| 深沢渓谷道路。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
|
2004年、夏の思い出特集−第2弾−“筑波特集”の第4日目は、自動車メーカー・本田技研工業系の自動車競技場「ツインリンクもてぎ」へ足を伸ばしました。ツインリンクもてぎは、1997年に開設した競技場で、隣県の茨城県茂木町(もてぎまち)の丘陵地帯にあります。美しい渓谷を走る道路“深沢渓谷道路”を通って、往復約75キロメートルを完走しました。
ツインリンクもてぎは、自動車競技場だけでなく、レストランや喫茶店、本田技研工業の新車両・未来車両などの展示をおこなっている複合施設です。わたしがお宿を借りている真壁町からの走行距離が往復約75キロメートルと、自転車で1日かけて走るのにちょうどいい距離にあるので、行ってみることにしました。 地図で真壁町からツインリンクもてぎまでの道を調べてみると、クルマの交通量が少なそうな道が1本続いているのを見つけました。この道は地方道286号線で、茨城県と栃木県の県境付近から茂木町まで続いています。県境には峠があり、それより先は深沢川(ふかさわがわ)沿いに道が続いています。 深沢川は谷間に流れていることから、わたしはこの道を“深沢渓谷道路”と名付けることにしました。 深沢渓谷道路とほぼ平行して地方道41号線や国道123号線などの幹線道路が走っています。いずれの道も真壁町から茂木町へ続く道ですが、クルマにとって走りやすいのは、峠道や渓谷の細い道よりも、道幅の広い幹線道路です。 このように「幹線道路」と「細い峠道」が平行して走っているケースでは、多くのクルマがより走りやすい幹線道路へと流れる傾向があります。たとえば、東京都心部のように、幹線道路が慢性的な渋滞に見舞われているのならば、細い峠道がクルマの“抜け道”になることはあります。しかし、この付近の幹線道路が身動きとれないほどに渋滞しているとは想像しにくい。 もし、わたしがクルマを運転していたとすれば、図体の大きいクルマにとって神経を使う峠道や渓谷の細い道を走るより、幹線道路をスムースに走った方がいいと思うでしょう。この方が時間や燃料も節約できます。つまり、この場合、細い峠道を進めば、きっと自転車でのんびり安全に走れるはずです。 自転車で走るときは、クルマのドライバーが、どの道を好んで走る傾向があるのかを、あらかじめ想定し、その道とは違う道を選ぶことが重要なポイントだと思います。わたしは、こう考えて、深沢渓谷道路へと自転車を進めることにしました。 | クリックすると拡大します。 |
| ツインリンクもてぎへ。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
|
朝8時半。真壁町のお宿からサイクリングロードの「つくばりんりんロード」を約10キロメートル走ってJR水戸線・岩瀬駅まで行きました。ここから北側に約6キロメートルほど進んだ門毛(かどけ)という集落から峠道へと折れます。道なりにまっすぐ進めば国道123号線に出て茂木町へと行けますが、わたしは道を折れてクルマの通りがより少ない峠道を迂回していくことにしました。
峠は茨城県と栃木県の県境になっています。地図を見ても峠の名前が分からなかったため、わたしは峠付近から栃木県側へと流れる深沢川の名前をとって“深沢峠”と名付けることにしました。深沢峠は標高約260メートルほどの小さい峠です。この峠を越えれば、両側を山で挟まれた深沢渓谷道路へ入ります。
渓谷道路は、ツインリンクもてぎのある丘陵の麓まで、ほぼ一貫して下り坂が続きます。このため、行きは予想以上にスムースに前へと進むことができました。朝の渓谷は、山から下りてきたばかりのひんやり湿った空気がたくさん流れていました。霧がかかったような、渓谷ならではの清らかな空気のなかを自転車で走るのは、とても気持ちのいいことです。わたしは、幽玄で美しい渓谷道路を満喫できたことで、すっかり気分がよくなりました。
深沢峠からツインリンクもてぎがある丘陵地帯の麓までの距離は約15キロメートルほどあります。この間、ゆったりとした下り坂で、軽くペダルを回すだけで、ぐんぐん前へ進んでいきます。平均速度は軽く10キロメートルを越えました。行きはなだらかな下り坂で楽をしましたが、しかし、その分、帰りは相当な筋力をフルに使う覚悟が要りそうです。 |
| 本田技研工業の主力車に乗る。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
| クリックすると拡大します。 |
ツインリンクもてぎは、小高い丘の上にありました。急な坂道を登っていくと、料金所がありました。入場料は大人ひとり1000円でした。料金所からさらに坂道を登っていくと、まるで滑走路のようなアスファルトの平らな場所に出ました。周囲を見渡しても「滑走路」とか「飛行場」とかは書いていないのですけれど、小型機なら十分に離着陸できる広さがありました。
新車の展示は、本田技研工業の主力車両が2種類ほど置いてありました。1台は、排気量1000ccの大型ロードバイク「CBR1000RR」(シービーアール1000ダブルアール、価格約120万円)。もう1台は、巨大なアメリカ大陸を難なく走りこなす排気量1800ccの超大型バイク「ゴールドウィング」(価格約300万円)。この超大型バイクのスタイルはアメリカンバイクとも呼ばれているそうです。
車両重量が、わずか10キログラムちょっとのわたしの自転車に比べて、これらのオートバイはとてつもなく重く感じました。ちなみにアメリカンバイクの「ゴールドウィング」の重量は約400キログラム。比較的軽量の「CBR1000RR」でも約200キログラムもあります。これらのオートバイは、ただ重いだけでなく、化け物のような力を出す強力なエンジンを積んでいます。スロットル(クルマのアクセルに相当)を開くと、「まるでロケットのように飛び出す」(関係者)そうです。 わたしは、自転車でツインリンクもてぎを一周することにしました。きょうは自動車競技を開催していないため、自転車でサーキット場のあちこちを見て回ることができました。サーキット場を一望できる高台に登ってきたときに、レース用のオートバイの甲高い排気音が耳に飛び込んできました。マシンの調整なのか、レースに備えた練習なのかは分かりませんでしたが、250ccか500ccのオートバイが、広大なサーキット場を、まるで弾丸のようなスピードで駆け抜けていきました。 |
| 来た道を戻る。 (◆の段落や写真を押すと音声や拡大写真が見られます) |
|
サーキット場の見学に夢中になっているうちに、時間は午後2時になっていました。帰りの深沢渓谷道路は、ゆるやかな登り坂が続きます。来るときよりも推定で1.5倍−2倍の時間がかかることが予想されるため、わたしはツインリンクもてぎを後にすることにしました。
深沢峠に向けて深沢渓谷道路を延々と登っていきました。すると進行方向左側に和菓子屋さんがありました。看板には「菓子処 いい村」と書いてあります。 ずっと登り坂で疲れていたため、お店のなかで、ゆず羊かんやみつ豆など甘いものをいただくことにしました。お店のおかみさんは、とても親切な方で、お茶を出してくださいました。 おかみさんは、わたしの自転車を見て、「うちの息子も自転車が大好きで、日本各地を自転車で旅行している」と話してくださいました。この深沢渓谷道路も、週末になれば、多くの自転車ライダーが通るそうです。 甘いものをいただいて、元気がでてきたわたしは、深沢峠を一気に越えて、岩瀬駅まで戻ってきました。岩瀬駅まで来れば一安心。自転車専用道のりんりんロードを通って、真壁町のお宿までのんびりと帰りました。 |
クリックすると拡大します。
|