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標高1064メートル篠山を経て四万十川へ〜第2編〜
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四国足摺宇和海国立公園・自転車の旅。【全5編】
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第1日目は、篠山に登る。(◆の段落をクリックすると写真が見られます)
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第1日目の走行ルート
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第1日目は、降水確率0%の晴天に恵まれました。そこで、思い切って標高1000メートルの篠山(ささやま)に向かいました。篠山は、宿毛市がある高知県ではなく、お隣の愛媛県にある山です。篠山に登ってからは、篠山のさらに奥にある大峠(おおとうげ)標高約800メートルへ登るために、山に向こう側へ降りました。
◆右側の地図をクリックすると拡大して見られます→
大峠に登ったあとは、黒尊(くろそん)渓谷まで下り、そこから有名な四万十川(しまんとがわ)を目指して走りました。1日の走行距離は約120キロメートルでした。右側の地図で、自転車で走った道順の概要を示してみました。
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たくさんの鯉のぼり
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◆宿毛に着いた翌日は、朝4時に起きました。日の出前に国道56号線を宇和島方面に走り、篠山の入り口まで来ました。「足摺宇和海国立公園」の大きな看板の前で小休止しました。このときの気温は約15度。ひんやり涼しい朝の冷気が、山の方から谷を沿って降りてきています。
◆しばらく坂道を登ると、小さな小学校がありました。訪ねたのが5月ということもあり、この小学校では校庭から裏山まで、長いロープを2本張り、ここにたくさんの“鯉のぼり”が吊してありました。赤や青の鯉のぼりが、早朝の冷たく湿った風に揺れていました。大小あわせて100匹くらいあったでしょうか。これだけまとまった数の鯉のぼりを見たのは、これが初めてです。児童の人数分ありそうな感じです。
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篠山の上から渓谷を望む
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◆1000メートル級の山は、登り甲斐があります。幸い、篠山までは、すべて舗装してあり、自転車でも難なく登ることができました。篠山の頂上に着いたのは朝10時ちょっと前でした。麓の鯉のぼりを見たのが6時すぎ頃ですから、4時間近くかかったことになります。体力のある人だったら2時間くらいで登ってしまうのではないでしょうか。
◆篠山の頂上付近には、休憩場と駐車場がつくってありました。朝、早かったせいか、篠山まで登ってくる途中の車の数は、とても少なかった。ここの休憩場でも人影はまばらでした。ここからの眺めは、山深い四国を象徴するような、深い谷間を望むことができます。
◆篠山の頂上付近からは、一本の瀧(たき)が流れ落ちていました。わたしのカメラの広角レンズでは、小さくしか写っていませんが、実際は大きな瀧です。写真の中央付近に写っている白い部分が瀧です。
◆少し休憩してから、篠山トンネルを抜けて、山の反対側に抜けました。次の目的地である大峠に行くためです。篠山トンネルを抜けたあとの急な坂道を下っていると、左側に涼しい冷気を放つ瀧がありました。篠山の頂上からこぼれ落ちる瀧に比べたら、小さいものですが、それでも水量は十分多くて、山の深さを感じました。
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大峠を登る。(◆の段落をクリックすると写真が見られます)
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美しい瀧
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◆大きな瀧の近くには、シダ植物が茂っています。よく、空気清浄機の宣伝で「森林や瀧の近くと同じマイナスイオンが発生します」とか謳っています。わたしの部屋にも、一台、空気清浄機があります。加湿器もあります。この部屋で、これまで何度かシダ植物の栽培に挑戦しましたが、失敗しました。因果関係は分かりませんが、この自然の瀧の清涼な空気と、わたしの部屋の空気清浄機と加湿器がつくりだす空気とは、何かが違うようです。この写真は、瀧の近くで繁茂しているシダ植物の写真です。
◆この瀧をあとにして、坂道を下りました。下りきったところには、宿毛市内に流れ込む松田川の上流部分に出ます。松田川を越えると目の前には、音無山(おとなしやま、標高850メートル)や譲が葉森(ゆずるがはもり、同1015メートル)が立ちふさがります。松田川は、これらの山や、篠山など数多くの山々から流れ出る清流が合わさって、宿毛湾へと注ぎます。わたしは、譲が葉森(ゆずるがはもり)方面に向かって大峠林道を登り始めました。この写真は、大峠林道の入り口付近の写真です。両側から木々が生い茂り、緑のトンネル状になった美しい林道です。
あまりに多くの木々に覆われているため、この大峠林道の入り口が、なかなか分かりませんでした。松田川上流域の、それほど広くない平地に田畑をつくり、農作業をしていらっしゃったおじさんに「大峠」までの道を聞きました。
◆おじさんは、最初、「なんでこんな山奥に自転車で来ているのか?」という不思議そうな顔を見せましたが、すぐに「あぁ、大峠に行きたいんじゃな。ほら、そこの細い道じゃよ。大峠を越えると四万十川に出るからね」と親切に教えてくれました。この写真は、おじさんにお礼を告げてから、大峠林道を登り始めたところで撮ったものです。わたしは、てっきり舗装していないのかと思っていましたが、大峠の頂上まで、ちゃんと舗装してありました。
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見晴らしの良い山の中腹にて
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◆しばらく上り坂を走ると、急に視界が広がりました。山の中腹部分に当たると思いますが、ここでは木材として使えるまで大きく育った杉を伐採していました。木々に覆われて自転車を漕いでいるときは、涼しい空気に包まれていましたが、この開かれた空間に出たとたんに、乾燥して熱い空気にさらされました。
◆深い森のなかでは、いくら道路が舗装してあっても、苔が生えていたり、岩清水が流れ出ていたりしていて、全体的に湿っています。このため、道路にべちゃっと座り込んで、お菓子を食べるということが、なかなかしづらい。その点、この杉の伐採で開けた場所なら、乾燥していて、見通しもいいですし、多少なら道路に座って、お菓子を食べやすい雰囲気にあります。そこで、車が来ないのを確認してから、ラムネを食べました。
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素掘りの大峠トンネル。(◆の段落をクリックすると写真が見られます)
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素堀りの大峠トンネル
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◆1時間くらい自転車を漕いだでしょうか。舗装はしてありましたが、ずっと坂道ばかりで、息が切れてきたときでした。目の前に巨大な穴が現れました。山をそのまま“くり抜いた”ような大峠トンネルです。この写真は、譲が葉森川から撮った大峠トンネルの写真です。
通常、トンネルの内側はコンクリートで固めてあり、多少なりとも照明がついているものです。しかし、この大峠トンネルの内側は、山の岩肌が露出した、いわゆる“素堀り”のトンネルでした。山の内側は、岩がびっしりと詰まっていることが、よく分かります。山の内側は、決して草木が生えない暗黒の世界なのです。
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岩清水の雨が降る
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トンネルのなかは、雨のように岩清水が滴り落ちていました。まるで大雨の日に、壊れた雨樋(あまどい)から雨水が吹き溢れるような印象を受けました。この大峠トンネルまで、ずっと上り坂だったため、わたしは暑くて上着を脱いでいました。
◆でも、トンネルのなかは、岩清水の雨が降っているようなので、リュックにしまった上着を、再び取り出して着ました。実は、この服の素材は、防水性が高いゴアテックスでできていて、ささやかなわたしの宝物なんです。高かったし。(笑)
自慢のゴアテックス素材の防水服を着て、トンネルに入りました。ジャアジャアと、岩清水が落ちてくる音が耳に響きました。トンネル内は、ぐっと温度が下がり、ひんやりと涼気が漂っていました。奥へ進めば進むほど、暗くなり、「パタパタ」という羽の音が聞こえてきました。
コウモリです。一匹、二匹… 上を見ると、暗い天井が、コウモリの黒色で、真っ黒に見えるほどたくさんのコウモリが、ぶら下がっていました。残念ながら、トンネル内は、岩清水のたくさん降っていたのと、ほぼ暗闇に近く、コウモリはさらに黒いため、写真に収めることはできませんでした。それに、恐かった(笑)。一方、コウモリの方は、たぶんわたしの悲鳴が恐かったでしょう。ごめんない、コウモリさん。
◆トンネル内にいるときは、とても長いトンネルに思えましたが、実際は、30メートルくらいの短いトンネルでした。ただ、岩清水の雨と、コウモリの数の多さには参りました。でも、普通のトンネルみたいに、内側をコンクリートで固めてしまうと、コウモリが住めなくなってします。ここ大峠トンネルは、コウモリにとって寝床になり得る、貴重な素堀りのトンネルなんですね。写真は、大峠トンネルを出てきて、びたびたに濡れた眼鏡を拭いているところです。
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トンネルを抜けて黒尊渓谷へ。(◆の段落をクリックすると写真が見られます)
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黒尊(くろそん)渓谷
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岩清水の雨が降る大峠トンネルを抜けたあとは、砂利道でした。わたしの自転車の幅が23ミリしかない細いタイヤ(700×23C)なので、とても砂利道は走れません。仕方がないので押して歩きました。苦労して登ってきたのに、降りるときは押して歩くとは、残念な気持ちもしましたが、ここでパンクしては元も子もありませんし、たまに歩くのも、なかなか気持ちがいいものです。
1時間ほど、下り坂を歩くと、黒尊(くろそん)渓谷に着きました。わたし、最初、“黒尊”という字を見て、てっきり“黒樽(くろだる)”と見間違えてしまいました。喉も渇いていたし、どことなくビールの商品名と似た漢字なので、ついつい冷たいビールを飲む心地よさを連想してしまいました。(笑)
◆黒尊渓谷には、木材でつくった動物たちが並んでいました。地元の方々が、つくったのでしょうか。夏にキャンプに来る子供たちは、この木工動物をみて、さぞかし喜ぶでしょう。嬉しかったことは、永く記憶に残るものなので、ここに来た子供たちは、ずっと黒尊渓谷の思い出を大切にすることでしょうね。わたしのような、おばさんは、不純ながらビールを思い起こしましたが…。(涙)
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蛇に食われる蛙
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黒尊渓谷で、少し休んでいたら、道の脇で、コソコソと動く音がしました。身の回りで動く“なにか”を探していたら、バサッと音がして、蛇が道の脇から転がり落ちてきました。
道の脇は、山の斜面になっていて、恐らく、蛇は斜面の上の方から蛙を狙っていたのでしょう。ゆっくりと近づいて、蛙を頭から、ガブリと食らいついたまではよかったのですが、その弾みで、わたしのいる道路のほうまで、転がり落ちてしまっただと思います。
◆蛇も相当慌てている様子でしたが、加えた蛙は決して放さず、わたしの自転車のタイヤのスポークの隙間を擦り抜けて、再び山の斜面に登っていきました。写真は、わたしの自転車を擦り抜けるところです。
◆蛇にくわえられた蛙は、必死でもがいています。頭を噛みつかれて、息ができずに苦しいのでしょう。両手で蛇の目のところを押さえて、両足をバタバタとさせています。蛇は両目を塞がれた状態でも、決して蛙を放そうとしません。そのときの哀れな蛙の写真です。
今、わたしは、このときの写真を、職場で使うパソコンのデスクトップに貼り付けています。自然界の弱肉強食の論理を、そのまま人間社会に当てはめるのは、少々暴力的すぎます。でも、商売(ビジネス)の現場では、まさに弱肉強食です。わたしはお茶くみOLなので、よく分かりませんが、営業の男の人たちは、そりゃ、もう、少ない受注(獲物)を、ライバル他社と奪い合っているようです。
◆わたしも、仕事をさぼっていると、この蛙のように、パクリと殺られてしまうという戒めを込めて、デスクトップに貼っています。みなさんも、どうですか?
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美しい黒尊川
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◆わたしは、黒尊渓谷から、黒尊川沿いに山を下りました。黒尊渓谷からは、道路も舗装されており、とても走りやすかった。強い蛇と、哀れな蛙には、驚きましたが、こればっかりは自然の法則ですから、どうしようもありません。残酷のように思いましたが、すぐ横を流れる澄み切った黒尊川の清流を見ると、残酷さと背中合わせの美しい自然を、総体として感じることができました。黒尊川の上流の方角を望んだ写真です。
◆黒尊渓谷から四万十川までは、ほぼ下り坂で、のんびりと自転車を進めました。時間は午後2時過ぎ。順調に進んでいます。距離計を見ると、宿毛からすでに60キロほど走ったところです。この黒尊川は、四万十川に注いでいます。黒尊川の下流の方角を望んだ写真です。この先に四万十川があるのです。
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四万十川に到着。(◆の段落をクリックすると写真が見られます)
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黒尊川と四万十川の合流地点
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◆黒尊渓谷から流れ出る黒尊川を1時間ほど下ると、四万十川に合流します。右側の写真が黒尊川と四万十川が合流する地点です。ちょうどそこに、四万十川の名物のひとつになっている“沈下橋”(ちんかばし)がかかっていました。沈下橋とは、大雨で川の水位が上昇したときに、川のなかに“沈下”してしまうので沈下橋と呼ばれているとのことです。この写真は、黒尊川と四万十川の合流地点を写したものです。
◆橋の両側にある欄干(らんかん)がないのが特徴です。欄干とは人や車が川に落ちないようにする防護柵ですが、これがあると川のなかに沈下したとき、欄干が水の流れをさまたげ、この水圧で橋全体が川に流されてしまうそうです。沈下橋では、この欄干を取り除くことで、水没したときでも、橋が流されずに済む仕組みになっているそうです。この写真は、沈下橋で撮ったものです。欄干がないのがよく分かります。
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四万十川を望む
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◆四万十川は、全国で有数の清流だと言われています。わたしも、四万十川の川の水は、澄んで美しいと感じました。しかし、清流ならば、篠山や黒尊渓谷にも流れていました。四万十川の素晴らしさは、水が澄んでいるだけでなく、水量がものすごく多いことです。地元の人に聞くと、あまりに水量が多くて、年に必ずといっていいほど川に落ちて亡くなる方がいらっしゃるとのこと。それくらい川に勢いがあるのです。澄んだ水が滔々と流れる四万十川の写真です。
◆四万十川の豊かさは、四国の山々の豊かさを表しています。四万十川流域の山々でも、杉の植林の比率は、決して低くありません。杉は、広葉樹などに比べて貯水能力が低いとされていますが、それでも、これだけの水量を確保できているということは、それだけ山深いということだと思います。ここでは、釣り客やカヌーで遊ぶ方々が、たくさん来られていました。夏になれぱ、もっとたくさんの人が集まり、美しい四万十川を満喫することでしょう。
◆四万十川に着いたときは、もう午後の3時過ぎ。四万十川では、もう休憩する時間は残っていないのですが、篠山や大峠などの山や峠を越してきたので、さすがに疲れました。四万十川を望める神社の階段のところで、少し休ませていただきました。
◆このあと、わたしは、四万十川を下り、県道50号線で有岡に出ました。有岡とは、宿毛から土佐くろしお鉄道で3つ目の駅がある場所です。宿毛から直線距離で約10キロの場所です。有岡に着いたのが5時近くになっていました。走行距離は100キロを超えていました。急にペダルを漕ぐ足に力が入らなくなり、有岡から宿毛までのわずか10キロちょっとを走るのに1時間以上かかりました。お宿に戻ったのは6時過ぎ。もう暗くなりかかっていました。大急ぎでお風呂に入り、夕食をいただきました。写真は、夕食を食べているところです。(笑)
第3編、「宿毛南部に位置する大月町の美しい漁村巡りを楽しむ」へ続く。ここをクリックすると、第3編にリンクします。