《利根川デルタ・水郷特集〜その1〜》
花見川から印旛沼へ。大水郷を横断。
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花見川から印旛沼へ(◆の段落か写真をクリックすると拡大写真が見られます)
自転車での走行ルートです。地図をクリックすると拡大します。

 2003年の暮れ、関東地方は、暖かい冬が続きました。日照時間が短かった夏の天候不順の反動なのか、穏やかな冬の始まりでした。それでも、冬は冬。寒いのが苦手なわたしは、比較的温暖な平野部を自転車で走ることにしました。1泊2日の行程で、1日目は、千葉県の花見川から霞ヶ浦のお宿まで行き、2日目は、茨城県のJR取手駅まで戻るコースを計画しました。1日目を前半、2日目を後半に分けてご紹介させていただきます。

 ここは、日本最大の流域面積を誇る利根川の下流に広がる巨大なデルタ地帯です。千葉県と茨城県の県境に位置するデルタ地帯は、水路や沼、湖が多く残っており、そのなかを、ゆったりと利根川が流れています。天気に恵まれたうえに、自転車のペダルを漕いだ余熱で、ほかほかと暖かいサイクリングになりました。1泊2日の走行ルートは、適時、地図で示してゆきます。

JR新検見川駅の前にて。

 ◆わたしは、新宿駅を朝7時00分発のJR中央線快速・東京行きに乗りました。途中、お茶の水駅でJR総武線各駅停車に乗り換え、総武本線と合流する錦糸町駅でJR総武線快速に乗り換え、ふたたび津田沼で各駅停車に乗り換えて、目的地の新検見川駅を目指しました。この写真は、総武線快速の先頭車両で撮りました。押すと写真が出ます。

 総武線は、各駅停車と快速の2本の路線が並行して走る複々線の構造です。効率性を求める私鉄などでは、各駅停車と快速とが同じホームで乗り換えられる構造になっていますが、この総武線では、両者のあいだに、あまり関連性は見あたりません。各駅停車が快速を待ち合わせているわけでもなく、駅のホームもまったくの別々。各駅停車と快速とが、それぞれ別の鉄道会社なのかと思うほどです。

 新宿駅から待ち合わせ時間も含めて1時間あまりで新検見川駅に到着しました。駅で自転車を組み立てて、新宿方面に10分ほど走ると、花見川(はなみがわ)が見えてきました。

花見川のサイクリングロードにて。

 花見川は、とても魅力的な川です。国内の中小規模の河川の多くは、東京を流れる神田川や目黒川のように、河川の両側を高いコンクリートの壁で挟み込む護岸工事がなされています。護岸の壁を高くし、川底を掘り下げ、まるで“排水溝”のようにすることで、河川の占める面積を小さく抑える仕組みになっています。合理的ではありますが、河川の周囲は味気ない雰囲気になってしまいがちです。

 ◆でも、花見川は違います。護岸は自然な感じの雑木林が残され、そのなかに自然歩道、自転車道などが整備されています。川の水面と地面との高低差も少なく、水郷地帯に相応しい低湿な環境が、よく保存されています。わたしは、北海道に行ったことはありませんが、きっと、有名な釧路湿原(くしろしつげん)も、この千葉の花見川と同じような景色なのかと想像しています。花見川の全景を撮りました。押すと写真が出ます。

 ◆花見川にかかる橋のうえから。押すと写真が出ます。

美しい花見川。(◆の段落か写真をクリックすると拡大写真が見られます)
八千代市の幹線道路沿いのスーパー。

 ◆花見川は、主に利根川の水が、印旛沼を経て流れているものです。花見川をずっと上流へと上っていくと、印旛沼に着き、その先は、利根川へと続いています。幸いにも、花見川から利根川までの距離約50キロのほぼ9割方に、自転車道が整っています。押すと写真が出ます。

 花見川の一部の自転車道は、自然な川岸を保つためか、舗装してありませんが、少なくともマイカーやトラックが入ってくることはありません。しかし、わたしの細いタイヤでは、未舗装の道を走れないため、その部分のおよそ2〜3キロを迂回して、一般道を走りました。

 自転車で花見川をのぼり、八千代市まで来たところで、お腹が減ってきました。まだ午前中でしたが、お昼ご飯を食べることにしました。ここが、いくら、北海道の釧路湿原のようでも、やはり首都圏だけあります。川岸から少し離れると、幹線道路が走っていました。その脇には大きなスーパーマーケットがあります。わたしは、このスーパーの食堂で、昼食をいただくことにしました。

八千代市のスーパーの食堂にて。

 食堂は、ラーメンやお好み焼き、たこ焼き、ピザ、カレーパンなど、和洋中のさまざまな料理が売っていました。わたしは、ラーメンとお好み焼き、カレーパン、マンゴプリン、コーラを注文しました。ラーメンのコクと、カレーパンの香ばしさ、コーラの清涼感に、贅沢な舌鼓を打ちながら、おいしくいただきました。

 ◆八千代市を過ぎると、印旛沼が見えてきました。印旛沼は、面積1555ヘクタールで、周囲は45.7キロメートルと大きな沼です。印旛沼は、西印旛沼と北印旛沼の2つに分かれていますが、これは、1969年までの干拓事業で2つに分かれたのであり、それ以前は「W型」をしたひとつの沼だったそうです。干拓事業のあとの印旛沼の周囲は、自転車道や公園、田畑などに整備されています。押すと写真が出ます。

印旛沼で昼寝。ポカポカ陽気で気持ちいい。つい寝過ごす。

 ◆沼の周りには、水路や田畑、低層住宅などが並び、人々に生活の場を提供しています。また、釣り糸を垂れて魚を釣る人、ラジコン飛行場で飛行機を飛ばす人、ランニングをする人、散歩をする人、自転車に乗る人など、おおぜいのレジャー客が来ていました。沼は、こうした人々に遊ぶ場を提供しています。押すと写真が出ます。

 お腹も膨れていたので、印旛沼に着いたところで、眠くなってしまいました。沼の土手に横になり、青い空を見上げていたら、そのまま寝てしまいました。ポカポカ陽気のなかでの昼寝は、とても気持ちのいいものでした。つい、寝過ごししてしまい、気がついたら、午後も、もう遅い時間。わたしは、慌てて支度をして、印旛沼のほとりに整備してある自転車道を走り始めました。

 ◆印旛沼の水質は悪いと言われていますが、多くの人が水質浄化と周囲の環境整備に努力しているためか、わたしは、とても美しい沼だと思いました。確かに、心ない人が捨てていくゴミや産業廃棄物の不法投棄は目につきましたが、沼そのものからの悪臭もせず、元気よく水面を泳ぐ水鳥や、ときおり沼から飛び跳ねる魚が多く見られました。印旛沼の写真を以下に紹介させていただきます。押すと写真が出ます。


【印旛沼ミニ写真集】 −写真か文字をクリックすると拡大します−
 花見川→西印旛沼→北印旛沼→利根川までの道順を地図に示しました。「印旛沼ミニ写真集」は、西と北の印旛沼のほとりで撮ったものです。ふたつの印旛沼の位置関係を地図から把握していただければと思います。押すと写真が出ます。  冬の雲が連なる印旛沼。この広い空で、ラジコン飛行機を飛ばして楽しんでいる人もいました。写真中央にラジコン飛行機を撮ったつもりなのですが、小さすぎて分かりませんね。押すと写真が出ます。  印旛沼の周囲には水路がたくさんあります。この水路によって周辺の田畑が潤うばかりか、小船に乗って移動することもできそうです。印旛沼へは京成電鉄の佐倉駅からも行けます。特急も停まります。押すと写真が出ます。
 印旛沼のほとりにある休憩所「佐倉ふるさと広場」には、大きなオランダ式の水車がありました。水車は、日蘭交流の幕開けとなったオランダ船リーフデ号にちなみ、「リーフデ=友愛」と呼ばれているそうです。押すと写真が出ます。  印旛沼と風車の「リーフデ」をとらえた写真を撮ってみました。冬の透き通った青空と、シマシマになった雲がよく見えました。写真で見ると夕暮れのようですが、実は昼間です。カメラの絞りを絞りすぎたために、写真が暗くなってしまいました。押すと写真が出ます。  印旛沼の隣(北側=利根川寄り)に位置する「北印旛沼」のほとりにて撮りました。印旛沼と北印旛沼は、約2キロほど離れています。以前はひとつの沼だったそうですが、69年までに沼の中央部の干拓されたため、2つの沼に分かれたそうです。押すと写真が出ます。
 北印旛沼に、ペリカンあるいは白鳥のような、大型の水鳥が1羽いました。写真中央にとらえたのですが、ちょっと、小さくて分かりにくいですね。鴨などの水鳥のなかに混じっていても、白くて大きいため、とても目立っていました。押すと写真が出ます。  北印旛沼の自転車道を撮りました。よく整備されています。沼と田畑と、ぽつりぽつりと民家が見える平坦な土地です。何十キロも同じような風景を眺めていると、まるで、自分が前に進んでいないような錯覚を覚えます。押すと写真が出ます。  北印旛沼と利根川を結ぶ水路です。ここまで来れば、利根川まで、もうすぐです。利根川から印旛沼に流れ込む水の量を、いくつかの水門で制御しています。このあと、少し一般道を走りますが、利根川に着いたら、また自転車道が続きます。押すと写真が出ます。

霞ヶ浦湖畔の「民宿しをみ食堂」にて。(◆の段落か写真をクリックすると拡大写真が見られます)
民宿しをみ食堂の女将(おかみ)さんとわたし。豪勢な料理を前にして。

 この日のお宿は、利根川の向こう側にある霞ヶ浦の湖畔に予約しました。でも、印旛沼のほとりで寝坊してしまったため、印旛沼を出発したのが午後の2時。日没までの残り時間が2時間半のときでした。お宿までの距離数はおよそ20キロあまりもあります。このため、写真を撮る余裕がなく、ここからは、いきなり、お宿の話しに移ります。済みません!

 写真を撮れなかった利根川の自転車道は、2日目の復路で、ふたたび通ることになります。このため、次の「後編」で、じっくり利根川サイクリングロードを紹介させていただきます。

 泊まらせていただいたお宿は、霞ヶ浦湖畔で数少ない民宿の「民宿しをみ食堂」です。食堂と名がついている通り、1階でレストランを経営し、2階部分が民宿になっています。霞ヶ浦まで歩いて1分という好立地で、釣り客など多くの旅行客が泊まりに来ています。また、霞ヶ浦沿いの国道355号線を走るマイカーやトラックの運転手さんなどが、民宿しをみ食堂のボリュームたっぷりの料理を食べに大勢やってきて、いつも大にぎわいです。

チキンフライと酢豚、ワカサギフライ、野菜炒め、梨の柚子漬け、おみそ汁など。どれもみな、とびきりおいしい。

 ◆民宿しをみ食堂は、1泊2食付きで、ひとりおよそ7000円弱の料金水準です(03年末時点)。民宿しをみ食堂のいちばんの特徴は、なんといっても、夕食の献立が、とても豊富なことです。ここでは、普通の民宿と違い、宿泊客が豊富な献立のなかから、自分の好きな料理を、ひとり2皿まで自由に選べます。肉料理から野菜料理まで、たくさんの料理が揃っています。押すと写真が出ます。

 ここで、ひとつ注意しなければならない点があります。民宿しをみ食堂の料理は、どれも、みな、ボリュームいっぱいであることです。2皿を選び方を間違えると、食べきれなくなってしまうほどです。たとえば、「チキンフライ」。普通の料理店なら、鶏肉が一切れ出てきて終わりです。ところが、民宿しをみ食堂では、2切れも出てきて、さらに、肉の量が半端でないほど大きい! もし、チキンフライを2皿選んだら、男の人でも食べきれないほどです。

おいしいっ!

 でも、それだけで、驚いてはいけません。実際に食べてみると、民宿しをみ食堂の偉大さが改めて分かります。わたしは、チキンフライを、ひと噛みしただけで、これまで食べたことのないような、おいしい幸福感が、全身に伝わってくるのがよく分かりました。

 歯がチキンフライの衣(ころも)に触れるとき、サクサクとした歯ごたえを感じ、その次の瞬間、柔らかい肉に歯が埋もれていきます。すると、その肉のなかから味わい深くコクのある肉汁が、口のなかいっぱいに広がり、なんとも言えない満足感が、脳天の方に向かって突き上げてきます。鶏肉が、これほどまでにおいしいとは、恥ずかしながら、わたしは知りませんでした。

 ワカサギフライは、写真に写っているでけでも、大きなのが9本。どれも、パリパリ、サクサクとした衣のなかに、肉付きのいい魚が詰まっています。酢豚にいたっては、肉の塊がゴツゴツとして、いまにも、お皿から溢れそうです。酢豚のなかに入っているパイナップルが、南国の雰囲気を醸し出して、いい感じです。デザートには、柚子(ゆず)と蜂蜜で味付けした梨と柿でした。柚子と蜂蜜、梨の組み合わせは、わたしにとって、初めての体験する新鮮な味覚で、もう一度、味わってみたい料理のひとつとなりました。

 あまりのおいしさに、食欲の抑制ができなくなってしまい、テーブルいっぱいに並んだ豪勢な料理を、あっという間に平らげてしまいました。お腹一杯になったところで、お風呂をいただき、ゆっくり休むことができました。

【民宿しをみ食堂】
電話:0299−72−0470
郵311−3832
茨城県行方郡麻生町麻生575

 次は、「霧の霞ヶ浦から利根川をのぼる」に続きます。ここをクリック!



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