しました。この段落をクリックする再生します。(録音時間31秒、ファイル容量248KB、MP3形式)
自転車で半原越をしたあと、まだ時間が早かったので、わたしは宮ヶ瀬湖まで足を伸ばすことにしました。県道514号線を宮ヶ瀬湖方面に自転車を走らせたのですが、この道が意外に難儀でした。この道は、トンネルが4−5つほど連なっていて、クルマの交通量がとても多いのです。 トンネルのなかは狭く、とても車道を走れるような状態ではありませんでした。辛うじて進行方向右側に細い歩道がつくってあったため、わたしは、やむを得ず、この歩道を通ることにしました。 トンネルとトンネルの合間から宮ヶ瀬湖の巨大な堤防が見えました。この道は、宮ヶ瀬湖を建設するときにつくった工事用の道路を、そのまま一般道として使っているのだと思われます。そうでなければ、巨費を投じて、いくつものトンネルを建設する意味がないからです。宮ヶ瀬湖には、他にも県道64号線、県道70号線などの道路が通じていますが、これほどトンネルが多いのは、ここ県道514号線だけです。 |
| 宮ヶ瀬湖を半周する。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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宮ヶ瀬湖は、2000年12月に完成した比較的新しいダムです。都心部から近いこともあり、バリヤフリーなど最新のデザインを採り入れた公園が複数整備されています。最も規模が大きい「水の郷」の公園に立ち寄りました。この公園は、自転車での通行が禁止されているため、わたしは押して歩きました。園内は大きくて、園内移動のためのバスが走っているほどです。
公園の近くには、飲食店や土産物店などの商店街があり、たくさんの観光客で賑わっていました。わたしは、ここでソフトクリームをいただいたあと、クルマや人通りの少ない宮ヶ瀬湖西側の周回道路を走ることにしました。周回道路は平坦な舗装路なので、自転車で快適に走ることができます。 途中、鉄橋がひとつありました。遠くから見ると“赤い鉄橋”に見えるのですが、近づいてよく見ると“赤錆び(あかさび)”によって赤く見えていたことが分かりました。あまりに錆びがひどくて、本来は何色であったのか判別ができませんでした。せっかく税金を投入して建設した橋なので、塗装くらいしてあげないと、いずれ朽ちて湖へ落ちてしまうのではないかと気になりました。
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| 津久井湖の抜け道。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
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津久井湖まで下ってくると、クルマの交通量が増えてきました。津久井湖の南側を走る国道413号線は、甲州街道(国道20号線)と環状線の国道16号線を結ぶ幹線道路であるため慢性的に渋滞しています。わたしは、渋滞する国道413号線を避けて、津久井湖の北側を走る県道513号線を走ることにしました。
津久井湖の北側は山沿いの細い道で、通常、こうした道は、クルマの通りが少ないケースが多いのです。ところが、この津久井湖北側の県道は、渋滞する国道413号線の抜け道になっていて、ものすごい速度で暴走するクルマでいっぱいでした。国道に比べて大回りすることになるため、その分、速度を上げないと時間を短縮できません。こうした心理が働いてか、どのクルマも先を急いでいるように見えました。 わたしのすぐ脇を猛スピードを通り過ぎていくクルマに怯えながら走るんだったら「渋滞する国道をゆっくり走っていた方がいくらかマシだった」と思いつつ、この抜け道を通って京王線・橋本駅まで走りました。 法論堂林道は、すでに繭を背負う人もいないため、ひっそりと静かな道でした。一方で宮ヶ瀬湖は観光客で賑わい、津久井湖周辺の道路は国道やその抜け道になっているためクルマの交通量がとても多く感じました。ともに美しい湖ですが、とくに観光シーズンに自転車で走るには注意が必要です。 |