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三原村の美しい山村を抜けて四万十川へ〜第5編〜
四国足摺宇和海国立公園・自転車の旅。【全5編】

いよいよ最終日!(◆の段落と写真をクリックすると写真が見られます)
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 とうとう最終日の5日目になってしまいました。4日目は雨が降ったため、自転車には乗れませんでした。5日目は、朝から快晴に恵まれましたので、宿毛の東方面(中村市)に向かいました。

 これまで宿毛の北側(篠山、ささやま)、南側(柏島、かしわじま)、西側(西海、にしうみ)へと走りました。今日の東側を制覇すれば、おおざっぱに宿毛の東西南北、すべての方面に走ったことになります。

 5日目は最終日に当たるため、これまでお世話になったお宿のお勘定をしなければなりません。前日の夜に、お勘定を済ませ、5日分の荷物を、すべて近所のコンビニから宅急便で東京の自宅へ送りました。5日目は、朝4時に起きて、身軽な装備でお宿を出ました。行き先は、四万十川の下流に位置する中村市です。

峠道を走る

 ◆宿毛市と中村市とのあいだには、国道56号線という幹線道路が通っています。しかし、車の交通量が多い国道をまっすぐ走るのは、おもしろくありませんし、危険です。そこで、山のなかを走る県道46号線と県道346号線を乗り継いで、中村市まで行くことにしました。写真は山の峠から宿毛市を望んだ写真です。今回、宿毛市を見るのはこれが最後となりました。押すと写真が出ます。

 国道56号線で宿毛市から中村市まで走れば、せいぜい30キロ程度の走行距離だと思いますが、山の中の県道を走ると走行距離は、およそ60キロにもなります。柏島(かしわじま)や西海(にしうみ)を走ったときは、たくさんの美しい漁村を見ることができましが、山の中の県道沿いには、海とはまた違う美しさの山村を見ることができました。


宿毛から三原村へ(◆の段落と写真をクリックすると写真が見られます)
伊予野川上流でお昼ごはん

 宿毛市から三原村(みはらむら、高知県幡多郡)を経て、中村市へ向かう途中の県道や林道では、何度か迷いかけました。このあたりの山々は1000メートル以下の比較的低い山が中心であるために、県道や林道がよく発達しています。このため、いわゆる「田舎の一本道」ではなく、複数の道が複雑に交差し、分かれ道が何か所もありました。わたしは、その度に迷いそうになりました。

 ◆三原村周辺の山々には、比較的低い山々を切り開いた田園があちこちに点在し、県道も拡幅工事を経て2車線になっている箇所もありました。このため、林道を走っているとき、常に人里を身近に感じられる箇所が多く、この点では、安心して走ることができました。押すと写真が出ます。


切り通しの道

 ◆人里を象徴するように、伊予野川上流で、地元の集会所広場をみつけて、休憩させていただきました。ついでに、ちょっと時間は早いのですが、お弁当をたべました。押すと写真が出ます。

 道に迷いかけたときは、近くで農作業をしている方々に、2回ほど、現在位置などを尋ねさせていただきました。みなさんお忙しいにもかかわらず、わたしの問いかけに快く答えてくださり、ほんとうにありがとうございます。親切なご対応ですっかり恐縮してしまいました。

 今回、道を尋ねる過程で、ひとつ発見がありました。わたしと地元の方々との地理的概念の“捉え方”が、ちょっと違うような気がするのです。この違いを、うまく把握しないと、せっかく地元の方に道を教えていただいても、いまいち意思の疎通ができず、結局、分からずじまいになってしまうように思いました。

 つまり、わたしが地図を見て、自転車で走るべきコースを決めるとき、たとえば「県道○○号線」 とか、「田中山本林道」(田中から山本に通ずる林道)など、道の名前でおおよその地理を頭に入れます。ところが、地元の人は、往々にして、こうした方法の地理的把握ではないことが、今回、分かりました。


道を尋ねる(◆の段落と写真をクリックすると写真が見られます)

一面に広がる5月の田園

 わたしが、一回目に道を尋ねたのは、宿毛市から林道を走り、そこから県道46号線に入る道が分からなくなったときでした。畑で農作業をしていらっしゃった小柄なおばさんに、「すみません! 県道46号線へ抜けるには、この道(林道)をまっすぐ行けばいいのですか?」と聞きました。

 すると、おばさんは困ったような顔をしてしまいました。わたしは、自転車を横に停めて、手に持っていた地図を見ていただきました。おばさんは、「伊予野(いよの)に行きたいのか、柚ノ木(ゆのき)に行きたいのか、どっちですか?」と聞き返してくれました。


4頭の狛犬がいる鎮守様

 わたしの記憶のなかに、県道の番号以外に、運良く、この「伊予野」や「柚ノ木」という地名があったため、わたしは「柚ノ木に行きたいのです」と答えることができました。伊予野とは、海に面した(西側)の村落で、柚ノ木は、山にある村落の名前です。中村市の方向に行くには、柚ノ木を通る必要があります。

 2回目に道を聞いたときも同じでした。狼内(おおかみうち)から中村市に至る県道346号線は、どこから入るのかと聞いてみると、やはり「どこの村落へ行きたいのか?」という主旨の返事が返ってきました。

 この背景を、よく考えてみると、当たり前のことで、これら県道や林道は、地元の方々が、近隣の村落へ移動するために建設された重要な生活道路です。地元の人々にとっては、たとえば、隣の山田村や山本村に通ずる道であり、それが県道何号線かどうかなど、大して重要ではないのだと思います。

 これらのことを考えると、地元の人に道を聞くときは、最初から「柚ノ木へ行きたいんですけれど、どう行ったらいいのでしょうか?」とした方が、相手に分かってもらいやすく、答えやすい問い方だと思います。道を教えてもらったあとに、自分の頭のなかで、「あぁ、これは県道○○号線のことだな」とか、「○○林道のことだな」と置き換えればいい。

 冒頭の地図をご参照いただければ、おおよそ分かっていただけるのだと思うのですが、今回の宿毛市から中村市までを、主に県道を使って走る場合、宿毛→下切→三原村→狼内→中村と、途中の村落を通りますから、これらの地名と、読み方をあらかじめ頭に入れておくと便利です。


中村駅は時間厳守(◆の段落と写真をクリックすると写真が見られます)

ジャージー牛とわたし

 この日は、中村駅から特急南風24号(16時34分発)に乗って、高知駅まで行き、そこから夜行バスで東京・新宿に帰る予定です。この時間までに、中村駅に着かないと、たいへんです。平日でしたら、そのまま岡山まで南風24号で行き、そこから新幹線で帰る方法もありますが、あいにく5月の連休で、どこの交通機関も予約でいっぱいです。

 夜行バスも通常は高知→新宿間で、高速バス1〜2台で運行しているところ、この連休に限って計4台に増便しているにもかかわらず、すべて予約でいっぱいだそうです。2台目までは座席が横3列の高速バス(長距離仕様のバス)なのですが、臨時に増やした3台目以降は、座席が横4列の通常の観光バスということです。


県道346号線の入り口

 バス会社に電話で聞いたところ、3台目以降のバスには、「自転車は載せられない」と、輪行を断られてしまいました。このため、どうしても2台目までに乗らなければなりません。幸い、2号車の予約券は事前に取ってあるので、予定通りに高知駅に着ければ、ちゃんと東京へ帰れます。しかし、もし中村駅からの南風24号に乗り遅れると、高知駅で立ち往生してしまいます。

 なぜ、3台目以降の観光バスに自転車を載せられないかといえば、乗客と荷物の関係にあるそうです。座席が横4列ある観光バスは約50人分の座席があるのに対し、横3列の高速バスは約35人分の座席数しかないそうです。ところが、バスの下のところにある荷物入れの容積は、観光バスも高速バスも、ほぼ同じであるため、人数が多い分、荷物も多くなり、「自転車を載せる余裕がなくなる」というのが理由だそうです。


県道346号線を走る

 そうこうしているうちに、地元の方に教えていただいた県道46号線の狼内(おおかみうち)の近くまで来たので、ちょっと休憩しました。あたりには、小さな牧場があり、その近くには村の鎮守様がありました。さらに周囲には田植えをしたばかりの田園が遠くまで広がっています。牧場には、高級種のジャージー牛が草を食(は)んでいて、鎮守様の入り口には狛犬が4頭もいました。

 ◆県道46号線から県道346号線に入り、標高300メートルほどの峠をひとつ越えた向こうが中村駅です。時刻は午後13時過ぎ。時間には余裕があります。県道46号線は、比較的よく開けた山村を通る道ですが、県道346号線は、まったくの林道です。道は、杉林の奥へと続いています。ひんやり涼しい杉林の峠を、自転車で2時間くらいほど進んで、中村市に着きました。押すと写真が出ます。


中村市に到着(◆の段落と写真をクリックすると写真が見られます)

中村市付近の清らかな小川

 ◆中村市は、人口約3万5000人と、宿毛市より約1万人も多い大きな町です。でも、その近くを流れる小川は、とても澄んできれいでした。押すと写真が出ます。

 ◆また、中村市は、四万十川(しまんとかわ)が流れ込む町としても有名です。日本一の清流と呼ばれる四万十川も、中村市まで来ると、さすがに普通の川という印象ですが、それでも、東京の多摩川や荒川に比べれば、比較にならないくらい透明で、水量も多いのに驚きます。中村市にかかる橋の上から、四万十川を望みました。右手が中村市街で、左手が宿毛方面です。押すと写真が出ます。


さすがに大きい四万十川

 ◆中村市内にあったベスト電器。宿毛駅前の一等地にも、同様の大きな店舗がありましたし、このあたりはベスト電器が力をいれて市場を開拓しているようです。ここで、カメラの電池を購入させていだきました。店員さんはとっても親切で丁寧。押すと写真が出ます。

 ◆まだ時間に余裕があったので、四万十川の河川敷をちょっとだけ自転車で走りました。四万十川の最下流部に位置する、おそらく四万十川流域で最大の都市ですが、その河川敷は、まだ整備中のところが多いという印象を受けました。堤防の上は、車やダンプカーが爆音を立てて、とぎれもなく走っているのですが、歩道がありません。とても「のんびり四万十川を散歩する」という雰囲気にはありませんでした。押すと写真が出ます。


四万十川河川敷を走る

 ◆いよいよ、特急南風24号の発車時間16時34分に近づきました。5泊した四国・宿毛の自転車旅行も、これで終わりです。自転車を袋に入れて、中村駅の改札に入りました。南風24号は、すでにホームについていて、わたしたち乗客を待っていました。この南風24号は岡山駅まで行きます。わたしは途中の高知駅で降りて、そこから夜行バスに乗り換えます。写真は中村駅前で撮りました。押すと写真が出ます。

 ◆中村駅前の記念写真、その2です。押すと写真が出ます。
特急南風24号(◆の段落と写真をクリックすると写真が見られます)

南風24号とわたし

 ◆中村駅から高知駅までは、意外に遠い。特急でも約2時間かかります。この南風号の車両は、先頭車両と最後尾の車両の運転席後ろ側のデッキ部分に、ちょっとした空間があります。自転車は、ここに停めました。押すと写真が出ます。

 わたしが予約した席は、幸運にも太平洋に面した窓側の席でした。電車に揺られる2時間のあいだ、海がとてもよく見えました。美しく広大な太平洋を、ゆっくりと眺めることができました。


南風号で海を見ながら高知へ

 高知に18時20分に到着しました。高速バスは小田急バスと高知県交通などの共同運行で、高知駅は19時50分に出発し、東京・新宿には翌朝7時30分に到着します。高速バスの名称は「ブルーメッツ号」です。ちょっと時間に余裕があったので、高知駅内のラーメン屋さんで、夕食を食べました。高知駅の周囲には、飲食店が、ほとんどなく、駅構内の食堂が、唯一、夕食をとれる場所でした。

 19時40分くらいに高知駅前のバスターミナルに着きましたが、他の路線バスの姿はあるものの、目的のブルーメッツ号(新宿行き)の姿がありません。本来ならば、増発便も含めて計4台の大型バスが並ぶハズなのです。とくに、放送で案内もなく、「時間と場所を間違えたのかな?」と思いました。


さすがに眠いバスのなか

 すると出発時間の19時50分ぎりぎりになって、おもむろに行き先表示に「新宿西口」と書かれてあるバスが1台、また1台と入ってきました。やはり、取り立てて放送で案内することもなく、バスターミナルの周囲に散らばっていた乗客らしき人々が、ぞろぞろバスの周囲に集まり、切符を運転士さんに見せて、バスに乗り込み始めました。

 わたしは、自転車をバスの横っ腹にある荷物室に入れて、切符を手にして、バスの乗車口に行きました。運転士さんに切符を見せて、バスに乗り込みました。もう夜の8時近いので、周囲は真っ暗です。乗客が一通り乗ると、運転士さんがバスに乗り込み、「新宿行きです。発車します」などと車内放送で案内して、ドアを閉めました。


東京・新宿に到着(◆の段落と写真をクリックすると写真が見られます)

ブルーメッツ号とわたし

 ◆4台のバスが縦走することもなく、それぞれバラバラに新宿を目指しました。バスは、思ったより快適で、いちにち自転車を漕いで疲れていたわたしは、ぐっすり休むことができました。夜のうちに1回、どこかの高速道路の休憩施設で休むということでしたが、わたしは寝込んでしまっていて、気が付きませんでした。気が付いたのは、翌朝6時頃に東京にほど近い高速道路の休憩施設で停車したときでした。押すと写真が出ます。

 鉄道網は、あるていど頭のなかに入っていますが、バス路線は、まったく分かりません。こんな長距離、車を運転した経験もないため、どんな高速道路を、どんなルートで東京まで来たのか、いまだに分からずじまいです(苦笑)。休憩が終わると、首都高に入り、予定時刻どおり、新宿西口に着きました。


東京の朝日が眩しい

 わたしにとって、今回5泊7日(車中1泊)は、これまでで最も長期の自転車旅行です。2泊3日程度はありましたが、1週間近く、無事故で自転車に乗れたことは、とても嬉しいことです。新宿に差し込む朝日が眩しく、ほぼ計画どおりに、自転車で四国・宿毛エリアを存分に走れたことに、充実感を覚えました。

 地元のいろいろな情報を教えてくださった民宿の女将さん、それから、よそ者のわたしに、丁寧に道を案内してくださった地元の方々、ほんとうにありがとうございました。

 番外編、「レンタカーで足摺岬へ行く」は、ここをクリックしてください。雨の日は、レンタカーで足を伸ばしてみました。



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